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「最近の若手は出世意欲がない」という管理職の思い込みがよくない理由

画像はイメージ

「最近の若手は出世意欲がない…」
「ワーキングマザーには配慮しなければ…」
「年上の部下はモチベーションが低い…」

部下に対してそんな印象を抱いている管理職も多いのではないでしょうか。しかし、このようなイメージにとらわれ過ぎると、マネジメントは上手くいきません。今回は、管理職として部下に持つイメージを越えてマネジメントしていくことにについて綴ってまいります。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)

無意識の偏見がマネジメントを難しくする

「ダイバーシティ&インクルージョン」の文脈では、無意識の偏見のことをアンコンシャスバイアスと言います。日本語では、「無意識の偏見」「無意識の思い込み」と訳されます。自分では気付いていない「ものの見方や捉え方の歪みや偏り」を示す言葉で、「男性は運転がうまい」「若者は発想が新鮮」「お茶くみは女性がするもの」などが典型例です。部下のマネジメントや組織運営においても、こういう先入観や固定観念があると判断に歪みや偏りが生じ、適切な意思決定が難しくなってしまいます。

私達の脳は、関心を持った情報をキャッチするように出来ています。大好きなパートナーからはいいところばかりが見えてくるでしょうし、嫌いな相手からは嫌いなところばかりが見えてきてしまいます。部下に対する思いも同じです。「出世意欲がない」「ワーキングマザーは家庭が最優先だ」「年上の部下はモチベーションが無い」と捉えた瞬間に、その通りの情報を私たちの脳はキャッチしてしまうのです。

多様なメンバーの本音に耳を傾けよう

では、多様なメンバーの本音とはどのようなものでしょうか? 私がこれまで見聞きしてきたとある若手部下、女性部下、年上部下たちの生の声を紹介致します。

・若手部下

本当は貢献心や好奇心が強くて、学習意欲もあります。でも、入社時に描いていたものと、目の前の仕事のギャップがあまりに大きく、諦め感に支配されてしまう毎日です。そんな毎日ですが、出世したくないわけではないですし、稼ぎたくないわけでもないです。ただ、上司が伝えてくれるポストや報酬だけでは、強く動機付けされないのが現実です。

・女性部下

家庭はもちろん大事ですけど、仕事だって頑張りたいと思っています。過剰な気遣いで、仕事や役割を取り上げられてしまうと、逆にモチベーションが下がるのが実際です。上司が配慮してくださるのは嬉しいのですが、第一線から外されている感が否めません。

・年上部下

モチベーションは、「失くしている」というよりは、「見失っている」状態です。昇進・昇格を望めないなか、何を目指して頑張ればいいのか模索しています。年下の上司からは、自分の経験を活かしてチームに貢献してほしいと言われますが、あまりでしゃばるのもなんですし、何をやったらいいのかわかりません。

皆さんのメンバーも、以上のような本音を持っている可能性があります。上司が持つイメージを越えて、部下理解を進めて行く必要があるのです。

多様なメンバー一人ひとりを育成するマインドを持つ

ダイバーシティには表層的なものと、深層的なものがあります。表層的なダイバーシティは外見から識別可能なもので、性別/世代/社会的地位/人種/民族/働き方(育児・介護との両立)/雇用形態/障がいの有無等です。これらは表層に現れるので、そういう意味では対処がしやすいと言われます。

しかし、難しいのは深層的なダイバーシティへの対処です。パーソナリティ/価値観/思考/信条/宗教観/文化/興味/関心等で、外からは判断できません。同質性が高いと言われる日本人同士の中で深層的な部分に気づいていく為には、深いコミュニケーションが必要です。

上司としては、部下と自分の考え方は違うといったことを前提に、支援をしていく必要があります。これまでの記事の中でお届けしているコミュニケーションスキル等を活用して、部下理解を進めて行ってください。そして、一人ひとりの部下をオーダーメイドでマネジメントしていく感覚を養っていってください。それが、今の時代の組織成果への近道だと信じて!

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筆者近影

筆者近影

【著者プロフィール】田岡 英明

働きがい創造研究所 取締役社長/Feel Works エグゼクティブコンサルタント

1968年、東京都出身。1992年に山之内製薬(現在のアステラス製薬)入社。全社最年少のリーダーとして年上から女性まで多様な部下のマネジメントに携わる。傾聴面談を主体としたマネジメント手法により、組織の成果拡大を達成する。2014年に株式会社FeelWorks入社し、企業の管理職向けのマネジメント研修や、若手・中堅向けのマインドアップ研修などに携わる。2017年に株式会社働きがい創造研究所を設立し、取締役社長に就任。

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