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社会人が数学を学び直すには?数学講師が教えるポイント

データ分析やAIなど、近年注目されている技術には数学の知識が必要とされます。「算数は四則計算だけできれば大丈夫」。学生時代、そんなふうに数学の勉強を避けてきた人も、数学を学び直してみてはいかがでしょうか。塾や小学校での算数・数学の指導経験を持ち、現在数学専攻の大学院生でもある佐藤全さんに、数学の学び直しのポイントについて聞きました。

目次

 社会人が数学を学び直す意義とは
 社会人が数学を学ぶときのコツは?
 【ビジネスシーン別】身につけるといい数学の知識
 「数学は人間くさい学問」数式の裏にあるおもしろさを知って

千葉大学大学院 数学専攻 在学中。 大手塾で算数・数学講師を長年勤める。 4ヶ月で偏差値を2倍以上あげた例も。 中学・高等学校の数学教員免許取得済。 小学校にて算数指導経験も有。

社会人が数学を学び直す意義とは

社会人が数学を学び直すことの2つの意義

「数学は、それだけでは社会生活で役立たないと思われがちです。しかし、算数や数学で得られる論理的思考力や数的なセンスは、ビジネスの世界でも必要になる素養だと考えています」

そう語るのは、数学講師の佐藤全さん。小・中・高校生といった学生だけでなく、数学を学び直したい社会人も指導しています。

「社会人が数学を学び直す意義は2つある」と佐藤さんは指摘します。

1つ目は、数学を学び直すことで物ごとをより深く理解できるという点です。例えば、プログラミングをするうえで数学は直接必要ありません。しかし、その裏にある要素を深く理解するためには、数学の知識が必要です。

「実用的な技術のバックグラウンドに数学があるということは少なくありません。使いたい技術をより深く知りたいと思ったときに、数学を学ぶ意義が生まれます」

2つ目は、ロジカルシンキング(論理的思考力)が養えるという点です。ビジネスにおいてはロジカルシンキングが大切。自分はロジックが弱いと感じている人は、数学を学び直すことでロジカルシンキングを養うことができます。

学び直しで「本当の数学」が身につく

小・中・高等学校で行われる数学の授業は、先生から教えられた「公式」に数字を当てはめるだけの作業になりがちです。「なぜその公式を使うのか」というところまで考えることはありません。

大学や大学院の数学では、研究課題を発見し、どうすればそれが解けるのかを考え、課題を解決に導くところまで、すべてを自発的に行います。

このように、自ら課題を発見し、解決方法を考え、解決していくことが「本当の数学」であると佐藤さんは言います。

「取引先の顧客の課題を発見し改善案を提示するといったとき、自らその課題を発見する力は必須です。数学を学び直すことで、課題の発見や解決の能力が身につきます」

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社会人が数学を学ぶときのコツは?

公式を言葉に置き換えればわかりやすくなる

学生時代、数学を苦手と感じていた人にとって、数字やアルファベットが並ぶ数学の公式は難解な暗号のように見えます。

佐藤さんによれば「数学の公式は英語と同じようなもの」だそう。

「I go to school.(私は学校へ行く)」という文章が「I」「go」「to」「school」という4つの単語が組み合わせでできているように、数式も「数字」「記号」「アルファベット」が組み合わさって意味を成しているのです。

「例えば、『X² 』という数式は、言葉にすると『Xを2回掛ける』と訳すことができます。数式を記号や数字の羅列としてただ暗記するのではなく、言葉に置き換えてみると理解しやすくなります」

実際に、数式が持つ意味を言葉で説明することで、「なんだ、そういうことだったのか!」と納得する人は多いそうです。

「数学はハードルが高い学問といわれます。しかし、数式を言葉に訳すことを繰り返すうちに、自分で数字を扱うことの楽しさを感じてもらえるのではないでしょうか」

わからないなら1つずつ前に戻る

数学はとても範囲が広い学問です。

数学の学び直しをするには、何のために学ぶのか、目的を明確にしましょう。そのうえで、目的を達成するために必要な分野から着手します。

「学びたい分野をまずさわってみることが重要です。数学のいいところは、わからなかったら前に戻ることができる点です」

例えば、ディープラーニングについて学ぼうと参考書を開くと、そこには回帰分析について書かれています。回帰分析に取り組んでみて理解できなければ、高校数学に戻って勉強します。

「そんなふうに、わからないことがあればその都度、1つずつ学年を戻っていくのです。難しいと感じる数学でも、1つずつ戻っていくと最終的には中学や高校の数学にたどりつくので、必ず『わかった!』に行き着くことができます」

【ビジネスシーン別】身につけるといい数学の知識

「プログラミング」コードで実行できる操作を理解したい

前述したように、プログラミング自体には数学の知識は不要です。しかし、「このコードを書くことでどんな操作が実行できるか」といったプログラミングの裏側まで知りたい人は、線形代数や微分積分、解析学の初歩といった「物の移動」に関する分野を学ぶといいでしょう。

「AI」ディープラーニングをより深く理解したい

AIやディープラーニングで必要となるのは統計学の「多重回帰分析」という手法です。多重回帰分析を深く理解するには、数学の線形代数の知識が必要となります。統計学では、データに誤差が生じることを前提としています。その誤差をいかに少なくするかというところに数学が使われるのです。

「財務」この数とこの数を足す意味を理解したい

財務に携わるにあたっては、難しい数学は必要ありません。必要となるのは、「数的な感覚」です。

例えば、ある議題について、賛成者が88%という結果が出ました。残り12%は反対者とはっきりしているのであれば問題はありません。しかし、無投票の人がいた場合、その議題について「賛成」と可決してしまってよいのかどうかという問題が生じます。

こうした場面では、「この数字とこの数字を足すことにどんな意味があるのか」と考えられる数的感覚が大切です。

「いま、何でもデータの世の中になりつつあります。そんな中、『数的な感覚』がないとだまされるようなことも起きかねません。

例えば、営業資料にある円グラフ。それっぽく作られているのを鵜呑みにしてしまうと、そのものの価値以上のお金を支払わされることもあります。

だからこそ、データリテラシーを身につけることが大切。そのためには、初歩的な算数を思い出してもらうだけで十分なのです」

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「数学は人間くさい学問」数式の裏にあるおもしろさを知って

「数学は人がつくったもの。実は人間くさい学問なんです」と笑う佐藤さん。

数学が苦手な人、子どもに数学のおもしろさを知ってほしいという人には、数学史を紐解くことを勧めます。

「中学や高校で習う『確率』はもともとギャンブルから発生したもの。ギャンブルで勝つためにはどうすればいいかと考えた結果、確率の数式ができあがりました。

『期待値』という概念も、そこからどれくらいの儲けが出るかを予想するために作られたものなのです」

仕事で数学の知識が必要になったら、今までの「苦手」というイメージは忘れて、あらためて数学に向き合ってみてほしいと語りかける佐藤さん。

「数学は一筋縄ではいきませんが、楽しさを感じながら根気よく続けてみてください」

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