【コロナ禍の学生支援】キュービック、在宅インターンの実施やオフィス解放で学生の学業と就業の両立を応援 | キャリコネニュース
おかげさまで9周年 メルマガ読者数
65万人以上!

【コロナ禍の学生支援】キュービック、在宅インターンの実施やオフィス解放で学生の学業と就業の両立を応援

Q0-768x444

株式会社キュービック様は「インサイトに挑み、ヒトにたしかな前進を。」をミッションに掲げ、ヒト起点のマーケティング×デザインでビジネスを前進させる会社です。比較サイトを中心としたデジタルメディア事業を行っており、新しい価値を見つける比較サイト『your SELECT.』、初心者のためのFX比較サイト『エフプロ』、暮らしをおいしく便利にするウォーターサーバーの比較サイト『ミズコム』、「もっといい求人」を探す人のための転職支援サイト『HOP!ナビ(ホップナビ)』、マネーに関する視野を広げるお金の総合比較サイト『MONEY VIEW(マネビュー)』などを運営しています。フィールドワークを重視し、表面的なニーズではなくインサイト(深層心理)を的確に捉え、人々をよりスムーズな課題解決体験へと導いています。

2020年12月ホワイト企業認定 ゴールド取得、第5回ホワイト企業アワードコロナ対策部門受賞。同社で導入する長期インターンシップ制度や、アワード受賞の取り組みである「新型コロナ緊急学生支援プロジェクト」について、コーポレートコミュニケーションチーム/PRセクション 兼エクスペリエンスデザインセンター、ブランドデザインチームの平山直子様にお話を伺いました。

「超」実践型の長期インターンシップを導入し、入社後の低い離職率と高いエンゲージメント、若手社員の成長に寄与

――働きやすい社内制度や環境作りに取り組んだ経緯・狙いについて教えてください。

私たちキュービックは、ヒト起点のマーケティング×デザインで事業を発展させ、社会に貢献する会社です。コアバリューには「ヒト・ファースト」、ミッションには「インサイトに挑み、ヒトにたしかな前進を。」を掲げ、これらを軸に経営のすべてが一貫するよう取り組んでいます。

社内制度や環境づくりもこの例外ではありません。インターネットユーザーはもちろん、パートナー企業や社内メンバーなど、仕事を通じて関わるすべてのヒトの前進に、そのインサイトと向き合うことでコミットする。このスタイルが私たちの勝ち筋であると信じて推進しています。

Q1-scaled

――自社の特徴的な取り組み・制度の概要を教えてください。

特徴的ということで申しますと、弊社では2006年の創業時より、就職直結の短期インターンではなく手取り足取り教わるアルバイトでもない「超」実践型の長期インターンシップを導入しています。

Q2-scaled

“トライアルとしてのビジネス経験を積む”のではなく、“インターンが自身のキャリアや働くことの価値・意義について深く考える機会”という位置付けです。ビジネスの本番を提供し、社会人に求められる能力の開発や社会人基礎力の向上に早期から取り組んでいます。現在社内には140名ほどの長期インターンが在籍しています。

長期インターンシップを通じ、学生は自分のキャリアや将来についてじっくりと考えられ、会社は事業や組織を成長させる重要な戦力の獲得・ミスマッチのない新卒採用を実現できる。そして労働人口が減少していく中で社会を知った状態の学生を世の中に輩出するという意味で、社会にとっても好影響。長期インターンシップは、学生よし、会社よし、社会よしの三方よしな仕組みだと考え、取り組み続けています。

――「超」実践型の長期インターンシップを導入したことで社内・社外から感じられた効果はありましたか?

