「せっかく一流大学を出て有名企業に入ったのに!」 大手からのベンチャー転職、「嫁ブロック」をどうやって回避する?
パターン1:ブランド信仰型ブロック
「一流大学から大手の○○に入ったのに!」「〇〇商事でせっかく活躍してるのに勿体無い」「そんな大手銀行に入ったんだから頑張ればいいのに」という「ブランド信仰型」ブロック。
会社の実態や働き方ではなく「知名度やブランドこそ会社の価値」と考えがベースにあります。このパターンは奥様のみならず両親や義実家など含め「二枚ブロック」されるケースもあり、比較的年配の方に多いです。ただし転職自体がNGなわけではなく、ブランドが同等以上であれば問題なくブロックが解除されるのも特徴です。
パターン2:収入不安型ブロック
「これから色々物入りだし、子どもの教育費用もかかるし収入減はNG」「安定した高収入を捨てるのは絶対ダメ」といった、収入不安にまつわるブロックです。
中には「周囲はタワマン住んでるのに、うちは普通のアパート。今でも我慢してるのにさらに貧乏になるなら子どもを連れて実家に帰る!」とまでなったケースもありました。収入面での不安・不満でブロックされるケースは、旦那の収入に家計の依存度が高い場合には、当然起こりやすくなります。
パターン3:健康不安型ブロック
最近は働き方改革の影響もあり、大企業では労務管理がかなり厳しくなり、長時間残業などはほぼ皆無になっています。逆にスタートアップやベンチャー企業はその辺はまだまだで、過重労働になるケースも多いです。
長時間労働によるフィジカル・メンタルのリスクを理由に奥様にブロックされる。これは夫の健康を守りたいという、ある種の優しさから来るものでもあり、ホワイト企業であれば転職OKとなるパターンです。
「普段から信頼されているから問題なかった」という人も
一方、ノーブロックで大手からベンチャー転職に成功した方のパターンもいくつか特徴がありました。
パターン1:大企業にいても将来が見えにくいからノーブロック
ブランド企業、大企業であっても、なかなか仕事が任されない年功序列の職場、スキルアップが体感できないような業務に従事されている方などは、むしろ「ベンチャー転職」でのキャリアチェンジをポジティブにとらえてもらえることもあるようです。日頃から仕事の話や自分の想いなどが共有できていると、いざ転職時でも背中を押してもらえるようです。
パターン2:家に入れるお金が減らないからノーブロック
最近はベンチャー転職でも年収が下がらないどころかむしろ上がったり、ストックオプショが付与されるケースも増えて来ました。短期的にみて収入が減らず、かつ今後昇給の可能性もあるのであれば、奥様もそこまで反対しない事が多いようです。中には、元の年収を奥様に明かしておらず、実際は年収は下がったものの奥様に渡すお金は一定に保ちブロックを回避した。という方もいらっしゃいました。
パターン3:なんとかなるからノーブロック
意外と多かったのが「あなたがやるっていうんだから何とかなるんでしょ」というパターン。普段から信頼残高が多い方に多く、奥様が旦那様に一任勘定するケースです。むしろ「不安定な職につくんだからもう一人子どもを作りましょう。その方があなたも逃げ道がなくなるでしょ」という奥様もいたくらいです。旦那は何をやっても何とかする男である、と完全に信頼されており、ハイパフォーマーの奥様に多いパターンです。
「嫁ブロック」の本質は夫婦のコミュニケーション不足
今までいくつかのパターンを見て来ましたが、結論からいいますと「嫁ブロック」は旦那側に都合よく創造された言葉に過ぎません。「嫁ブロックされちゃってさ~」「嫁ブロックで御社を辞退いたします」などという発言は、一見「頑固な嫁が悪い」ように見えて、実体はすべて自身の行動に起因した結果であり、単なる言い訳であるというのが私の持論です。
人生のパートナーである奥様と普段からしっかりとコミュニケーションをとり、転職のみならず、お互いの価値観を共有した上で、今後のライフプラン・キャリラプランが共有されていれば、突如ブロックされるなどということは起きにくいはずです。
本当に自身で納得できるキャリアや人生を歩みたいのであれば、安易に「嫁ブロック」などという言葉で片付けるのではなく、自分の言動に責任を持ち、未来志向で進んでいくべきです。その時奥様は信頼できるパートナーとなっているのではないでしょうか。
【著者プロフィール】飯盛崇
エックスエージェント株式会社 代表取締役。1997年に富士通に入社し営業と人事を経験したのち2005年より株式会社リクルートへ。総合企画部、HR営業、人材育成業務に従事。退職後、慶應義塾大学大学院経営管理研究科に進み在学中に3社創業。うち株式会社iCAREではCEO、COOを歴任し創業から6年間事業を牽引。現在はスタートアップ・ベンチャー企業特化型の人材紹介会社を経営し、起業支援団体「メンター三田会」の事務局も務める。経営学修士(MBA)。