結婚契約書とは?メリットとデメリットは?行政書士が書き方を解説 | キャリコネニュース
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結婚契約書とは?メリットとデメリットは?行政書士が書き方を解説

結婚後の夫婦間のトラブルを回避するために「結婚契約書」を作成するカップルが増えています。結婚契約書とはどのようなものでしょうか。どうやって作成すればいいのでしょうか。行政書士として結婚契約書の作成の相談に応じている本園希美さんに聞きました。

目次

 結婚契約書とは?
 結婚契約書を作成するメリットとデメリット
 結婚契約書を作成するときに気を付けたい3つのポイント
 結婚契約書を作成するときは行政書士や弁護士に相談しよう

公務員として9年働いたあと、行政書士として開業しています。 その傍ら、某家庭教師会社にて生徒さん達と出会ってきました。 そこで分かったのは、「皆さん各々に良い勉強の仕方がある」ことでした。 環境も個性も皆さん違う中、同じ授業というのではなく、マンツーマンの良さを生かしたいと思います。

結婚契約書とは?

――近年、結婚契約書という言葉をよく聞くようになりました。結婚契約書とはどのようなものなのでしょうか。

結婚生活における夫婦間での約束事を契約書として残しておくもので、「合意書」の名前で作成することもあります。

結婚前に作成するほか、結婚生活中でもライフステージが変わったときや生活の中で変えたいことが出てきたときなど、必要に応じて更新していきます。

日本ではまだあまりなじみがなく堅苦しく捉えられがちですが、契約社会の欧米では抵抗なく行われているものです。

――結婚契約書の書式や作成方法、保管方法などについて決まり事があれば教えてください。

書式に特別な決まりはありません。契約内容に当事者の合意があり、「署名・捺印」があれば契約書は完成します。

夫婦だけで作成し家庭で保管しているものにも法的効力はありますが、裁判での証拠能力や第三者への対抗力を重視する場合には公正証書として残すことをお勧めします。公正証書にすると公証役場で20年間保管されるため、改ざんや破棄の心配がありません。公正証書にするには、作成した契約書を公証役場に持ち込み、公正証書の作成を申し込む必要があります。

――結婚契約書に記載する事項としてはどのようなものがありますか。

記載内容に決まりはなく、夫婦で話し合って決めていきます。多くの人が定める項目としては以下のものがあります。

・家事分担について

・お金のことについて(家計・こづかい・財産)

・介護について

・住居について(住宅ローン返済など)

・家族計画について

・禁止事項とペナルティについて

上記のほか、子どもが生まれたら子育てに関する項目を加えたり、変えたい点があれば随時更新したりと必要に応じて内容を見直していきます。

結婚契約書を作成するメリットとデメリット

――結婚契約書を作成するとどのようなメリットがあるのでしょうか。

結婚契約書にはさまざまなメリットがありますが、次の4つは特に大きなメリットと言えます。

■結婚前に抱えていた不安を軽減できる

「結婚前に浮気をされた」「金遣いが荒い」など、相手に対して気になることがある人が、契約書を作ることで気持ちを切り替えることができます。不安を払拭し、安心して結婚生活をスタートできることは大きなメリットです。

■日頃の不満を冷静に話し合える

「1年ごとに見直す」「ライフステージが変わったら更新」など、契約書の更新時期を決めておけば、更新の機会に冷静な話し合いの場を持つことができます。日々の不満を「文句」として感情的にぶつけるのではなく、「契約更新に必要だから」として冷静に伝え合うことができ、夫婦喧嘩を防止できます。

■自覚と責任感が生まれる

口頭で交わしただけでは軽視されがちな約束事も、明文化して署名捺印することで「守るべきもの」という自覚と責任感が生まれます。

■負担の偏りを軽減できる

結婚や出産といったライフステージの変化により、特に女性は生活が一変することがあります。この大きな変化の時に何も決めないでおくと、「家事も育児も女性が担当」となり、女性の負担ばかり増えてしまいがちです。

