平均残業時間1.1時間/月を実現! 残業ゼロ宣言をした「サカタ製作所」本気の働き方改革 | キャリコネニュース
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平均残業時間1.1時間/月を実現! 残業ゼロ宣言をした「サカタ製作所」本気の働き方改革

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新潟県長岡市に本社を構える株式会社サカタ製作所。かつては長時間労働が常態化していたそうです。2014年11月の全社集会において、坂田社長が「残業ゼロを目指そう!」と目標を掲げ、時間外労働の削減に取り組まれました。各部署の管理職と労務担当、ITシステム課が連携し、削減に向けて業務改善や制度変更などを行い、2016年には平均残業時間1.1時間/月を達成。

2019年ホワイト企業認定取得と同時に、第4回ホワイト企業アワードにエントリー。働く社員が心身ともに健康で持てる資質・能力を十分発揮する環境を作った事を評価し、健康経営部門受賞と共に、短期的な取り組みではなく中長期的な「働きやすい職場づくり」を体現していること、またその取り組みが実績として、業績向上につながっていることを評価し、最優秀賞を受賞しています。

今回は取締役総務部長の樋山様と総務部総務経理課の岡部様に、残業ゼロに向けての取り組み内容と健康経営についてお話をお伺いしました。

平均残業時間17.6時間/月から2年で1.1時間/月を実現!

ーー2014年11月の全社集会をきっかけに、残業時間削減に取り組まれたそうですね。

はい。当社では年に1度、来年度の経営方針を発表する全社集会を実施しています。その年は(株)ワーク・ライフバランス社代表の小室淑恵さんをゲストにお招きし、時間当たり生産性の重要さについて講演していただきました。

小室さんの講演前に行われた社長による経営方針発表では、事前に役員会で決定していた「残業時間20%削減」を次年度の目標として発表していました。しかし、小室さんの講演内容を聞き、社長が方針を改め「残業ゼロを目指す!」と全社員の前で宣言し、改革がスタートしました。

▲2019年全社集会での社長講の様子

▲2019年全社集会での社長講の様子

ーー全社集会の「2015年残業ゼロ宣言」後、何から始めたのでしょうか?

2015年1月から残業ゼロの取り組みを開始するために、12月中に残業ゼロにするための準備を各部署で検討しました。管理職はどうしたら残業ゼロになるか、1か月で考えをまとめ、体制を整えました。例えば夕方に業務が集中する部署については、各部門の管理職と労務担当で相談し、規定業務時間内に収まるよう就業時間を後ろ倒しにする時差出勤という体制をとることにし、勤怠管理システムで新しい就業時間のパターンを作りました。

また、かねてより業務効率化のためIT活用を推進していたITシステム課が各部署と連携し、業務改善を行いました。

ーー業務効率化のために、クラウドを活用されたとのことですが、いつから始まったのでしょうか?

社内共有ツールとしてMicrosoft Office365を導入開始したのは2012年です。当初は営業の日報報告を検索できるようリストで管理することを目的として導入しています。

その後、2014年よりMicrosoft社のYammerを活用し始めました。他の営業メンバーのみならず、設計部門や役員とも情報共有でき、報告内容に対しコメントも入れることが出来るため、部門横断的にコミュニケーションが活性化しました。

残業時間の多かった設計部門では、熟練者と新人でミスややり直しの頻度に相違が起きており、業務工数にも影響していました。そのため、熟練者の知識や情報を洗い出し、それを元にマニュアルを作り、ツール上に共有。作業工数の削減に繋げていきました。

また、案件ごとに発生していた図面作成や見積作成等のフローをシステム構築し、自動化しました。自動化により、それまで約3日かかっていた業務を10分程で完了できるようになりました。

当社では各部署の業務実態に合わせたIT活用を推進しています。情報共有が進み、誰でも業務対応できるようになり、長時間労働の抑制につながっています。

ーー社員の中には、ITシステムに慣れない方もいらっしゃると思います。そういった方への対応など、どのように社内IT化を進めたのでしょうか?

