「変化を起こす立役者になろう」。枠にとらわれずチャレンジを続けるチームの力 | キャリコネニュース - Page 2
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「変化を起こす立役者になろう」。枠にとらわれずチャレンジを続けるチームの力

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3年前、ヤフーからの出向社員として一休の財務経理部長に就任した桑原 俊彦。大きなプロジェクトを経て、彼が一休への転籍を決意した理由とは──そして、枠にとらわれずチャレンジを続けてきた現在、チームはコロナ禍でも柔軟に変化し、やり抜く力を身に付けました。ここに至るまでの想いや取り組みを桑原が語ります。【talentbookで読む】

希望と違う配属……でもラッキー!?ヤフーで過ごした新卒入社時代

就職活動は、営業職を軸に考えていました。学生時代にインターンで営業を経験し、達成感を得た成功体験があったからです。業界は絞らず見ていく中出会ったのが、ネット広告やオークションを展開していたヤフー。入社の決め手は、日々新サービスを生み出し変化していて、未知数で楽しそうと感じたことです。

募集職種は営業だったにもかかわらず、入社直後に配属されたのはコーポレート部門である経営企画部。最初は「どこだそれ?何をやるんだろう」と思いました。経営企画に配属された理由は今でも謎のままです。

入社数カ月は本当にキツかったです。営業職でもないし、何度も辞めたいと思いましたね。

というのも、経営企画部は当時のヤフーにしては年齢層が高く、私の先輩はほぼ30代前半以上。年齢がひと回りくらい違うので、なんというか仕事に関係するすべての思考能力の次元が全然違って、何もできない日々が続いたんです。加えて、そのころのヤフーは、中途社員が9割以上の会社で、新人教育っていう文化もほぼありませんでしたし。目で見て盗めみたいな(笑)。

ただ、ある日ふと思ったんです。「これはもしかするとラッキーなのかも」と。

新卒1年目から経営会議や取締役会の事務局を担当させてもらい、目の前で孫さんが話している、井上さん(ヤフー元社長)や役員の皆さんが経営課題について議論している。

もちろん任された業務は資料のコピーや配布、投影、議事録のドラフト作成といった簡単なもののみですが、上場企業の経営陣がどういった議論をしていて、どうやって会社を動かしているのかを目の当たりにできるってすごい経験をしているんじゃないか……

そう考えられるようになってから、少しずつ意識が変わっていきました。「営業がしたかったら手をあげるか、転職すればいいや。今いる環境で目一杯の成長をしよう」と思えるようになったんです。それからはどんどん仕事がおもしろいと感じられるようになりました。

私は根っから楽観的だと思うのですが、「苦しいときにはポジティブなことを考えるしかない。本能的に楽しいと思えることをまずは探そう」という姿勢が私には合っていたのかもしれません。

グループ会社の経理業務を一任。経営陣と関わる中で見えてきた景色とは

入社8年目、連結経理部に配属されてから本格的に経理を学びました。ど素人の私が、経理部門を持たない複数のグループ会社の経理業務をすべて任され、最初の1年は必死でした。でも次第に経理業務がわかってくると、結構おもしろくて。今度はこちらから何か提案できないかとグループ会社に足を運ぶようになったんです。

グループ会社の経営陣とも話をする機会が徐々に増え、課題を見つけては一緒に変えていくことにやりがいを感じる中で、これまでとは少し違う景色が見えてきました。

私の担当するグループ会社は経理、人事、法務など明確な部門や業務が分かれていないことも多く、役員自ら人事や法務などを担当しているケースもありました。

ヤフーのような大きな会社では、いくつもの部門が役割を決めていて、しっかり分業された体制によって会社は機能しています。でも、規模が小さければそういう考えがなかったんです。人がいないからできる人がなんでもやるっていうのに近い。

それを間近で見続けたことで、分業するリソースがない会社であれば、「これを順々にやっていく」というより、幅広い領域でより裁量を持って仕事をできるんじゃないかと考えるようになりました。このあたりから、グループ会社への出向を希望するようになっていきましたね。

とはいえ、出向させてもらえる機会なんてそんなにたくさんありませんので、上司とはグループ会社へ出向したいというコミュニケーションを続けながら、日々の業務に取り組んでいました。

結果としてグループ会社出向という希望がかなうまで、約4年の歳月がかかりましたが、一方でその4年間もIFRS移行PJや開示業務などやりがいのある仕事にたくさん携われたため、日々の業務は変化に富んでいてあっという間に過ぎていきました。