結婚契約書でお互いの役割分担を明確にすることで、女性ばかりが負担を抱え込んだりライフスタイルを大きく変えたりすることを防止できます。

――さまざまなメリットがあるのですね。では、デメリットはあるのでしょうか。

大きなデメリットとは言えませんが、結婚契約書がまだ社会に浸透していないため、人によってはマイナスイメージを持たれることもあるかもしれません。

「契約書を作るなんて、自分を信じていないのか」と思う人もいますので、夫婦間の意識にズレが生じないよう注意が必要です。

結婚契約書を作成するときに気を付けたい3つのポイント

――結婚契約書を作る上ではどのような点に気を付ければよいのでしょうか。

記載内容に制限はありませんが、契約書をより効果的なものにするために気を付けたいポイントがあります。

(1) 契約内容は具体的なものにする

契約内容はできるだけ具体的に決めましょう。「家事は夫、育児は妻」など曖昧な決め方では夫婦間で解釈にズレが生じる可能性があります。家事に関する取り決めであれば「食後の皿洗い」「アイロンがけ」など、項目を挙げて分担リストを作成するのも良い方法です。

また「犬の散歩」「子どもの送迎」「親に会いに行く頻度」など、細かいと思われるものでも明確にしておくことでトラブルを防止できます。

(2) 極端なペナルティ設定をしない

禁止事項とそれに反した場合のペナルティを設定するときは、極端なものにならないよう注意しましょう。

「浮気をしたら全財産取り上げる」などの過度なペナルティは、裁判になったときに「脅し」や「公序良俗に反するもの」と判断されて無効になったり、もし離婚して財産分与をするようになったときに不利になったりすることもあります。

(3) 実現可能な内容にする

契約で定めようとしている項目が、実現可能な内容かどうかを冷静に考えましょう。

例えば「遠方に住む親に毎月会いに行く」という取り決めは、時間的・経済的に見て実現は難しいでしょう。

実現不可能なことを設定してしまうと、「できるわけがないから守らなくていい」となり、契約書自体が「形だけのもの」として重要視されなくなっていきます。実現可能なもののみを入れることで「守るべきもの」になります。

結婚契約書を作成するときは行政書士や弁護士に相談しよう

――本園さんは結婚契約書についての相談を受けることもあるそうですね。夫婦だけで作成した結婚契約書も有効だということですが、あえて行政書士や弁護士に相談するメリットは何でしょうか。

行政書士や弁護士には、結婚契約書の作成依頼や、夫婦で作成した契約書の内容を確認してもらうことができます。行政書士が契約書を預かっておくこともできますし、公正証書にしたい場合にはその手続きも行います。

行政書士などに相談することで以下のメリットが得られます。

■作成する上での不明点を確認できる

いざ結婚契約書を作成しようと思っても、書き方や内容、文言が適切かどうかなど、分からない部分がたくさん出てくると思います。そうした不明点を相談しながら作成できるので、作成時の不安やストレスを解消できます。

■極端な内容になっていないかチェックしてもらえる

前述したとおり、契約書に極端な内容が入っていると裁判時に無効になったり、不利になったりします。夫婦だけで契約書を作成すると感情的な表現や実現不可能な項目を入れてしまいがちですが、法律の専門家にチェックしてもらいアドバイスを受けることで、より適切な内容に修正できます。

■相手に言いにくいことも第三者からの意見として伝えられる

夫婦とはいえお互いに言いにくいこともあります。契約更新時に行政書士に前もって相談しておけば、相手に直接言いにくいことも行政書士からの提案という形で伝え、話し合うことができます。

契約書という響きには堅苦しさもあり、契約なんて大げさだという声もあります。

しかし、夫婦が日々の不満や希望を冷静に伝え合い確認し合える機会は、なかなか持てるものではありません。結婚契約書をきっかけに話し合うことが、ひいては夫婦円満にもつながります。過去に結婚でうまくいかなかった人が、「今度の結婚では失敗したくないから」と結婚契約書を作ることもあるくらいです。

夫婦が末永く仲良く暮らしていくためのツールとして、多くのカップルに活用してほしいですね。

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