「超」実践型の長期インターンシップの実践により、以下のような効果を感じています。

入社後の低い離職率と高いエンゲージメント
・インターンシップを経験していない中途入社社員の離職率は約10年で37.6%である一方、インターンシップを経験した社員(新卒・出戻り入社)の離職率は20.5%と低い傾向にあります。
・エンゲージメントスコアの調査では、全社平均が63.9ポイントであるのに対し、インターンのスコアは72.6ポイントと、高い傾向にあります。(※リンクアンドモチベーション社の組織診断サーベイを使用)

学問への理解・興味の深化
・大学の学びの実践の場としての効果があります。
・長期インターンシップを行うことで、実務に直結する学問のみでなく、教養など様々な分野への興味が高まっています。

入社後すぐに部下を持つことで若手社員の成長に寄与
・入社してすぐにインターンの部下を持つことになり、社員の成長スピードが上がっています。
・役職者になる前の、マネジメントのプレトレーニングとして機能しています。

――長期インターンシップ導入から実施、成果があがるまでに苦労したエピソードがあれば教えてください。

弊社では、インターンも重要な戦力で、一緒に働く仲間として主体的に関わってもらう必要があります。そのため、職場で存分に力を発揮してもらえるよう、インターンのための人事制度も整えています。

例えば、採用が決まると、インターンは約40時間分の初期教育を受けます。内容は、ビジネスマナーや情報管理、仕事の進め方など新人研修のようなカリキュラムで、自動車教習所のように各自が選択・受講し、試験に合格して初めて現場に出ることが可能になります。

さらに配属先では、直属の上司と隔週で1対1の目標と達成状況を確認する面談を行い、3カ月ごとに人事も交えた評価会議を行います。そして、月1回、3カ月に1回、半年ごとの社員総会で、優秀な成績を残した学生は社員と同様に表彰されます。

インターン生も社員と同様に表彰される。表彰式の様子

インターン生も社員と同様に表彰される。表彰式の様子

140名ほどの長期インターンがいて、採用も不定期なので、まさに1年中研修をしているようなものです。大変といえば大変です。もちろん、こうした仕組みを運用するためには、長期インターンを受け入れる職場全体の理解が重要です。組織が大きくなるほど、理解を得る難易度も高まります。その点では、インターンと共に働くワークスタイルについて採用現場で丁寧に説明したり、定期的に経営からインターンと働く意義を説いたり、マネジメントする社員をサポートするための研修や1on1やツールなども用意したりすることで、長期インターンシップの定着を支えています。

こうした取り組みの積み重ねで、社員側は「受け入れる自分たちこそ成長できる仕組み」として長期インターンシップを前向きに捉えられるようになっています。

――ホワイト企業認定の取得を目指したきっかけや目的を教えてください。

どちらの企業様もそうだったと思いますが、コロナ禍において弊社も試行錯誤し、いろいろな取り組みを行なっていました。経験したことのない状況のなか、誰もがそこから一歩でも前進するためのヒントを求めていると感じていました。

私たちのコロナ禍の取り組みのなかで、少しでもいい兆しのあるものは社会と広く共有すべきと考えていたところで、第5回ホワイト企業アワードのコロナ対策部門を見つけ、応募に至りました。その過程でホワイト企業認定を取得しました。

――ホワイト企業認定取得後に、社内外から得られた効果はありましたか?

自分たちが良かれと信じて取り組んできたことを、今回こうしてご評価いただけたことは大変喜ばしく、弊社で働く一人ひとりのさらなる自信に繋がったと感じています。

社外の方からも長期インターンシップに関することやコロナ禍の取り組み、その他組織づくりに関することなど、詳しく話を聞きたい、参考にさせてほしいといったお声をいただき、嬉しく思います。引き続き自社の情報を開いていくことで、さまざまな方々と共に社会を前進させられるよう努めてまいります。

