「部下が何を考えているのかさっぱりわからん…」 部下が本音を話したくなる上司になるにはどうすればいいのか
人間は古代からの生存競争の中で、他者の弱点を見つけて攻撃をし、生き残ってきたというDNAを持っています。すると敵や仲間かどうかわからない相手に対しては自分の弱みを見せないようにします。皆さんも、敵対する相手や良く知らない人には自分の素性をさらけ出すということはしたくないし、しないのではないでしょうか。
まさに最近の上司と部下の関係は、敵対するというところまではいかないもののお互いに”疑心暗鬼”状態であることが多いようです。
部下からすると
「この上司は、本当はどんなことを考えているのだろうか?」
「うまく自分を使って、昇格しようとしているのではないだろうか?」
「この上司の言っていることを信じていいのだろうか?」
といった思いを持っていたりします。
人間の脳は”知らない”ということに不安を覚えます。「この人はどのような人間なのだろう?」と考えると、脳の中には空白が出来ます。すると脳はその空白を埋めようとするのですが、その空白を埋めることが出来ないと不安を感じてしまうのです。
まさにお互いを知り合っていないことがお互いの脳の中に不安を生み、本音の話がされることを阻んでいるのです。
まずは上司の方から自己開示 自分の失敗談も話してみよう
本音のコミュニケーションを現場に育むには、お互いに関心を持つ場を作っていくことが求められます。場を作るとコミュニケーションが生まれ、コミュニケーションが生まれるとお互いへの関心が生まれてきます。ここで上司の皆様にやっていただきたいのは部下が持った上司の皆さんへの関心で発生した空白を埋めるコミュニケーションです。
空白を埋めるコミュニケーションの基本は上司の自己開示です。私はいつも、以下のような話をすることをお勧めしています。
・学生時代の話や恋愛話
・家族構成他、プライベートの話
・自分がこの会社に入った理由
・この会社でのこれまでのキャリア
・これまでのキャリアの中での失敗談
・自分の夢
特に部下の方々は上司の方の失敗談に興味がありますので、自分の失敗経験をざっくばらんにお話しください。ただ一つだけ注意点があります。失敗経験を話す中で、その失敗をいかにクリアしていったかを話すことになると思いますが、決して自慢話にならないように(笑) 自慢話になった瞬間に部下の心は離れていってしまいますので……。
信頼関係を気づけば部下の方から悩みを話してくれるようになる
まさにダイバーシティ時代、様々な価値観や思いを持った方々が組織の中で働いており、お互いの理解が進みにくいのが現状です。そのような中で大切なのは上司部下の絶対的な信頼関係です。信頼関係を作るために相互理解のコミュニケーションを現場に作っていきましょう。そのスタートは上司自らの自己開示コミュニケーションです。
上司自らの自己開示がうまく機能すると、部下から介護や子育てといった家庭の状況や仕事やこれからのキャリアで感じている不安等を進んで話してくれるようになってきます。このような状態になれば組織マネジメントは飛躍的に進めやすくなります。頑張ってください!
【著者プロフィール】田岡 英明
働きがい創造研究所 取締役社長/Feel Works エグゼクティブコンサルタント
1968年、東京都出身。1992年に山之内製薬(現在のアステラス製薬)入社。全社最年少のリーダーとして年上から女性まで多様な部下のマネジメントに携わる。傾聴面談を主体としたマネジメント手法により、組織の成果拡大を達成する。2014年に株式会社FeelWorks入社し、企業の管理職向けのマネジメント研修や、若手・中堅向けのマインドアップ研修などに携わる。2017年に株式会社働きがい創造研究所を設立し、取締役社長に就任。