9日間の‟連続休暇制度”の導入がもたらした思わぬ効果~アキュラホームが目指す、社員を幸せにする働き方改革~
ホワイト財団/一般財団法人日本次世代企業普及機構が主催する「ホワイト企業アワード」を過去3回受賞し、「ホワイト企業認定」も取得している、株式会社アキュラホーム。
「休みなし・深夜残業が当たり前」といった考え方が蔓延している、住宅業界。このような状況について、同社は「幸せな住まいを提案する企業として社員も幸せでなければならない」という社長の考えのもと、自社のホワイト化を目指したという。今回はその具体的な取り組み内容についてお話を聞いた。
9日連続休暇の取得制度を導入! 有休の‟取りにくさ”を刷新
――ホワイト企業認定の取得に至った具体的な取り組み内容を教えてください。
長期休暇制度です。長期休暇制度は、9日間の連続休暇を通常の休暇にプラスで取れ、仕事と休みのメリハリがつけられる制度です。
突発的に9日間休暇を取ることは難しいので、長期休暇制度では事前に、いつ休暇を取るのか、また休暇中に何をするのか、と計画を立てます。こうすることで、休暇を取るために仕事を自分で事前に調整したり、周囲の理解・協力を得ることが出来、高い取得率となっております。
社歴が若いほど有給休暇は取得しづらい空気感はありがちですが、弊社では社歴によって連続休暇の取得率が変わることはありません。それも役職が上の者が進んで長期休暇を取得しているからだと思います。実施1年目で7割を超える社員が長期休暇制度を利用しています。
「長期休暇制度」によってチームの生産性があがった理由
――こうした取り組みを行ったことで、実際にどのような影響があったのでしょうか。
「長期休暇制度」によって、改めて当社の働き方改革を進めるには、「個人のマンパワーに頼りがちだった業務をチーム力によって対応すること」が重要であることがわかりました。
これまで、多少の連休であれば個人のマンパワーで何とかなっていたものも、9連休となると休みを取るために計画的に仕事に取組み、自分が休暇中でもチームで対応できるように様々な準備を行う必要が出てきます。また、休み前に想定できないような突発的な対応も発生するため、普段から管理職を中心にチームメンバーとの情報共有やフォローし合える体制をとる必要が出てきました。
結果、仕事の属人化を防ぎ、チームで業務にあたる仕組みが作られました。そして計画的により前倒しで仕事を段取りすることが身に付き、本質的に生産性がアップしました。
これらの経験を踏まえ、当社ではチームで業務を補い合う意識や各人の得意分野を発揮することで、効率的かつ大きな成果を挙げる取り組みが増えてきています。
――これまでの取り組みのなかで、苦労した部分もあったのでしょうか。
制度実施前のアンケートでは、「無理だろう」とネガティブな気持ちを持っている社員が数多くいました。アンケートには記載していないが、心のなかではネガティブな気持ちを持った見えない層の社員もいると思うと、不安になりました。
本当にこの制度を実施しても難しいのではないのか、という怖さも正直ありました。実際に制度をスタートさせて3~4ヶ月は取得率が伸び悩んだ時期もありました。
しかし、発信し続ける事で社員の意識も変わりだし、長期休暇を取るために効率化して頑張ろう、というポジティブな気持ちに変化していきました。トップの強い意志とその意志を常に発信していくことが必要なのだと改めて思いました。
社員が「達成感」や「充実感」を得られる会社へ。より柔軟な働き方を実現したい
――ホワイト企業認定されたことで、メリットに感じていることはありますか。
2016年3月に長期休暇制度を導入以降、毎年7割程度の社員が取得していますが、社員やご家族からの評判は非常によく、「この制度をなくさないで欲しい」という声が多く上がっています。
また、お客様からも「このような制度があってよい会社ですね」と良い印象を持っていただけるなど、社内外から想像以上の反響がありました。弊社の「お客様をしあわせにするためには、まず社員がしあわせでなければならない」という理念を知っていただくと同時に、社員が生き生きと活気があっていいな、と思ってもらえる様になりました。
やはり、家を建てたいお客様に喜んでもらうために社員が幸せに働けない環境では意味が無いと思います。
――今後の課題と感じている部分や、目標を教えてください。
4月に法改正がありましたが、まだまだ推進ができていない「働き方改革」が課題と考えます。
「働き方改革」は法改正への対応はもちろんですが、当社の考え方である「しあわせな住まいを提案する企業として社員もしあわせでなければならない」を前提に、「働きごたえ」があり、「働きごこちのよい」企業を目指し、長期休暇制度のように社員と楽しみながら各施策を考えていきたいと思います。
単に長時間労働の削減や休暇の充実を図るだけではなく、社員が仕事に対して「充実感」や「達成感」を感じ、ひとりひとりに合わせた多様で柔軟な働き方の実現を目指していきたいと考えています。
※本記事は、認定当時のインタビューをもとに作成しています
ホワイト財団のインタビューページ