「モンストグランプリ」を通じて、eスポーツの文化を育てる
モンストプレイヤーのNo.1を決める「モンストグランプリ」。5回目の開催となる2019年は、初の国際展開や過去最高賞金総額1億円、2018年より活動するプロチームの参戦など、大きく幅を広げていきました。モンストグランプリの企画と運営を担当したLX事業本部の内田洋平とともに振り返ります。【talentbookで読む】
アジア進出と史上最高賞金額──プロ誕生以降初のモンストグランプリ
次々と繰り出される選手たちの華麗なプレー、そして沸き上がる歓声──。
ミクシィでエンターテインメント事業を手がけるXFLAG主催の「モンストグランプリ」。スマホアプリ「モンスターストライク」のNo.1のプレイヤーを決める公式大会として、2015年から毎年開催しています。2019年はアジア圏でも大会を開催するなど、その規模を着実に広げてきました。
内田 「国内大会からアジアチャンピオンシップへ。この変化は 2019年のモンストグランプリの象徴とも言えます。大会の開催場所として選んだ香港と台湾は、私たちがサービスを展開する地域の中でもプレイヤーの熱量が高く、海外進出の一歩としてふさわしいと判断しました。
また、2018年にモンストのプロプレイヤーが誕生したことも大きな変化でした。2018年には 8チームがプロ認定され、同年秋冬にはプロチームのみが参加できるトーナメント戦も開催しました。
こうした変化もあり、今回のモンストグランプリは賞金総額を過去最高の 1億円に引き上げました。国内最大規模、最高峰の eスポーツイベントとしてモンストグランプリを提供できるよう、意識しています」
あらゆる意味で“アップデート”された、2019年のモンストグランプリ。その決勝の舞台となるXFLAG PARKも、2019年は過去最大規模での開催となり、2日間で4万人超を動員しました。
内田 「 今年のモンストグランプリでは、予選から観覧者を募集しました。観覧者の中には、プロチームをはじめ、お目当てのチームの試合を見るために会場を訪れたという人も少なくありませんでした。サインや握手などのファンサービスを行うプロ選手の姿も増えてきています」
確固たる目的を持ち、心から声援を送るファンの姿。それは、モンストグランプリに新たな風を吹き込む変化でした。そして、その期待に応える選手の成長がそこにはありました。
内田 「認定されたプロチームに、私たちは必ず講習会を行っています。ファンを悲しませないプロであるために、どんな振る舞いをするべきか、そのマナーを伝えているんです。『モンストのプロはカッコいい』。その印象をファンの皆さまに届けることが、プロとしての役割です」
ファンと選手のコミュニケーションが深まった予選期間
プロの存在が変えたのは、会場の雰囲気だけではありません。予選の間、SNSではプロ選手による勝敗の結果やそれに対する想いの発信が続き、大会を見守るファンたちや、プロ選手同士の交流が盛んになったのです。
内田 「プロが誕生する前、予選敗退チームの言葉は『ありがとうございました』といった味気ないコメントがほとんどでした。
しかし、2019年は『次も頑張りますので、応援よろしくお願いします』とファンに向けてメッセージを発信したり、『悔しいけれど、この先も頑張ってください』と勝ったチームにエールを送ったりと、プロ選手自らさまざまなコミュニケーションを行うようになったんです。
プロの振る舞いを目にする機会が生まれたことで、プロではないチームも含め、『自分たちは見られている』という意識を持ち始めたのでしょう。各チームが良い姿勢をまねし合うようになりました。
そのおかげで予選時の情報発信量が増え、決勝大会への熱気も高まっていきました」
日本において、eスポーツは数年前から注目されているものの、安定したビジネスモデルをつくり上げるための課題も多く、まだまだ発展途上です。そうした中で、コンテンツを担うプロ選手たちが自ら魅力を発信する姿は、eスポーツの発展において大きな意義があると内田は語ります。
内田 「一過性のトレンドとして扱われやすい eスポーツをエンターテインメントのスタンダードとして定着させるのは、そう簡単なことではありません。その中で重要なのは、ファンの熱量を高めることです。
私たちは、モンストグランプリを通してより選手自身やファンが熱く盛り上がれる環境を育てていきたいと考えています」
その願いは選手たちによってかなえられ、2019年モンストグランプリでは予選期間からすでにイベントへの注目が集まりました。予選でプロチームが敗退するなど番狂わせも多く、誰も優勝チームを予想できない展開となりました。
