Game Changer Catapult 事業アイデア審査結果発表会レポート | キャリコネニュース - Page 2
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Game Changer Catapult 事業アイデア審査結果発表会レポート

▲プレゼン中のチームの様子、熱い想いを込めて経営幹部に伝えます

▲プレゼン中のチームの様子、熱い想いを込めて経営幹部に伝えます

2019年4月から5月にかけてパナソニック アプライアンス社の全国5拠点で開かれた説明会を経て、今年もたくさんのビジネスの原石が集まり始めました。書類審査を通過したチームが最初に挑む事業アイデアピッチイベント、そしてその審査結果発表会の模様をコミュニケーションマネージャーの湊がレポートします。【talentbookで読む】

自らの想いをかけて臨む「事業アイディアピッチイベント」を実施

2019年6月22日、Game Changer Catapult (ゲームチェンジャーカタパルト、以下GCカタパルト)4期目のビジネスコンテストが本格的にスタートしました(詳しくはこちら)。最初の関門としてパナソニックデザインセンター京都にて行われたのが、事業アイデアプレゼン大会です。

会場には、書類選考を通過した16チームが集います。それぞれのチームが、自身の事業アイデアについて、パナソニック アプライアンス社社長の品田正弘をはじめとする経営幹部、そして事業化を支援する株式会社BeeEdgeの春田真社長らの前で熱いプレゼンを行いました。

どのチームも経営幹部に直接アイデアを訴える経験のない若手層が中心のため、緊張の面持ちでしたが、それぞれが自分の体験に基づいて、何を課題だと考えているのか、どう社会を変えたいのか、自分の言葉で訴えかけました。

新規事業に挑むための「領域の広がり」と「層の厚さ」

▲パナソニックデザインセンター京都でのプレゼンの様子

▲パナソニックデザインセンター京都でのプレゼンの様子

4回目となる今回のビジネスコンテストで印象的だったのは、 「事業テーマの領域の広がり」です。GCカタパルト自身も「未来の『カデン』」でお客様にお役立ちするエリアをひとつに限定せず、健康・美容ソリューション、食のソリューション、メディア&エンターテインメントをはじめ、生活に密接した5つの領域と広くとらえています。

今回応募があった各チームが見つめている課題も、教育から美容、健康、そして介護の世界や社会問題など、これまで4回のビジネスコンテストの中で一番バリエーションに富んでいると感じました。それぞれ社員の原体験に基づいて課題を考察してビジネスを考えており、粗削りであってもパナソニックがお役に立てる領域を広げてくれる可能性があり、とても楽しみです。

もうひとつ印象的だったのは、応募してきたチームの「層の厚さ」です。ビジネスコンテストの説明会のときにも感じたのですが、オープンイノベーションを起こそう、という熱がいろいろな拠点に着実に広がっていました。さまざまな拠点で自主的に勉強会を続けている新規事業サークルや、GCカタパルトへの応募を後押しするような自主的な「非公式」イベントが開催されているのを目にしました。

事業をおこしたいという土壌の広がりをベースに、今年のビジネスコンテストに応募しようと1年前から準備してきたチームもありました。社員自ら課題を見つけ、どうすればその解決につながるイノベーションを起こせるか勉強しビジネスを考える、という自主的な動きを生みながら、ビジネスコンテストに応募してくるチームの層が厚くなっていることを感じた今年の審査会でした。

「未来のカデン」に必要なのは、「価値」と「文脈」?

▲株式会社インフォバーン京都支社長の井登友一さんによる講演の様子

▲株式会社インフォバーン京都支社長の井登友一さんによる講演の様子

審査会から一週間後の6月28日、GCカタパルトの第4期ビジネスコンテスト審査結果発表会がアプライアンス社の本部のある滋賀県草津拠点で開催されました。

審査結果の発表に先立って、株式会社インフォバーン京都支社長の井登友一さんから、 「価値と文脈のデザインによるイノベーション発想」というテーマで昨今注目されている、 “意味”のデザインとしての「エクスペリエンスデザイン」についての講演をしていただきました。ここで講演内容の一部をご紹介します。

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近年世の中を変えた企業・サービスの共通点は物質としての「モノ」ではなく「経験」を提供している点です。Uberは世界で一番たくさんの車両を扱っていますが、自社で所有している車両は一台もありません。

Airbnbはホテルだけでなく民家・城・寺も含めた世界最大数の部屋を提供していますが、自前で経営している部屋はひとつもありません。つまり、 「モノ」を提供していないということなのです。実は「モノ」を媒介として「いい経験」を提供しているんですよね。

今から20年前にB.J.パインⅡとJ.H.ギルモアが「経験経済」という概念を発表しました。 「モノからコトへ」の考え方です。世の中にありふれた素材(コモディティ)に機能性や使い勝手を加えて製品・サービスにするだけではなく、さらに顧客にとって特別な意味を持つ「経験」を提供することの重要性が著書では説かれています。

さて、この「経験経済」の概念には実は続きがあります。それは「変身(=transform)」です。つまり、自分にとって意味のある素晴らしい経験や差別化された行為にお金を払いたいと思う人は、その先に「自分をどう変化させてくれるのか」を重視するのです。

さらに次の段階もあります。 「関わり合い(=relationship)」です。 「変身」までは顧客が「自分にとって意味がある」という観点だったのが、自分以外との関わりに目が向けられるようになっていきます。つまり、自分とブランド、自分と社会、自分と環境などの関係性の中で “いい意味”を持つ製品・サービスを選ぶようになってくるわけです。

