商社に必要なのは「コンサル的価値」だ──成長環境として専門商社を選んだ若手の活躍
アパレル商社として、国内外からさまざまな商材を調達し、世界中へ販売する豊島。向上心や成長意欲が段違いに高い社員が多数在籍する。山川 拓真は2016年に入社し、レディースカジュアルブランド向けODM営業のマネジメントを任される有望株。若いころから「成長」を軸に全力投球してきた彼の秘密をひも解く。【talentbookで読む】
強豪校への敗北経験が、成長をとことん追い求める軸に
レディースカジュアルブランドに向けたODM営業のチームマネ―ジャーとして、若干4年目にして、売上拡大やお客様への価値提供などさまざまなミッションに取り組む山川。彼の成長の速さには、学生時代に持ち続けたある“軸”が影響をもたらしていた。
山川 「明確に『これがやりたい』という目標は決まっていなかったので、商社に限らず幅広く選考を受けていました。ただ、ビジネスパーソンとして生き残るためには、『どの会社に入るかではなく、いかに自分に実力がついているかが重要』という考え方だったので、そこはぶらさずに続けていましたね」
就職活動中は、「若手の裁量が大きいか」「自分でジャッジできる回数が多いか」という部分に軸足をおいて、企業選びを続けていた山川。そんな中で出会った豊島には、とくに自分と合うポイントが多いと感じた。
山川 「どこよりも速く成長できる環境があると感じました。というのも、学生なりにいろいろ考えた結果、『思考回数×行動回数』が成長につながるという軸を持っていたんですね。
豊島の若手社員が早くから海外出張に行っていたり、自ら考えて動き結果を出したりしている社員が圧倒的に多いことも OB訪問で実感したため、『自分で考えて動いた経験を他社の何倍も積める豊島』が絶対合っていると思いました」
なぜ山川はこれほどまでに「成長環境」にこだわるのか。そこには、学生時代のある“悔しい経験“が関係していた。
山川 「高校までは硬式野球部に所属しており、『甲子園出場』を目指して本気で野球に取り組んでいました。ただ、ある試合で地元の強豪校に負けたんです。
そのときは、自分たちと相手チームとの差がどこにあったのかまったくわからなかったんです。
後から知ったのですが、そのチームのグラウンドには『甲子園 “優勝 “』という大弾幕が掲げてあったんです。目標の違いで実力に明確な差が出ると実感した瞬間でした。
この経験から、一緒にいる人の視座や、どんな環境に身を置くかが、自身の成長にとって非常に重要だと気付いたんです」
成長を『思考回数×行動回数の結果』と、『高い目標を持った人たちと一緒にいる時間から生まれるもの』と定義した山川。その価値観とマッチしていると感じ、豊島への入社を決めた。
ビジネスパーソンとしての嗅覚を武器に勝ち取った“信頼”
豊島に入社し、同期の中で誰よりも早く営業として独り立ちした山川。
彼の成長の速さは、その意欲だけでなく、明確な戦略とビジョンによって実現されていた。
山川 「配属直後からずっと、営業として早く独り立ちしたいと先輩に訴え続けていました。下積み経験も大事ですが、『自分自身で経験したことの方が、何倍も成長の糧となる』と考えていたからです。
また、社内外から信頼されるために、常に “キーマン “とされる人の懐に入り込もうと意識していました。自分には、キーマンが誰なのか嗅ぎ分ける “嗅覚 “があると思ってます」
山川は、キーマンを見極める嗅覚を学生時代にやっていた「居酒屋キャッチのアルバイト」で培ったという。キャッチの仕事を通して、相手のパーソナリティーや求めている情報を瞬時に察知し、ニーズに合わせた提案内容を即時に組み立てて実行していたのだ。そうして養われたのが、ビジネスパーソンとして必要な嗅覚と対人での距離感だった。
山川 「しかし、仕事において知識で勝負しても『年次が上の人にはいつまで経っても敵わない』と考えていたので、『知識+新しいネタ』で勝負することを心がけました。
たとえば、海外の生産現場には毎月必ず足を運ぶようにしています。海外では日々、新しい素材や商売のしくみなどができているので、常に『新しいネタ』をお客様に持ち帰り、自分との商談に付加価値を感じてもらえるように努めました」
また山川は、常にビジネス上の立ち位置を客観視し、対人関係をコントロールしているという。
山川 「お客様から、『企画職の方が優秀だから豊島と商売しているんです』と思われたら負けですよね。あくまで『フロントマンが山川さんだから一緒に仕事している』と思われなければなりません。常にイニシアチブを握るために、お客様の一歩先を行く情報を提供することを意識付けています。
海外の工場とも同様です。若手といえど、仕入先とも自分自身で関係を構築しなくてはなりません。海外を訪問する際は、常に自分の持つ考えの奥行きの深さを示し、『山川は何かヤバい!』と思わせるようにしています」
