目指すのは、ビジネス&ユーザー目線を兼ね備えたウェブディレクター
クライアントが抱える課題に応じて、社内外のプロフェッショナルと協力しながら、サイトリニューアルプロジェクトなどのディレクションを行うウェブディレクター。プロジェクト全体を把握しなくてはならず、成否のカギを握っています。今回登場するのは、ウェブディレクターとして日々経験を積み上げている石井 千賀です。【talentbookで読む】
新卒第一号として入社。研修でウェブサイト制作の楽しさを知ることに
ウェブディレクターとして、大規模なブランディングサイトからランディングページまで、さまざまなリニューアルプロジェクトのディレクションを手掛けている石井 千賀(いしい ちか)。大学の環境情報学部を卒業し、2013年にネットイヤーグループに入社しました。
大学時代は、計量できない人間の精神的な機能を数値化する感性データベースや、人間工学、プロダクトデザインなどを中心に研究。就職活動時、ウェブデザインに興味を持った石井に、研究室の教授が勧めたのがネットイヤーグループでした。
石井 「正直よく知らない会社だったので、担当しているクライアントや、過去に手掛けた事例などもチェックしました。すると、私がいいなと思っていたウェブサイトのデザインを、ネットイヤーグループが手掛けていたことがわかったんです」
さらに石井は説明会で、ネットイヤーグループがこれまで中途しか採用したことがなく、新卒採用はこの年が初めてであることも知りました。
石井 「新卒第一号ということに不安はなかったのですが、どんな研修をするのか、そこは気になりました」
入社から1カ月間は、マナー、会社の歴史、契約の基礎知識など、社会人としての基礎を学ぶ研修が続き、その後は実践研修となりました。
実務研修の内容は、社員の知り合いの方が経営する接骨院のサイト制作です。中途入社したばかりのウェブデザイナーと組み、石井はディレクションを担当しました。
石井 「クライアントはいますが、研修のために無料で引き受けた案件だったので、のびのびできた気がします。情報設計やスケジュール調整、クライアントである接骨院の担当者への説明など、実践的にプロジェクト進行の流れを学べて、すごくおもしろかったです。
ウェブデザイナーにイメージを伝えて、イメージ通りのデザインがあがってきたときには感動しました。入社したばかりなのに、接骨院のウェブ担当者が、こちらをプロとして信頼してくれたのも嬉しかったですね」
実践研修でウェブサイト作成の達成感から、さらにウェブデザインの世界にのめりこんでいった石井。
しかし、入社2年目で大きな壁に直面します。
入社2年目の失敗で、ウェブディレクターの任務の大きさを実感
その後は、小規模なサイトリニューアル案件のディレクションなどで経験を積んだ石井。
ディレクターとして自信もついてきた入社2年目、都心にある一流ホテルのサイトリニューアルプロジェクトのメインディレクターに抜てきされます。提案から公開まで、数カ月はかかる大型の案件です。
石井 「メインだし、大型案件ということで、張り切って臨んだのですが、うまくディレクションができず、少しずつスケジュールが遅れてタスクが山積みになり、何から手をつければいいかわからない状態に陥ってしまいました。
メンバーとの意思疎通もうまくいかなくなり、プロジェクト内の雰囲気もぎくしゃく……。 スケジュールに間に合わないとわかった時点で上司に相談すべきだったのに、上司がいつも忙しそうで、なんか遠慮してしまい、ひとりで抱え込んでしまったんです」
途中から、先輩ディレクターがプロジェクトに加入し、現状の問題点やスケジュールを整理。巻き返しを図るためメンバーも追加され、サイト公開日には間に合わせることができました。
石井 「クライアントに迷惑をかけてはいけないと必死だったので、間に合ったときはほっとしました。クライアントとのコミュニケーションは問題なかったのに、メンバーにクライアントの意図をきちんと伝えられていなかったのかもしれません。
問題の有無に関わらず、メンバーが気軽に相談や提案ができるようなプロジェクトチームの雰囲気づくりも、ディレクターの仕事なんだと、そのときに気が付きました」
この失敗経験から、石井はあらためてディレクターの任務の大きさを実感します。
石井 「何か問題が起きたときに、すぐに上司や先輩に相談すること。プロジェクトメンバーとは、普段から活発にコミュニケーションを取ること。このふたつが、私が失敗から学んだ教訓です。それと、プロジェクトやタスクの管理を効率化するツールなど、役立つツールは積極的に活用すべきだと思いました」
2年目の失敗を経て、石井が入社3年目に取り組んだのが、証券会社のサイトリニューアルプロジェクトです。
問題が起きる前に、迅速に次のアクションを
証券会社のサイトリニューアルプロジェクトは、社内では比較的若手のメンバーが集ったもので、更新のしやすさと品質の担保のため、CMS導入が必要でした。石井は、2年目の失敗の経験から、メンバーとのコミュニケーションを密にすること、プロジェクト全体をきちんと把握することを意識。さらに、プロジェクトメンバーの役割分担の明確化、メンバー全員のCMS機能の理解、定期的な社内レビューを徹底しています。
その結果、クライアントからも高い評価を得られました。石井は、プロジェクト成功の理由をこう振り返ります。
石井 「全体を理解していると、何か問題が起きそうになったときも、迅速に次のアクションが取れるんです。次の手を持っているか、すぐに用意できるか、そうしたリスクヘッジの方法をいくつか持っていることも、ディレクターには大切な要素だと思います」
とくに自分から希望したわけではないというディレクター業務ですが、経験を重ねるごとに、そのおもしろさを実感しています。
ウェブデザイナーになりたいと思ったこともありますが、自分で手を動かしてデザインするより、サイトの方向性を決めたり、マネジメントしたりする方が向いていることがわかってきました。
石井 「ディレクターはプロジェクト全体の流れや作業を理解しないといけないのですが、それだけ広い知識が得られます。どうすれば効率的にプロジェクトを進行できるか、考えるのも楽しいですね」
クライアントに一番接することが多いのがディレクター。そのため、クライアントの要望や意見を最初に受け止めるのも重要な役目だと考えています。
そんな石井は今後、どのようなウェブディレクターを目指していくのでしょう。
新しいツールや技術は、積極的にプロジェクトに取り入れていく
石井の仕事のモットーは、新しいツールや技術を積極的に取り入れること。これまでのやり方にこだわらず、利便性の向上や業務効率化につながるツールであれば、果敢に挑戦するようにしています。
石井 「ウェブの世界は日々進化し、次々と新しいツールや技術が登場しています。社内でも情報交換が盛んで、社内チャットやウェブの掲示板などで、こうした情報が飛んでくるんです。気になったものは、とりあえず試してみて、これは役立つと思ったら取り入れます。新しいものに苦手意識を持たないことも、ディレクターにとって大切な条件かもしれませんね」
当面の目標は、プロデューサーと連携しながら、クライアントの要求をくみ取り、さらに案件を広げる力を養うこと。
石井 「そのためには、クライアントのビジネスをもっと深く理解しなければならないと思います。それでいて、ユーザーの目線も大切にしなければなりません。クライアントの課題を解決しながら、ユーザーの不安を取り除くことが求められるのではないでしょうか。まだまだ勉強しなければいけないことがたくさんあります」
今後は、クライアントのビジネスの根幹に直結するプロジェクトに積極的に関わっていきたいと、目を輝かせる石井。
彼女がディレクションした大型プロジェクトが、ネットイヤーグループの事例に追加される日も近そうです。