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550日かけて完成させた経営理念 “マルハンイズム”を体現すると「再現VTR出演」や「ボーナス反映」も

第3回ホワイト企業アワードで「理念共有 部門賞」を受賞

第3回ホワイト企業アワードで「理念共有 部門賞」を受賞

パチンコホール、ボウリング場、アミューズメント施設等の経営を行うマルハンが、2018年3月に開催された「第3回 ホワイト企業アワード」(JWS/日本次世代企業普及機構 主催)で「理念共有 部門賞」を受賞した。

マルハンには、社員たちが時間をかけて作り上げた経営理念と、それを浸透させるためのユニークな制度が存在するという。経営企画部ダイバーシティ推進課の高原安未さんに話を聞いた。

“マルハンイズム”を体現したエピソードは朝礼や再現VTRで共有

イズムの芽のエピソードについて朝礼で共有する様子

イズムの芽のエピソードについて朝礼で共有する様子

――受賞に至った理由や具体的な取り組み内容を教えてください。

一番は「理念経営」をベースとして、形だけではなく従業員約1万2千人が自分ごととして働くことが出来る土台と仕組みの浸透が評価いただけたポイントであると捉えています。メインの取り組みは3つです。

1 つ目は、マルハンイズムの芽制度。どんなに小さなことであっても、日々の行動の中にマルハンイズム(経営理念)を体現している姿を感じる瞬間があります。その小さなことを「芽」としてとらえ、マルハンイズムを感じる出来事を「エピソード」として全社で共有する制度です。日々の朝礼の中での共有に加え、年次にてイズムの殿堂審査会を開催し、後世にも語り継ぎたいエピソードを選出しています。そのエピソードは、社内でさらに共有するために本人出演等による再現VTRにし、全社共有を図っていることも特徴です。

2つ目は、イズムを軸とした人事制度の運用。通常の業務についても結果だけではなく、プロセスに着目をした評価シートを使用しています。加えて、上司のみの評価ではなく「イズム」という基軸から、上司・同僚・部下という360度から評価を行い、業績とは直接の関与のないイズム体現度を賞与に反映していることも特徴です。

3つ目は、広範囲に渡るトップメッセージの発信。全幹部を集めた年2回の会議での発信はもちろん、社内報・VTR作成・教育ツール化を通して、幹部だけではなく全従業員へとトップの考えや会社の方針が伝わるように工夫をしています。(高原さん、以下同)

――こうした取り組みを行ったことで、実際にどのような影響があったのでしょうか。

「理念経営」という土台があることにより、現在「働き方改革」の取り組みも行っておりますが、マルハンらしい取り組みとしてスタートを切ることが出来ています。働き方改革といえば、本質が伝わらないままに、長時間労働をとにかく是正しなければならない取り組みとして推進してしまうと、現場が疲弊し本末転倒の取り組みとなってしまうということもあると伺っています。

しかし、当社においては、マルハンイズムの中にある「1+1は3以上」という慣れ親しんだ言葉・考え方があるので、働き方改革を「相乗効果を発揮する真のチームワーク実現」のための取り組みであるとの理解に比較的スムーズにつなげることが出来ました。また、ワークとライフを足し算して3以上、つまりは当社の理念である「人生にヨロコビを」につなげて考えることも出来たため、店舗運営型で接客業であり難易度はそう低くない中ではありますが、前向きに取り組むことが出来ています。また、取り組み紹介させていただいた1つ目の「マルハンイズムの芽制度」の効果の一つとしては、入社時はマルハンに入社することに反対していた従業員のご両親がご子息の活躍をご覧になり、マルハンファンになっていただけた事例もございます。小さな取り組みの積み重ねが「業界を変える」につながっていると感じられた一場面でもありました。

経営理念は550日間もの時間をかけて完成。ときには社員同士の衝突も…

――これまでの取り組みのなかで、苦労した部分もあったのでしょうか。

苦労したポイントは何より「継続すること」です。紹介した取り組みは創業当時からあったものではなく、企業として急拡大をした1990年代より、今一度、働く意味・目的・理念の大切さに振り返ったことをきっかけに取り組み始めたものになります。

当プロジェクトの始まりは1997年になりますが、当時在籍していた従業員数約1,000名全員で立場に関わらず550日間かけて仕事への意識や考え方・目指す方向の共有を行いマルハンイズムを完成させたので、なかなか意見も合わず衝突も有り、まぁ大変だったとのこと笑。完成後の仕組みにおいても、特に評価面については、イズムという形にならないものを賃金化することにも反対も有りました。それでも、会社としてなによりもだいじなことは「理念」であるというメッセージをし続けるという思いから、継続し続ける決意をし、今に至ります。

――ホワイト企業に認定されたことでメリットを感じていることはありますか。

社内においては、従業員のモチベーションの向上やマルハンで働くことへのエンゲージメント向上につながったのではないかと考えています。この賞をいただいたことを、社内表彰でも取り上げていただいたことから、知名度はぐっと上がりました。長年取り組んできたことを表彰頂く機会はめったにないので、従業員一同とても喜んでおります。

また社外においては、社長自身も同業他社の経営者から「おめでとうございます!」と声をかけてもらえたと聞いています。中でも一番の効果は、採用シーンであると感じています。新卒採用の場面において、当社の取組等を紹介する際にホワイト企業アワードのロゴと共に紹介することで学生の皆様から、より取り組みに興味を持ってくださっています。「ホワイト」という言葉からも企業への信頼度が高まっているように感じます。

真摯な取り組みは誰かに届く。より”社会に必要”だと認知される企業へ

店舗にて働き方改革についてのミーティングを繰り広げる様子

店舗にて働き方改革についてのミーティングを繰り広げる様子

――今後の取り組みや目標について教えてください。

今後は、多くのメンバーになぜこの賞を受賞できたのか?という部分についての認知を広げていくと同時に、真摯な取り組みはしっかりと誰かには届いているということを噛み締めて従業員一同で様々な取り組みを行っていきたいと考えています。これから先は、会社における新規事業の展開や従業員の働く環境の積極的な整備につとめ、引き続きダイバーシティの全社浸透・全従業員の活躍推進を支援していきたいです。今後も社会にとって必要だと認知される企業となれるようチカラを尽くします。

※本記事は、受賞当時(2018年3月)のインタビューをもとに作成しています
 ホワイト財団のインタビューページ

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