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離職率が大幅ダウン!不動産業界「フォーラス&カンパニー」が取り組んだ、社員が辞めない組織作りとは?

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2019年3月、大阪市を拠点として、不動産の賃貸仲介、売買、管理、資産運用等の事業を展開するフォーラス&カンパニーが、「ホワイト企業認定」を取得した(ホワイト財団/一般財団法人日本次世代企業普及機構 主催)。

「給与は歩合制」「使い捨てが当たり前」など、超ブラックなイメージがつきまとう不動産業界において、フォーラス&カンパニーは従来の給与体系の見直しを行い、従業員が長く安心して働ける組織作りに注力した。その結果、離職率の大幅ダウンに成功したという。今回はその具体的な取り組みについてお話を聞いた。

「このままでは存続の危機」--会社が直面した“採用難”

――ホワイト化を推進しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

ホワイト化を進めようと思ったきっかけは、人の採用が厳しくなったからです。実は、不動産業界は非常にブラックです。歩合制が当たり前、売上で給与も評価も全てが決まります。この業界に入って30年経ちましたが、昔から「使い捨ての文化」と呼ばれてきました。昔からこの業界は、キャリアアップという概念が全くありませんでした。数年働いて、別の企業に転職が当たり前の世界でした。

改革を行う前までは、弊社も同じように人の入れ替わりが激しかったです。人がいなくなるから新しい人を入れてとやってきましたが、5年ほど前から採用がうまく行かなくなりました。人はいなくなるのに、人が入ってこないので、人材不足に悩んでおりました。少し前までは、「最近の求職者の考え方がうちとあっていない。」と思っていましたが、それは違うのではないか、このままでは存続の危機がではないか、と気がつき、改革をはじめました。

――今回、ホワイト企業認定の取得に至った理由や具体的な取り組み内容を教えてください。

目先の収入を目的とした働き方からの脱却を目指し、「成果報酬型」の評価制度から「総合評価型」の評価制度へ変更しています。

社員が生涯働く年数は新卒入社を前提に考えると40年~50年ほど。本来であればこの長い期間での生涯年収を考えキャリアアップをすべきでありますが、成果報酬型となると目先の成果に拘るが故に将来を考えたキャリアアップをしなくなり、営業能力のみに特化した社員となってしまいます。そうなれば年収は若いうちに頭打ちとなり、短命な社員しか生まれなくなります。

こういった部分を解消するべく能力と成果のバランスを取った総合評価に変更することで、その社員が40歳・50歳になった時に市場価値の高い人材へと成長させることを可能とし、同時に安定的な生活水準を確保しながら安心して勤務できる制度設計へと切り替えております。

離職率が大幅低下!査定方法の見直しで社員の成長意欲もアップ

評価面談の風景

評価面談の風景

――こうした取り組みによって、どのような効果・影響がありましたか。

成果報酬型の評価制度を運用している時は成果の残せない社員は給与が非常に低く生活の危機を招く結果となっていたので、特に結婚をしていて家族のいる社員に関しては早期離職に繋がっておりました。結果入社して数ヶ月で離職する社員も多く、離職率は非常に高い状態となっていました。この部分が総合評価制度へ移行したことで給与も安定し離職率が大きく低下しました。

また能力UPに必要な項目も細かく細分化したことで可能な限り明確な評価を行うことが可能となり、より社員一人ひとりの課題を明確にすることでその社員の成長へも繋げることができています。

――これまでの取り組みのなかで、苦労した部分もあったのでしょうか。

成果報酬を希望する社員への理解が非常に苦労したポイントとなります。高額な給与をモチベーションに売上貢献していた社員からすると、ある意味売上にリンクしない給与システムに戸惑いと不満がありモチベーションダウンに繋がった事実と離職に繋がった事実があります。

ただ、結局一時的な成果には一時的な報酬しかなかったのも事実ですので、年収で考えるとそこまで高い年収となっていない事実を理解してもらい、能力と結果を総合的に判定することで安定して給与を上げることができることへの成功体験にてクリアできたと思います。

――ホワイト企業に認定されたことでメリットを感じていることはありますか。

まず大きくは離職率の大幅な低下があります。やはり生活の基盤となる給与は非常に重要なものですし、能力UPでその給与が上がっていく成功体験が大きな要因だと考えられます。

社外からの効果としては入社したいと言ってくれる求職者が格段に増えました。要因は評価制度の変更だけではありませんが、時代が求める企業へ近づけている実感があります。

社員ひとりひとりの生産性向上。時代にマッチした「ホワイト企業」へ

インタビュー風景

インタビュー風景

――今後の取り組みや目標について教えてください。

人が集まり、人が辞めない組織作りが出来てきている中で、次のステップとして今以上に社員の成長を促し生産性を向上させるといった部分への取り組みを強くしていこうと思っております。社員数が増えた分の生産性向上を求めていく必要があり、組織としての強さを今後求めていこうと思っております。

熟練者から新入社員への勉強会などによる経験・スキルの継承や、より効率的に業務を行えるツール などを取り入れていき、特に若手の成長を促せるような取り組みを行おうと思います。

また業界的に様々な知識を要する業務が多く、業務に関わる資格取得という部分に関して会社として社員のバックアップを行っていこうと思っております。

※本記事は、認定当時(2019年3月)のインタビューをもとに作成しています
 ホワイト財団のインタビューページ

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