医学部からソフトバンクへ──ユニークな経歴を持つ3年目女性社員が描くキャリアとは | キャリコネニュース
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医学部からソフトバンクへ──ユニークな経歴を持つ3年目女性社員が描くキャリアとは

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2018年に医学系の大学院を卒業してソフトバンクへ入社し、医療分野の新規事業立ち上げや重要かつ緊急度の高いプロジェクトに携わってきた柳津 瞳。なぜ医学部出身でソフトバンクを選んだのか、そして、彼女がこれまでにどのようなキャリアを歩んできたのか──柳津の経歴を紐解いていきます。【talentbookで読む】

入社直後から希望していたヘルスケア領域へ

医学部卒業後に大学院に進学し、2018年に新卒でソフトバンクへ入社。柳津 瞳は、そんなユニークな経歴を持つ社員です。

入社直後に、IoTを活用した新規事業を進めるIoT事業推進本部へ配属されました。入社時の希望がかなって、ヘルスケア領域のプロジェクトを担当することになります。その後2年が経過したころ、ヘルスケアの組織が役員直下に移管。

1年目の終盤からは、スマートホスピタルのプロジェクトを担当します。プロジェクトのファーストステップとして2019年夏ごろから実証実験を行い、看護師の業務を効率化するICTソリューションの効果検証を行ってきました。

※ 新型コロナウイルス感染症の状況を受けて、現在は実証実験を一時中断しています。

柳津 「医療機関へのICTソリューションの導入によって看護師のスケジュールやタスク、位置情報などを可視化することで、看護師が抱える業務の工数削減につながります。人やものを探す時間が短縮されることにより、余裕を持って患者対応を行えるようになるんです」

また、このICTソリューションで患者がタブレットを使って看護師に何かを依頼する際、申告内容ごとに分かれたボタンを押すことで、用件をスムーズに伝えられるようになります。今後機能を拡充することにより、医療従事者と患者双方の満足度向上につながるだろうと期待されているのです。

柳津 「患者さんによっては、医師が回診する短い時間で、自分の症状を正確に伝えるのが難しい場合もあります。何時にどういう症状があったか、タブレットのボタンを押すだけで記録できれば、症状をより正確に把握できるようになります。治療の精度が上がり、コミュニケーションが円滑になるため、結果的に満足度が上がると期待しています」

2020年時点で入社3年目ながら、大きなプロジェクトに携わってきた柳津。とはいえ、医学部を卒業した学生が新卒でソフトバンクへ入社するケースは、そう多くはありません。なぜ柳津は、ソフトバンクへの入社を決めたのでしょうか。

ビジネスの世界に飛び込んだ理由は、価値提供のスピード感

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高校生のころから健康や病気に興味があり、ライフサイエンスを学ぼうと医学部の人間健康科学科へ進学した柳津。大学では病理や生化学、医工学など、幅広く医療について学びました。その後は大学院に進み、オンコロジー(がん)関連の研究をしていました。

そして就職活動では、製薬会社や化粧品会社の研究職をはじめとする理系職ではなく、文系職を志します。その理由は、理系分野に携わる際の時間軸に違和感を覚えたからでした。

柳津 「大学院では毎日時間をかけて一生懸命研究に取り組みますが、出した成果を論文にしたり、世の中に発表したりするためには、長い時間がかかります。発表までに15〜20年かかることも、珍しくありません。

医療従事者となって目の前の方に喜んでもらえることもすてきですし、研究職として基礎研究や製品開発に携わるのもすてきだと思います。でも実際に研究をやってみて、自分はスピード感を持ちながら世の中に価値を提供し、多くの人に喜んでもらいたいんだとわかりました。

じっくりと取り組んで研究成果をあげるよりも、そういった成果を事業やサービスという形で世の中に出していくことに、よりやりがいを感じられる性格なんです。そのため、研究職や専門職ではなくビジネスの世界に飛び込もうと決意しました」

そして柳津は、デジタルヘルスによる病気の予防に興味を抱きます。

柳津 「私は病気の研究をしていて、それは将来的に治療や薬の開発につながると思われるものでしたが、研究の成果が出るまでにはどうしても時間がかかる領域でもありました。一方で、検査などで病気になる可能性が高いと事前に分かっていれば、予防できるものも増えています。そこで、デジタルヘルスに興味を持ったんです。

治療となると基礎研究の段階から時間がかかりますし、副作用のない万人受けする薬を生み出すのも難しいです。そういった意味でも、ITの技術を活用して予防や健康増進にフォーカスするデジタルヘルスはおもしろいと思いました」

そうした中、たまたま参加した会社説明会でソフトバンクに関心を持ちます。

柳津 「会社説明を聞いて、先を見据えて常に行動を起こしている会社だと感じました。ソフトバンクグループは2016年にイギリスの半導体設計会社であるアームを買収しましたが、「IoT」というワードが世の中に浸透する直前で行動に移していると感じたんです。通信事業にとどまらず、さまざまな領域に事業を広げている会社だという印象を受けました。

そして、ソフトバンクが進めているIoTには、デジタルヘルスも含まれていました。IoTを積極的に推進していて、通信事業を切り口に幅広いユーザーと接点のあるソフトバンクなら、デジタルヘルスの領域でも優位な立場で仕事ができそうだと感じ、選考を受けてみることにしたんです」

