社長が現場に直接口を出しすぎてメンバー混乱! 管理職は一体どうすればいいのか
中小企業の社長、特に創業経営者は人生をかけて自身の事業を営んでいます。そのため常に自社の成長に対する強い思いを持っています。なので、次のような流れに至ってしまいます。
(1)当事者意識が管理職のあなたや他の従業員とは比べ物にならないくらい高い
(2)現場の状況に自分の思いとの違いやギャップを感じやすい
(3)現場に直接指示を出したくなり、現場に直接顔を出す
この社長の行動のもととなっているのは”不安”です。そして、その”不安”は放っておくと”いらだち”に変わっていきます。
管理職のあなたは、社長の不安が”いらだち”になる前に、その思いを受け止めていきましょう。そのためには、社長と深いコミュニケーションをとりながら、その”不安””いらだち”の原因が何なのかを探っていく必要があります。
中期のビジョンを聞きながら社長の”不安”の原因をつかんでいく
多くの経営者の不安の原因は、
「自分の思い描いているものと同じことを従業員が描いてくれているのか?」
「自分の思いが従業員にしっかり伝わっているのか?」
といったものです。このような”不安”を抱える社長に対しては次のような2ステップでコミュニケーションをとっていく必要があります。
第一ステップ
(1)会社の理念やミッションを確認する。
(2)理念やミッションを達成するために、3~5年後の社長の描く中期ビジョンを聴く。
(3)中期ビジョンに向かった行動方針を確認する。
(4)上記を伺った感想を述べ、自部署での展開を改めて報告することを約束する。
第二ステップ
(5)中期ビジョンと行動方針から考えた自部署の目標と行動を伝える。
(6)社長からの質問に答える。
(7)自部署の目標と社長の目標が同じ方向に向かっていることを確認しあう。
もちろん社長とあなたとの信頼関係があることが前提ですが、ポイントは長期ではなく、3~5年の中期ビジョンを聞くということです。
社長の思いと従業員の思いをつなぐのが管理職の仕事
社長の頭の中には管理職の皆様より、はるか未来を見た自組織があります。そして遠い未来程、抽象度が高くなります。抽象度の高い目標は具体的な行動をなかなか生み出しません。つまり、社長の頭の中に遠い未来の自組織ビジョンはあるものの、具体的な行動を現場に見ることが出来ないので”不安”→”いらいら”の流れが出来てしまうのです。
そこで、管理職のあなたでも理解でき、具体的な行動を考えることができる中期のビジョンを聞き、具体的な行動を見せていく必要があります。社長は、自分の思いが十分に伝わっていないと思って現場に出てきます。社長の思いと従業員の思いをつなぐパイプ役として管理職の皆様の存在は非常に大切なものとなります。
特に昭和型の考え方のもと育ってきた社長と平成型の考え方のもと育ってきた若者をつなげていくことは一筋縄ではいかないのが現実です。管理職としてはコミュニケーションスキルを常に学び、現場で実践していくことが大切です。コミュニケーションスキルについては今後の記事の中でも触れてまいりますので、参考にしてみてください。
【著者プロフィール】田岡 英明
働きがい創造研究所 取締役社長/Feel Works エグゼクティブコンサルタント
1968年、東京都出身。1992年に山之内製薬(現在のアステラス製薬)入社。全社最年少のリーダーとして年上から女性まで多様な部下のマネジメントに携わる。傾聴面談を主体としたマネジメント手法により、組織の成果拡大を達成する。2014年に株式会社FeelWorks入社し、企業の管理職向けのマネジメント研修や、若手・中堅向けのマインドアップ研修などに携わる。2017年に株式会社働きがい創造研究所を設立し、取締役社長に就任。