大学在学中に環境学を専攻。 空と雲が大好きな気象予報士です。(登録番号:8972)・日本気象予報士会所属 現在は、仕事の合間を使って気象予報士として活動しています。 同年代の気象予報士が増えて欲しいと考えています。
気象予報士とは?
――気象予報士とはどのような資格なのか教えてください。
気象予報士は、天気予報を作成して発表することができる資格です。
気象予報士の資格ができるまで、天気予報は気象庁の予報官しか作れないものでした。気象予報士資格ができてからは、気象庁から予報業務を許可された会社に所属する「気象予報士」も天気予報を作って発表できるようになりました。
■気象の観点から企業にアドバイスできる
――気象予報士にはどのような活躍の場があるのでしょうか。
気象予報士の活躍の場としては以下が挙げられます。
・天気予報を作る
気象予報士の資格を持っている人が、気象庁から許可されている予報業務許可事業者に所属すれば天気予報を作る仕事ができます。
なお、気象庁が作成した天気予報を「読む」だけであれば、気象予報士の資格がなくてもできます。テレビの天気予報で見るいわゆる「お天気お姉さん」でも、気象予報士の資格を持たない人は多くいます。
・企業などで気象の観点からアドバイスを行う
企業の経営判断時にも気象予報士の資格は役に立ちます。
企業の売り上げは気象状況に左右されることがありますし、仕入れ量の決定やイベントの実施判断を行うときにも気象の知識が必要になることがあります。そのようなときに気象の観点からさまざまなアドバイスを行うことができます。
・講座や講演会で気象についての話をする
気象予報士の資格を生かして、講座や講演会などで気象についての知識を多くの人に伝えることができます。
気象予報士試験とは?
――気象予報士試験はどのような試験なのか、教えてください。
気象予報士試験は年2回実施されます。学歴や年齢などによる受験制限はなく、誰でも挑戦できます。
試験は学科2科目と実技で構成されています。学科試験で合格した場合、実技試験で不合格になっても、その後1年間は学科試験が免除になります。
――学科試験はマークシート択一式ですが、実技試験ではどのような問題が出題されるのでしょうか。
実技試験は記述式で、過去の災害事例や気象状況、天気図などを読み解いて文章や図で解答します。事例を正確に解析するための「読む力」と、記述試験に対応できる「書く力」が必要になってきます。
――合格率や難易度について教えてください。
合格率は5%前後で、難関の試験であると言えます。
合格までの道のりは人それぞれで、1回目の挑戦で合格する人もいれば、10回以上挑戦しても合格できない人もいます。私は6回目の挑戦で合格できました。
気象予報士試験の勉強法
――気象予報士試験の勉強方法にはどのようなものがありますか。
私は独学でしたが、資格塾に通って勉強する人もいます。
ただし気象予報士試験は規模が大きい試験ではないため、大々的に開講する塾などはそれほど多くないのが実情です。
――独学で挑戦する場合のおすすめの勉強方法を教えてください。
私の場合、「基本的な知識を十分に身に付けること」と「たくさんの問題を解くこと」を念頭に置いて、教科書と問題集を中心に勉強を進めました。
試験対策には次の2冊が役立ちました。
気象予報士試験に合格するには「気象学」という学問をしっかり理解しなければなりません。この『一般気象学』という本には試験合格に必要最低限の気象学の知識が載っており、受験者には必携です。
前述のとおり気象予報士試験では「読む力」と「書く力」が重要になってくるので、解説が充実した問題集を繰り返し解いて力を付け、試験に備えました。
合格へのヒントはどう見つける?「独学でも孤独にならないで」
■気象予報士を目指したきっかけは「空が好きだったこと」
――田口さんは大学在学中に気象予報士資格を取得されましたが、なぜ資格取得に挑戦しようと考えたのですか。
昔から天気について考えたり空の写真を撮ったりするのが好きで、天気に関わる仕事をしたいと思っていました。今も空を見上げては写真を撮影して、Instagramに投稿しています。
初挑戦は大学2年のときで、合格したのは大学4年の冬でした。3年間チャレンジを続けたことになります。
――長期にわたり独学で受験勉強を続けていると、諦めたい気持ちも生まれてくるのではないかと思います。モチベーションを維持するためのコツはありますか。
マニアックで専門的な勉強内容に心が折れかけたときもありましたが、「絶対に気象予報士になりたい」という思いを強く持ち、挑戦を続けました。
また、資格試験に挑戦していることを周囲の人に話して自分にプレッシャーをかけることで、気持ちを奮い立たせることができました。
■資格取得を目指す人におくりたいメッセージ
――同世代の気象予報士が増えてほしいという田口さんですが、独学で資格取得を目指す人にどのようなメッセージをおくりますか。
気象予報士試験で大変な点は、周囲に同じ目標を持つ仲間を見つけづらいところです。
独学で挑戦しているものの、勉強の進め方やモチベーション維持の方法などが分からずに困っている人もいると思います。
そのようなときは1人で頑張り続けずに、気象予報士の資格を持っている人に話を聞くことをお勧めします。
私は5回目の試験勉強中に、気象予報士の資格を持つ人をインターネットで探してSNSで連絡を取ってみました。試験でつまずいている状況について相談したところ、勉強方法などについてアドバイスを得られ、合格につながる勉強ができるようになりました。
最近ではSNSで人とつながることやオンラインでやりとりすることが容易にできるようになりました。いろいろな人からのヒントを得やすくなってきたことは、周囲に仲間がいない中で気象予報士を志す人にとってはチャンスだと言えます。
これから独学で資格取得に挑戦する人や、現在なかなか合格できずに悩んでいる人は、SNSやオンラインで周囲とつながることも考えてみてください。合格につながるヒントが得られるかもしれません。