そうして2017年、財務経理部長としてグループ会社の一休に出向することが決まります。

“当たり前”を疑おう。紙文化からの卒業を目指し動き出したプロジェクト

一休に出向して半年ほどで、いくつかの気付きがありました。もともと上場していた会社だったので、財務経理部門として完成しているんだろうなという第一印象は、まさにその通りでしたが、ところどころで「人手をかけて丁寧にやっている業務があるな」と。

その中で、ひと際目にとまったのは日々の請求入金業務でした。毎月累計で数千枚を超える請求書を印刷・郵送し、控えはファイリングする。入金があれば1件1件控えを探して内容を確認、確認が終わったら別のファイルに綴じる。

どの工程も紙を見ながらダブルチェックなど非常に丁寧に対応し、一つひとつの工程には無駄がない。これまで担当した方たちが考えに考えて改良し効率化してきたんだろうなと感じました。

一方で足元では、宿泊・レストラン双方で事業を急激に拡大していて、取引先である参画施設が急激に増えている状況。今の経理部門のやり方を改良しても、いずれ人を2倍3倍と増やすことになり、コストが高くなることは目に見えていました。

となれば、抜本的に変えるしかない。

こうして、一休に出向して初めての大きなプロジェクトは、請求入金業務の抜本的な見直しを含む会計システムのリプレイスとなりました。

まず私がみんなに働きかけたのは、当たり前となってしまっている業務に対して、一人ひとりに疑問を持ってもらうことでした。経理では一般的に紙を中心とした文化が根強く残っており、それが当たり前と考えられやすく、請求入金業務から紙をなくそうって話になかなかならない。

そこで、はじめはみんなの当たり前である請求書の発行に疑問を持ってもらうよう投げかけてみました。請求書の印刷も郵送も毎月本当に大変だけど、「なんでこのやり方なんだっけ?」と。

すると、「なんとなく変えたかった」とか、「紙をなくしたいけどどう変えたらいいかわからない」という声が聞こえてくる。そして、「よその経理ってどうやっているんだろうね?」という疑問を持つように変化していきました。

「じゃあ、実際によその経理に聞いてみようよ!」と、さっそくヤフーやグループ会社の経理担当者にコンタクトを取りました。そしてすぐに、担当メンバーと一緒にヒアリングしていったんです。

どんな体制でどんな運用で、どんな販売管理システムを使っているか、内容は各社さまざまでしたが、ヒアリング内容はすべて私たちの知見となりました。そうやって得た知見をもとに、一休ではどんな運用にしたいか、できることできないことを見極めながら理想像を考えるようになっていきました。

小さな働きかけをきっかけに、みんなで考え動き、アイデアを出し合うことで、個々に当事者意識が芽生えてきます。すると、チーム全体でどんどん議論が活発になっていく。

こうした議論の結果、請求書発行という紙文化から卒業し、入金チェックも会計システムをリプレイスして大半を自動化させる、という理想像をみんなで見つけることができたのです。後は、この理想像をかなえるために、どんなシステムを選べばいいか、それを決めて形にするだけでした。

ここまでの一連の体験が、メンバーそれぞれが自ら考え、動くことができる今の財務経理チームの土台になったと思っています。

会計システムのリプレイスについては、詳細は割愛しますが、私にとってもチームのみんなにとっても、これまで経験した業務と比較できないくらいの難度でした。経理経験は平均で3~4年以内というメンバー構成で、システムのリプレイスは全員が未経験。外部コンサルはいれず、自分たちの力だけでやる。期間は翌年度期首までの半年間。

こんな状況を羅列するだけで、ある程度想像がつく方もいらっしゃると思いますが、人員補強もせずに上場時と同水準の決算を続けており、これにプラスオンでリプレイスをやりきるというのは相当な覚悟を持って望んでもキツイ業務量だと思います。

プロジェクトはみんなで本当に苦しみながらつらくも乗り越えたという所感ですが、誰ひとり脱落者を出すことなく、この大きな山を登りきった経験は、チームの底力を押し上げましたし一体感も生んだ。すばらしい成功体験だったと確信しています。

