「管理職を置くの辞めました」超フラットな組織改革で、3年以上離職者ゼロを実現~「山喜」の挑戦~ | キャリコネニュース - Page 2
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「管理職を置くの辞めました」超フラットな組織改革で、3年以上離職者ゼロを実現~「山喜」の挑戦~

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鉄道車両や航空機、風力発電で使用されるベアリングの部品(主に保持器)を製造する神奈川県横浜市の株式会社山喜さん。ルールで縛られた環境下で仕事をするのではなく、各自が責任をもって業務に集中して取り組み、フラットで風通しの良い組織体制作りを目指しています。また、従業員の4分の1は外国人社員。2018年より離職者は0名です。

独自に様々な取り組みを実施してこられ、今後の改善課題を明確にしようと、ホワイト企業認定の審査にチャレンジし、2020年9月にホワイト企業認定シルバーを取得。現在までの取り組みと外国人技能実習生とのコミュニケーション手法について、山﨑社長と人事部長の豊田様にお話を伺いました。

製造現場に管理職を置かず、各担当者が責任と権限を持って仕事に取り組むフラットで風通しの良い組織体制

――働きやすい社内制度や環境づくりに取り組んだ経緯・狙いについて教えてください。

フラットで風通しの良い組織運営を目指し、製造現場では管理職を置かず、各担当者が責任と権限を持って仕事に取り組む組織体制です。ルール等は設けず各自が働きやすい環境を作り仕事に専念してもらいたいと思っています。

また、生産管理や生産性向上施策においては、タブレット端末を積極的に導入し、担当者間の情報や業務進捗の見える化を行うことにより、円滑でスピーディなモノづくり環境を実現し、クライアント満足度向上を図っております。IoTや先端技術を活用した工場内の自動化や省人化にも積極的に取り組む一方で、複雑な技術の追求・開発、最終的な形状や仕上げ加工などは従業員が細かに行い「人とITの協働」によるクオリティの向上に努めています。

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――工場内のデジタル導入で業務効率が向上したとの事ですが、どのくらいの変化がありましたか?

自動倉庫や生産管理システムの導入、また手仕上げ加工のロボット化により20%程度人員削減し、生産性向上を実現しました。労働力不足をデジタルで補い、従業員には人の手でしかできない作業に専念する時間が捻出でき、製品のクオリティUPにも繋がりました。

――技術力向上のための研修制度や試験はあるのでしょうか?

若手に対して定期的に外部研修等のOFFJTを実施しています。また、厚生労働省が実施するものづくりマイスター制度を活用した実技指導を必要に応じて取り入れています。

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――取り組みを展開したことで社内・社外から感じられた効果はありますか?

2021年から自社独自の働き方改革に取り組み、フレックス制度を活用し、生産性向上、技術力向上、技術継承を目指します。

――2018年より離職率が0名ですが、何か取り組まれている事はありますか?

まず、社内アンケートを実施して従業員からの意見はできる限り改善を実施しています。また、年に2回、社長面談を実施し、仕事に問題を抱えている従業員には、配置や業務の転換を柔軟に行っています。このように、問題は何かしら改善を実施することで、職場に対する意見を出しやすい環境にしています。

社員の4分の1は外国人。日記交換で日本語能力向上やメンタル面のサポートを実施

――外国人雇用を積極的に実施していますが、工夫されている点等ありますか?

ベトナムからの外国人技能実習生含め、弊社の4分の1は外国人が活躍しています。来日後1年間は日本語で日記交換を実施し、日本語能力向上のほか、日常業務では見えないメンタル面のサポートも行っています。もちろん、福利厚生や社宅ルール、プライベートなども制約は設けておらず、個々の判断に任せています。職場の敷地内に家庭菜園のスペースを設けており、そこには母国で馴染みのある野菜を栽培して楽しんでいますよ。

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――ホワイト企業認定取得後に、社内外から得られた効果はありましたか?

従業員の働き方に対する考え方が前向きで柔軟な姿勢という評価を社外の方から頂きました。今後はリクルート活動にも認定の効果が出ることを期待しています。

――ホワイト企業の認定取得を目指したきっかけや目的を教えてください。

過去10年以上にわたり、社内改革を実施してきて、効果を実感できていますが、今後十数年先に迎える経営層の世代交代、現場の世代交代を鑑みたときには現体制のままでは限界がくると感じていました。新しい取り組みをしていかないと進歩していけないと感じる中で、自社の自流の取り組みを外部の評価基準に当てはめたときにどのような結果になり、今後の改善課題が潜在しているかを明確にしようと、ホワイト企業認定の審査にチャレンジしてみました。

――今後注力してく取り組みがあれば教えてください

認定審査を実施して今後の課題点だと感じたのが、技術力の向上、技術継承です。先輩社員から後輩社員へのOJTによる指導やOFFJTを通した外部指導、また業務のマニュアル化に注力して改善していきたいです。

また、自社独自の働き方改革の推進や、フレックス制導入による時間外労働という概念との決別を目指したいです。

――最後にホワイト化を目指す企業様へ一言

企業を取り巻く環境の変化が激しい中で、ホワイト企業認定の取得を目指すことは自社を客観的に見つめ直すいい機会だと思います。

<ホワイト財団のインタビューページ>

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