「新型コロナ緊急学生支援プロジェクト」でインターン生のさまざまな支援施策を導入しながら、会社とインターン生双方の成長貢献に繋げる

――第5回ホワイト企業アワードコロナ対策部門を受賞した貴社の「新型コロナ緊急学生支援プロジェクト」について教えてください。

「新型コロナウイルスによる経済的打撃に苦しむ学生を応援できないか?」この問いと正面から向き合い誕生したのが「#キミの明日を応援したい CUEBiC presents 新型コロナ緊急学生支援プロジェクト」です。このプロジェクトには、学生がコロナに負けず、むしろ逆境をチャンスに変える可能性が秘められています。

Q7_1

【取り組み背景】

コロナ禍によって学生の未来が奪われてしまう
新型コロナウイルスの猛威は、世界中の人々に大きな苦しみと悲しみを与えました。日本でも健康被害はもちろん、深刻な経済的被害に襲われました。その影響は、アルバイトやインターンで生計を立てる学生、そしてコロナ禍により両親の仕事に打撃を受けた学生にも波及したのです。 実際、学費や生活費に困窮し、退学を考えた学生もいるでしょう。コロナは学生から、日常だけでなく未来さえ奪ってしまう脅威だったのです。

キュービックならではの方法で学生に恩返しを
コロナ禍による経済的打撃で苦しむ学生がたくさんいる現状。私たちはそんなニュースを見るたび心が痛み「キュービックだからこそできる、学生を救える方法はないか」と真剣に考えました。その思いの原動力は、キュービックとインターンの深い縁にあります。キュービックでは現在も100名以上の長期インターンの学生が在籍していますが、創業当初より数多くの学生が働き、会社の成長の原動力として活躍してくれていたのです。そんな背景から「頑張ってくれている学生に恩返しをしたい」「コロナ禍によって学生の将来が奪われるようなことがあってはならない」という強い思いに至ったのです。そして4つのプロジェクトが決定し、本格的に動き始めました。

①「信頼関係」が可能にした在宅インターンの実施
Q7_2-scaled
コロナ禍により飲食業や小売業などが軒並み閉店となり、アルバイトで生計を立てていた学生も経済的に大きな打撃を受けました。そんな状況のなか、キュービックでは「インターンに負担をかけたくない」という思いから、100名を超える全インターンの在宅勤務を決定しました。

企業としてインターンの在宅勤務を解放するのは勇気が必要でしたが、「キュービックで働いているインターンとの信頼関係」に賭けたのです。インターンの上司にあたる社員は、ZoomやSlackなどのツールなどを駆使し、インターンとのコミュニケーションの量と質を下げない工夫をしています。なかには「常時接続タイム」という時間を設ける上司も。これはオンライン上の「部屋」を作り、メンバーが必要に応じて入室して相談するシステムで「気軽に声をかける感覚で相談できる」とインターンからも好評でした。

「いかにコミュニケーションの質と量を下げずに在宅での仕事を続けるか」上司社員のそんな思いに応え、インターンは在宅でも活躍してくれています。
●参考:https://support-students.cuebic.co.jp/projects/intern/

②学生向けビジネスコンテスト「CUEBiZ」を開催し、逆境をきっかけに変える学生ならではの新規事業を募集
Q7_3
「コロナで暗い顔ばかりしていられない!」「新しい何かを始めたい。アイデアを形にしたい!」そんな学生から新規事業を募り、賞金を贈るビジネスコンテストです。コロナ禍で経済的ダメージを受けた学生の救済が目的ですが、「学生にチャンスを提供したい」という思いも込められています。

チームを組んで、一つの目的に向かって張り切るのはかけがえのない経験になるはず。社会人では出せないような斬新なアイデアを期待して開催しました。 「コロナを逆境で終わらせない、きっかけに変えてやる!」「誰かがやるだろう、じゃなくて自分がやるんだ!」という強い意気込みを形にしてみてほしいと願って。提案によっては事業化の可能性も用意しました。

コンテストの企画・運営には学生インターン2人が手を挙げ、2020年5月29日に開催されました。12チームが集結し「withコロナかafterコロナを踏まえた新規事業のアイデア」で戦いました。衛生面に特化した飲食店のランキング掲載サイトや、日々の生活に癒しを与えるためペットを飼ってみる体験サービスなど、各チーム工夫を凝らした提案が展開されました。
●参考:https://support-students.cuebic.co.jp/projects/cuebiz/