晴れて内定を獲得しましたが、大企業であるからこそ、希望通りデジタルヘルスの領域に携われるとは限りませんでした。しかし柳津は、ヘルスケアのプロジェクトが多く存在するソフトバンクであれば、入社後すぐでなくても携われる機会があるだろうと考えていたのです。結果的には、入社直後から希望通りデジタルヘルスのプロジェクトに携わることができました。

二つの大きなプロジェクトとそれを支える仕事のスタンス

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入社2年目でスマートホスピタルプロジェクトの企画リーダーを務めた柳津。社内外の関係者とコミュニケーションを取りながら事業のアイデアを具体的にしたり、収支計画を描いたり、企業や医療機関とアライアンスを結んだりしました。

医療に関わるプロジェクトには、法律やデータの取り扱いなどクリアしなければならないハードルが数多く存在します。デジタルヘルスはこれからの成長が期待されている領域である一方で、とくに日本においては法律や医療構造から生じる障壁や制約も多く、先行事例が多くはありません。まったく新しいビジネスモデルを自分たちでつくらなければならないのは、大変なことでした。

障壁を一つひとつ乗り越えるために、柳津は現場とのつながりを大切にしました。

柳津 「適切なソリューションを提供するためにも現場を知る必要があると思い、医療現場で働いている方々から行動観察の機会を何度かいただきました。その中で、今されている業務の意味を教えていただくなどして、現場に関する知識を深めて関係を構築していこうとしました。

自分を含めメンバーの知識が増え、さらに現場の皆さまとのコミュニケーション頻度も増えたおかげで、プロジェクトも進めやすくなったと思います。ヘルスケアに関わらず事業開発する上で、現場に入り込んで関係を構築することが大切になると感じました」

柳津が仕事を進める上で大事にしているスタンスは、きちんと自分の意見を持ち、伝えることです。

柳津 「研究をしていたときは自分の仮説を持ってPDCAを回していくのが基本でした。これって研究以外のことにも当てはまると思うんです。自分の考えが正しいかどうか調べて、知識を習得することで考える力も増します。また、意見の伝え方を工夫することは、仕事でも大切だと感じます。

もし自分の意見を言うことで疎まれてしまうような環境にいたら、意見を言わなくなって、その結果自分の頭で考えなくなると思うんです。ソフトバンクは意見を伝えることが評価される社風なので、居心地良く感じています」

そして柳津は、スマートホスピタルのプロジェクトに加え、緊急事態宣言下における新型コロナウイルス関連のプロジェクトにも参画しました。これは、ウイルスの感染拡大防止のために最前線で奮闘されている医療関係者や介護関係者のみなさまを支援するためのプロジェクトです。

プロジェクトを速やかに進めるためには、人手が必要になります。そこで、ヘルスケアの業務に携わっている柳津に声がかかりました。

柳津 「新型コロナウイルス関連のプロジェクトは普段携わっているスマートホスピタルの事業と異なり、ゼロからクリエイティビティを発揮するより、定められた指針に必要なピースを合わせていく業務が多いと感じています。

自分にできることを考えながらスピード感を持ってチームで対応することが求められます。それぞれのプロジェクトで求められるものが違うので、身につく知識やスキルも異なりますね。いろいろな経験をさせてもらえるのは、とてもありがたいことです」

経営の知識を身につけ、さらなる飛躍を目指す

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2020年7月、柳津は社長室に異動することになりました。入社直後から携わっていたヘルスケアの事業からはいったん離れますが、異動をきっかけに経営の知識を身につけたいと考えています。

柳津 「経営に関する意思決定を行う方々の仕事を間近で見て、経験を積みたいと考えています」

今後の目標は、ビジネスの知識を持ちながらも研究成果や技術の価値もわかる人材になることです。

柳津 「これからビジネスパーソンに求められる知識をたくさん吸収していきたいと思います。大学院では専門的な研究もしましたが、私は医療の専門家ではありません。

将来的にヘルスケア領域の事業をやっていくためには、有識者の協力が必要になります。そのときビジネスの部分は完全に任せてくださいと言えるくらい、きちんと知識を持っている人材になりたいと思っています」

入社直後の柳津は、1年目からヘルスケアの新規事業に携わることも、社長室で働くことも想像していませんでした。だからこそ、キャリアは常に変化するものだと実感しています。

柳津 「学生のころは、そのとき学んでいることを生かせる企業に行こうと考えがちです。しかし、どんな企業も時代の流れやその時々のトレンドに応じて、事業領域や戦略を変えているところがほとんどです。だからこそ、自分の学んだこと、やりたいことが思わぬ領域で生かせることも多いと思います。そのため、会社のビジョンや社員の人柄に共感できることも大切なポイントだと思います。

いろいろな人と話してたくさんのことを知ると、自分の世界やキャリアイメージの幅も広がっていくはずです。今これを勉強しているからとちゅうちょする必要はありません。今何を目指していてそのためにどうすればいいのかを常に考え、目標設定をしたり行動に移したりするのが良いと思います」

入社3年で大きなプロジェクトの企画リーダーを務め、重要度の高い新型コロナウイルス関連のプロジェクトにも携わった柳津。いずれまたヘルスケア領域のプロジェクトを担当するためにも、自分に足りない知識を身につけようとしています。

若手社員にも与えられるチャンスを生かしながら成長を続ける柳津の今後に、期待が高まります。

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