さらにチャレンジを──コロナ禍の取り組みとこれからのビジョン

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会計システムのリプレイスが終わり、安定稼動が確認できたころには、一休に出向してからすでに1年半が経過していました。当時、出向期間は平均3年と言われていたので、残り1年半ではリプレイスと同じレベルのことしかできないと感じました。

まだまだ、一休で変えてみたい、チャレンジしてみたいことはたくさん見えているし、見えていない課題もきっとある。ただ、出向期間という時間の制約を無意識に感じてしまい、残された時間でできるかと、どうしても考えてしまう……

そこで、一休でもっと貢献したいという想いがこれだけ強いのならば期限というカセを外そうと、ヤフーの上司に相談し、退社。一休へ入社することを決めました。

もっと貢献したいと思った一番大きな要因は、社風です。

前述の会計システムのリプレイス費用は、数千万円規模の想定でした。当時、私はヤフーからきて半年ぐらい。新参者がいくら熱弁しても「そんなお金はかけられない」「今やらなきゃいけないの?」と言われるかなと思っていました。実際、想定問答もつくっていたくらいです(笑)。

ところが、直属の役員も社長の榊さんも「桑原さんが必要だと思うなら、やってみたらいい。今よりもっと良くなるんでしょ?」という具合にスッと承諾してくれたんです。

このコスト規模のプロジェクトも裁量を持って任せてもらえる。これは私にとって大きな衝撃でした。責任とプレッシャーも強く感じましたが、何よりも期待に応えたいという気持ちが原動力として芽生えたのを覚えています。

一休は会社組織がフラットで、社長も役員も相談しやすい構造になっています。何かチャレンジしようという動きには周囲が協力を惜しまず、応援してくれる。そして結果を出していれば、どんどんチャレンジできる。そんな文化と環境があるんです。

私は、職種問わず社員全員が、変化を起こす立役者になろうという気持ちを持って業務に取り組むべきだと思っています。大きな変化を起こせるタイミングは常に身近にあり、直近では、新型コロナの影響によって私たちの働き方は大きく変わりました。

一休では、2月中旬には一部の社員が在宅勤務に切り替わっていきました。それを受け、私たちは年度決算を在宅勤務で対応する最悪な未来を想定し、どう対策を打つべきか考えだしたんです。こんな動きをはじめようとすると、今から考えなくていいよという会社もあると思います。

だけど、一休は違います。少しでも疑問や不安に思ったことは声に出せばいい。それをみんなが真剣に考える土壌ができているので。

最悪な未来として仮定したのは、「全員が強制的に在宅勤務下にあり、年度決算のスケジュールも変わらず、4月の月初5営業日以内に親会社へ決算報告をする」という状況。そして、在宅勤務における決算業務の新運用を仮組みし、3月頭に行う2月度月次決算では大半のメンバーが実際に在宅で勤務し、業務を進めてみました。

紙をデータに代える、たったそれだけのことなのに運用をはじめると想定外の問題がたくさん出てきます。どう業務に支障が出たのかを細かく分析し、年度末特有の監査対応を含めたすべての業務を見直し、徹底的に紙運用の代替を準備していきました。

3月いっぱいでトライアルの課題を解決していくと同時に、世の中では新型コロナの影響が如実に現れはじめました。緊急事態宣言が発令される少し前に、一休でも全社員の在宅勤務が指示され、仮定していた最悪な未来を本当に迎えることになったのです。

2月度月次決算を即座にトライアルできる個々の力、それを結集して対応するチーム力がなかったらと考えるとぞっとしますが、結果としては本当にやってきた在宅勤務下での年度決算も大きな混乱なく、期日通りに完了することができました。

最後に今後のビジョンについてお伝えします。

私が3年前に出会ったときよりも、チームのみんなはどんどん良い変化を起こしてくれている実感がありますね。これまでのやり方を踏襲する思考だけではなく、ときにはひとりでは乗り越えられないような課題にもチャレンジしています。

結果として自分たちの成長にもつながるし、自分たちの業務がより良い形になるという自信が根底にあるので、変化も怖くなくなってきているんだと思います。

これからは、その変化の中心に自分が立ち、自分自身に大きな役割と責任を与えて変化を起こしていってほしいと考えています。そうすると、財務経理部、さらには一休にとってより大きな変化を巻き起こすことができるからです。

私も常に業務の原点に立ち返りながら、最低でも1年に1回は自分がチャレンジしたことのない業務の中心に立ち、変化を起こしていきたいと考えています。

株式会社一休

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