③「学生の未来を守る」ために、学生向け一時貸与金の制度整備

コロナ禍によって学費や生活費の捻出に苦しむ学生たち。そんな状況下で「キュービックにできることは何か」を検討し、生まれたのが一時貸与金の制度です。本制度を始めるにあたり、まずは社内のインターンに向けてアンケートを実施し、学生が置かれている状況を把握。そのうえで、学生生活の継続が難しいなどの状況が確認できれば貸与を検討します。公共団体などの施策に近い制度で、事業ではなく無利子を予定しています。 コロナの影響で学生の未来が失われてはなりません。そんな思いから生まれた制度です。
●参考:https://support-students.cuebic.co.jp/projects/scholarship/

④学生の経済支援を目的とした子会社「キュービックペンシル」を設立。契約、報酬支払いなどすべてのプロセスをスピーディーに
在宅でも可能な業務を「業務委託」という形で学生に提供する取組みです。「もっともシンプルな契約フローの締結」「報酬支払いを週次で可能にする体制の構築」を実現。これにより、本当に困っている学生に少しでも早く報酬を届けることを可能にしました。仕事内容はコーディングや記事執筆に関わるリサーチなど、オンラインで可能な業務に限ります。 今後もオペレーションを改善し、グループ会社や賛同企業への業務委託に範囲を拡大していく予定です。 業務内容が拡充すれば、支援可能となる学生も増えると考えています。
●参考:https://support-students.cuebic.co.jp/projects/pencil/

⑤緊急事態宣言解除後、学生インターンの学業と就業の両立支援を目的に、学生インターンにオンライン授業受講環境としてオフィス解放
Q7_4
新型コロナウイルスの影響により、多くの大学授業がオンライン化されつつあります。一方、オンライン授業の受講環境整備には課題があるとも言われています。そこでキュービックでは、2020年6月1日より、大学授業をオンライン受講することになった学生インターンに対しオフィスの一部を開放しています。学生インターンは、通信が安定的で集中環境の整ったオフィスをオンライン授業の受講場所として活用し、学業に励むことができます。また、授業受講に伴う移動が不要となり、新たに生まれた時間を活かして働くこともできます。会社のインターネット回線を利用するため、学生は通信費を負担しなくて済むというメリットもあります。
●参考:
https://cuebic.co.jp/post-5443
https://news.mynavi.jp/article/20200616-1057895/

【取り組み効果】

これら取り組みの結果、自宅・学校・オフィス、3拠点の移動時間を削減し、インターン時間にあてられることで、学生の経済的支援につながり、会社としても彼らの勤務時間が伸びたぶん、裁量の大きな仕事を任せることが可能になりました。

Q7_5

また、大学と職場の距離が縮まることで、インプットとアウトプットのサイクルが高速化し、学生の成長やエンゲージメントの向上を実現しました。彼らの成長は事業や組織の成長に直結するので、会社にとって大きな価値です。この取り組みは、学生と会社、いずれにとっても好影響をもたらしてくれました。

Q7_6

――今後注力してく取り組みがあれば教えてください。

今回は長期インターンシップのお話をご紹介しておりますので、敢えてそこに絞って想いをお伝えしますと、日本にはまだまだ長期インターンの事例は少なく、一度導入した企業でさえも組織づくりに悩み、取り組み自体を止めてしまうという現状があります。

長期インターンに本気で取り組みたいと思っている企業の皆さまと交流し、これまで弊社が培ってきたノウハウを活かしてご支援しつつ、日本に長期インターンが定着する一助になれたらと思っております。長期インターンを世の中のスタンダードにしていきたいです。

<ホワイト財団のインタビューページ>

アーカイブ