こうして山川は順調に成長し、商社の営業パーソンとして“ある境地“にたどり着いた。
自社とお客様両社に利益と価値をもたらす“コンサル的発想”の秘密
山川は、商社のビジネスで大切なのは「コンサル的な視点」だと考えている。
山川 「今売れているものをアレンジして提案するだけとか、ただ目先の売上を取りにいくだけの営業スタイルでは、お客様だけでなくその先の消費者にまで価値が届きません。お客様のブランドが今のマーケットで売上を伸ばすために、自分は何ができるのか。常に考え続けています。
たとえば、お客様からビッグオーダーが入りそうな案件があっても、本当に今のマーケット状況で売り切ることができるのか、冷静に判断を下します。時には、『今の市況では、それだけの数量を売り切る購買力は発生しないので、発注数量を減らした方が良いです』という提案をすることも」
豊島にとっては売上が減るマイナスの提案になっても、山川は「長期的で良好な関係性を続けられるような、コンサル的視点」を重視する。
このような考え方に至ったのには、ある取引先との商売経験が契機であった。
山川 「あるお客様からの商品への要求が、非常にキツく、大変だったときがあったんです。お客様の希望プライスと、こちらが出せる値段に大きな差があり、正直『この値段でしか無理です』と線引きして、目先の利益を守りたい気持ちがありました。
でも、ここで諦めて決着付けたら、お客様からの長期的な信頼も、自身の成長も、何も残らないだろうなと思ったんです。気持ちを切り替えて、工場と粘り強く価格交渉を続けたり、生地の品質を向上させるために試験を繰り返したり、できることはすべてやり切りました」
結果、その商品は店頭で大きな売上を上げるとともに、追加オーダーも続いた。
山川 「そのとき気付いたのが、『大切なのは、自社だけでなくお客様がどうもうかるかの、コンサル的視点と分析力』だということでした」
その経験から、山川は営業として自社・取引先の両社がもうかるようなWin-Winのビジネスを量産していく。
山川 「若手から本当にさまざまな挑戦をさせてくれるし、自分で考えて決断を下しながら仕事を遂行する場面もたくさんあるので、日々成長を実感しています。社内の風通しもいいですね。
時に社内でストレートに言いすぎて、ぶつかることもありますが、指導や自己変革も自分の人間力を高める要素と捉え、前向きに取り組んでいます」
異業種とのコラボで仕事を“進化”させる野望
そして、山川にはひとつの目標がある。
山川 「既存のビジネスモデルを変えたい、進化させたいと常に考えています。今のビジネスは、少なからず『何か売れてるものない?』に対し『こんな商品ありますよ』といった “感覚 “に支配された商売になってしまっています。
このモデルを続けるほど、仲介役の商社としては自らの首を締め続けることになりかねません。世の中は確実に進化しているし、消費者の思考も変化を続けています。どんどん MDが緻密になっていく中、既存のビジネスモデルにない売上のつくり方が必要だと感じていますね」
最近では、プライベートでも成長分野である広告業界やIT業界など異業種の友達と交流し、アンテナの感度を高めているという。
山川 「繊維やファッション衣料品は普遍的であるがゆえ、いろんな業界とコラボし、シナジー効果が期待できると考えています。 IT業界と組んで、在庫のデータやカスタマーレビューを分析し、最適なソリューションを提供したり、 YouTuberを雇っている会社と組んで、商品のプロモーション方法自体を商社から提案したり、といったことですね。
とにかく、付加価値があるビジネスや、収益構造の転換自体を考えることが増えてきました。そういう仕事の方が単純にやっていておもしろいです。自分がおもしろいと思えて利益も出せる仕事って、理想じゃないですか」
既存と新規をバランス良く見据えて仕事に取り組む山川だが、やはり根底にある芯・軸の部分はぶれていない。
山川 「これからのビジネスパーソンには専門性が求められます。『あなたは何ができるの?』と聞かれて、明確に回答できる人材にならなければならない。
情報管理技術が発達してくると、『誰でもできる仕事』は姿を消します。そんな中、自分が最高のパフォーマンスを発揮し続けるためには、『自分だからこそできることを増やしたい』と今は思います」
野球での敗北をきっかけに学生のころから「成長」という軸を持ち続け、ビジネスパーソンになった今も、日々「進化」を続ける山川。
繊維専門商社の豊島には、若手から成長し、スキルと経験を体得できる環境が随所に溢れている。
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