そして、緊張感が走る中迎えた決勝大会当日。会場には多くのファンやプレイヤーが集いました。
名勝負に次ぐ名勝負──どんでん返しに会場が沸いた決勝戦
内田 「 2019年の決勝大会は、ハイレベルな戦いばかりでした。アマチュアチームの健闘がすばらしく、ますますプレイヤーのスキルが高まっていることを感じます。
タイムアタック制のルールを採用しているモンストグランプリでは、一手のミスが命取りになります。『より早く』というシビアな世界で、各チームが戦略を練って挑む姿は圧巻でした。
中には 0.02秒差で敗退したチームも。彼らが流した悔し涙は、情熱の証であり、来場者の心に響いたシーンだったでしょう」
今回のルールでは、タイムアタックの結果によるランキングがキャラクターピックの先攻・後攻を決めます。先攻のほうが有利になるルールであることは周知の事実でしたが、決勝大会では誰も予測しないどんでん返しが待ち受けていました。
内田 「後攻だったチームが、誰も想像しなかった戦略で、圧倒的勝利を刻んだんです。会場からはどよめきが起こり、実況・解説の面々すら絶句してしまうほどの展開でした。その戦いが決した瞬間、会場全体が息をのむような静寂に包まれた後、爆発的な歓声が上がりました。
あの熱狂は、リアルイベントでしか味わえないものです。必死で勝ち残ってきたチームが、最後の刃として隠し持っていた戦略への称賛でした。たった 1回しかチャレンジできない、しかも当日使うかどうかもわからない戦法を成功させるために、彼らはいったいどれほどの練習を積んだのでしょうか?
レベルの高い戦いが最後の最後まで続いた本大会は、ひとつのエンターテインメントとして会場全体が盛り上がれるものでしたし、eスポーツのイベントとしても有意義なものでした」
また、開催5年目となるモンストグランプリの会場に訪れた面々には、ファンだけでなくモンストの未来を担う選手の姿もありました。
内田 「今年1月に私たちは 3歳以上 18歳未満を対象としたモンストジュニアグランプリを開催したのですが、その大会で勝ち残っていたチームが、モンストグランプリを見に来ていました。
『いつかこのステージに自分たちも挑戦する』と、目標にしてもらえているようです。2019年は実際にジュニアグランプリからモンストグランプリに出場したチームもあります。
また、選手同士の同窓会の場として会場は賑わっていました。モンストグランプリは、モンストを心から楽しみ、真剣に戦う仲間たちが一同に集うお祭りですから、『また来年この大会で会おう』という約束の場としても機能しているんです。まさに、XFLAGがコンセプトとして掲げる “B.B.Q ”のように、思い思いに皆さんが楽しんでいました。
あらゆる目的を持ったモンストプレイヤーたちが、戦いに挑み、ドラマを生み出す。その積み重ねが、文化として根づいていくことを願います」
※9月6日(金)18:00より、モンスト公式 YouTube チャンネルにて、決勝大会当日の様子をまとめた「モンストグランプリ2019 ACS ドキュメンタリー」が公開予定です
“モンスト文化”を育て、より多くの人が挑戦できるスポーツを提供していく
2019年、新たな一歩を踏み出したモンストグランプリ。その成功から紡がれるモンスト文化は、より深く、広いものへと成長しようとしています。
内田 「モンストの大会を通じ、今後はいっそう eスポーツの持つ可能性を広げていきたいと考えています。資金調達が難しく、東京・大阪に限定された大会開催が目立つ eスポーツイベントですが、われわれはできる限り地方の拠点を回ることで、全国展開のリアルイベントを広めていきます。
また、スマートフォンを使うゲームは、身体的な特徴による選手の制限がないことも特徴です。年齢や性別、障がいの有無を問わずプロ選手になれる競技として、モンストを広めていきたいですね」
地域や環境、身体的特徴などの壁を越えて、誰もが平等に挑める競技を確立すること。それは今後eスポーツが担う社会的な意義を示す取り組みとも言えるでしょう。
そして、こうした取り組みを成功させるためには、あらゆるステークホルダーとの連携が必要不可欠です。
内田 「1社だけが頑張っても、大きなムーブメントを起こすことはできません。私たちは、モンストの地方大会を通じた各地方自治体との連携や、大会運営のノウハウを提供する機会などを増やしていく予定です。また、選手主催のオフ会をサポートする取り組みも始めています」
今後もこうした取り組みを積み重ねていき、日本におけるeスポーツ業界の活性化に寄与していきます。
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