当初、慣れ切った従来の業務の運用を見直すことに対し否定的な声もありましたが、社内へ展開するにあたり、各部署のキーマンに使用方法を伝え、システムを浸透させる手伝いをお願いしました。

ーー2015年以降、残業時間を含めて社内の変化を教えてください。

残業削減を実施する以前、2014年の平均残業時間数は17.6時間/月でした。

残業ゼロ宣言後の2015年は5.9時間/月、
2016年  1.1時間/月
2017年  0.9時間/月
2018年  1.1時間/月 ここ数年の1か月の平均残業時間数は1時間前後を維持しています。

残業ゼロが経営方針に掲げられた2015年には、業務効率化に対し貢献した社員を高く評価し、その貢献度に応じて賞与を支給しました。また、当社では継続的に「改善活動」という取り組みを実施しており、チームごとに業務効率を向上させるアイデアを提案するようにし、会社貢献度の高い上位のチームを表彰しています。改善活動は社長も重要視している取り組みです。

当初は残業削減のために業務の見直しや新しい運用を取り入れることに対し否定的な声が上がることもありました。しかし、残業削減のための業務効率化を推進した結果、今では新しい業務運用にも慣れ、残業せずに帰ることが当たり前となりました。

そのおかげか時間当たり生産性や業務改善に対する意識が会社全体に強く根付いているように感じます。

「働く社員が心身ともに健康で、持てる資質・能力を十分発揮すること」は企業の最大の価値として取り組む健康経営

ーー貴社が実施する健康経営について教えてください。

2018年より、企業方針として健康経営を加え、全社で取り組んでいます。

会社で昼食弁当を注文できるのですが、以前は高カロリーでボリューム重視のお弁当しか選択肢がありませんでした。今は社員の健康増進のため、塩分控えめでカロリーを抑えた健康的なお弁当もメニューに加えています。また、1日に必要な野菜摂取量を学べるランチ講座のほか、会社にスポーツインストラクターを招いての健康講座などを実施しました。

2019年からは就業時間中は完全禁煙とし、希望者には禁煙治療費の助成を行いました。また、人間ドック費用の会社全額負担なども実施しています。

▲食堂での健康経営イベント「野菜プラスランチ」の様子

▲食堂での健康経営イベント「野菜プラスランチ」の様子

ーー健康経営の取り組み方について、工夫している点はありますか?

社員の健康づくりに関して、保健指導や座学形式の講習会などは簡単に実施できますが、実施しやすさよりも社員が前向きに楽しんで取り組んでもらえる企画を意識して検討するようにしています。

▲インストラクターによる「健康講座」の様子

▲インストラクターによる「健康講座」の様子

ーーホワイト化の取り組みにより採用の効果はありましたか?

当社の取り組みをテレビ番組やWEBメディア等で紹介していただく機会が増えたおかげか、以前と比べ求人への反響も大きくなっているように感じます。中途採用に関しては、充実した制度に魅力を感じて頂くことが多いですね。

ーーホワイト企業認定取得後に、社内外から得られた効果はありましたか?

かねてより働きやすい職場づくりに取り組んでおりましたが、ホワイト企業認定制度のおかげで以前より当社の取組の認知度が高まったように感じます。テレビ番組などで当社がホワイト企業として紹介された翌日には、社員の間でもその放映内容が盛んに話題となっている様子で、自社への注目度の高さが就労意欲を刺激することを期待しています。

社外においては、お取引先各社よりお褒めの言葉をいただくことが増えたことはもちろんですが、会社の信用度評価等で多少加点をいただくなどの効果があったようです。

ーーコロナ禍に伴う貴社の対応を教えてください。

社員の世帯人数分のマスクの配布や、テレワークを実施しました。テレワーク実施にあたり、テレワーク用のデスク・チェア・モニター等の備品購入費補助、デスクトップ型PCからノートPCへの入替なども行いました。

また、子供の臨時休校に伴う休暇制度を設けるほか、子供の預け先がない社員については、子連れ出社を許可し、就業中は食堂を開放して子供が待機できるようにしました。

今後は食堂や事務スペースなどに、飛沫感染を防ぐアクリル板等の設置を検討しています。今後も同様の感染症等のリスクから社員を守るために、マスクや消毒剤等を継続的に備蓄する予定です。

ーー最後にホワイト化を目指す企業様へ一言お願いします!

今後生産年齢人口が減少する中で、人材を確保し、事業を継続するためには、働く人に選ばれる魅力的な会社づくりに取り組む必要があります。業務や職場環境の改善には反発がつきものですが、社員が新しいやり方に慣れてしまえばサイクルはうまく回り始めます。

※本記事は、2020年6月当時のインタビューをもとに作成しています
 ホワイト財団のインタビューページ

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