その製品を使うことが環境にやさしい、そのサービスを利用することが地域社会への貢献につながるなどが考えられるでしょう。

また、ユーザーエクスペリエンス(UX)デザインの概念も時代とともに変化しています。従来は、誰でも簡単に快適に使いやすいことこそ、優れたUXであると考えられていました。失敗しない、怪我をしない、間違わない、誰でも使える、迷わない、便利で効率が良い……当然これらのUXも大切ですが、この考え方は少し変わってきています。

たとえば、高級な鮨屋に行くと主人の出す雰囲気も怖くて緊張しますね。でも逆にフレンドリーすぎる主人だったり、タッチパネルで簡単に注文できたりすると、高級な鮨屋の価値は崩壊してしまいます。ポイントは、顧客が価値を享受するために少し背伸びしなければいけないという点です。

極端に言うならば「顧客を脅す」ことすら価値になりえるということです。そのような価値環境の中で顧客は「どうやってこれを自分のものにしようか」と考えるようになります。そういうアプローチもひとつの価値提案の形だと思います。

企業は自社が提供している製品・サービスを固定概念で定義しがちです。しかし実は企業が発信する定義以外にも顧客が求めるニーズがあります。さらに言えば、その外側に顧客さえも気づいていないニーズもあるでしょう。

私たちはつい中心の「企業が提供する価値」にとらわれてしまいがちですが、その外側にある「顧客が求める価値」さらに外側にある「顧客も気づいていない価値」に目を向けると、市場とチャンスは大きく広がります。

つまり“いい体験”を創出するには、モノ・コトと顧客の関係を変化させることがポイントになります。これを「リフレーム」と言うのですが、自分たちが提供しているモノ・コトの“意味”を変えることで新たな価値を創造する考え方だと言えるでしょう。

新しく創造された価値は、最初は居心地が悪かったり違和感があったりするものです。しかし最初の違和感は、未来の当たり前につながります。つまり新たな価値創造は「新しい習慣や文化をつくること」と言っても良いと思います。このような新しい習慣をつくることをわたしは「意味のデザイン」と呼んでいます。

まだないものをゼロから生み出すのは大変ですが、人々が「ちょっとやってみたくなる」ような新しい“意味”をどうつくるのかを考えることが新規事業創出のヒントになると思います。

これまで、私が携わっているデザインの領域では問題解決や課題解決を中心とした「ニーズドリブン」の考え方が主流でした。すでにある問題や課題をつかみとらえ直して解決しようとするアプローチです。

しかしそれは今やどの企業でも取り組み始めています。これからの時代はニーズドリブンだけでは十分とは言えません。必要とされるのは「自分たちは何をしようとしているのか?という強い想いの込もった提案」、つまりビジョンドリブンのアプローチとの組み合わせです。

世の中にあるニーズや声に対して「『パナソニックだから』こういった提案ができます」というビジョンがなければ、顧客にはあえて選んでもらえない時代です。つまり、価値提案です。Game Changer Catapultの活動では、「愛」を込めた「意味のデザイン」で未来の生活者の“当たり前”をつくり出してほしいと思います。

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社会のモノやサービスがあふれている現在、「自分のチームはこういう課題に対してこんな解決をします」、という提案を意図的にやっていかないと「選んでもらえない」時代になっています。

そのために必要なのが「意味のデザイン」です。それを可能にするためには、問題を常にとらえ直すこと、自分自身に内在化させたり、原体験を持っているひとをチームに加えたりすることで、違った解決の仕方の可能性を広げていくことができると、会場からの質問を交えてお話いただきました。

この講演を社員とともに同じ目線で学んだ経営幹部のうち、アプライアンス社社長の品田も壇上に上がり、井登さんとのパネルディスカッションを行いました。会場から質問を受け付けながら「未来のカデン」の価値について、インタラクティブなトークを繰り広げました。

緊張の審査結果発表

▲審査結果を発表する品田社長

▲審査結果を発表する品田社長

メインイベントである審査結果発表では、品田社長から3つの選考テーマと今後さらなる奮起を期待する4つのチャレンジテーマが発表されました。

審査結果が発表されるたび会場からは歓声があがり、それぞれのリーダーからはガッツポーズが飛び出します。その後パナソニック アプライアンス社の小本洋常務から「選考では、パナソニックとしてやりたいこと、やれること、やるべき事の3つの観点で審査を行いました。

今回選出されたテーマのいずれも、この3点すべてを完全に満たしているものはまだありません。今後のさらなるブラッシュアップに期待します、頑張ってください」との講評が発表され、各チーム真摯な態度で聞いていました。

最後に、品田社長も「モノだけで差別化が難しい時代においては、家電にも新しい意味づけが必要。今回コンテストに参加した皆さんが、新しいアプライアンス社づくりをけん引していってもらいたい」と全員を激励しました。

今回選出された7つのチームは、お客様と何度も向き合い、事業の方向性を修正するピボットを繰り返しながら、メンタリングなどのGCカタパルトのプログラムを通じて事業アイデアのブラッシュアップを行い、来年3月にアメリカ テキサス州で開催されるサウスバイサウスウェストにチャレンジすることができるか、またさらにそこから事業化へとつなげることができるか、今後の活躍、奮闘にどうぞご期待ください。

パナソニック株式会社

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