「何もしたくない」と思ったときにするべきこと 実は「やる気」はあってもなくてもいい
目の前に取り組むべき課題がある時に限って、「何もしたくない」「面倒くさい」という気分になることがあるものです。子どものときには、親や教師から「もっとやる気を出しなさい!」「やる気がないから駄目なんだ!」と言われたことがある人も多いと思います。
しかし、そんな風に言われれば言われるほど、
「やる気がないから出来ないんだ」
「やる気がないから駄目なんだ」
と、自己否定に陥ってしまいます。前向きな気分になれないとき、一体どうすればいいのでしょうか(文:ビジネスコーチ 駄田井 一孝)
億劫な気持ちを感じる→紙に気持ちを書く→簡単な事をやってみる
世間では「やる気」が行動するための必須事項のように思われていますが、本当にそうなのでしょうか。私は、日々、企業で働く様々な方と関わっていますが、皆、やる気に溢れているわけではありません。
仕事に行くのが億劫だと思っている人もいれば、今日は休みたいなと思っている人もいます。目の前の事から逃げ出したいと思っている人も多いです。でも、本来はそれが普通なのです。その人たちは、「やる気があるからやる」「やる気がないからやらない」とは思っていなくて、「やる気」があるかどうかに関わらずに動いています。つまり、気持ちと行動を結びつけるのではなく分けているのです。
「やる気」があるならあるで、それは素晴らしいことです。ですが、「やる気」は行動するための必須要素ではありません。私たちには、気持ちに基づかずに行動する能力があります。
やる気を出さないといけないと思うのではなく、やる気はあってもなくてもいい。自信をつけないといけないと思うのではなく、自信はあってもなくてもいい。ネガティブな思考になってしまう。その自分でOK。それくらいに思っておきましょう。
では、本当に気力が沸かないときはどうすればいいのか。「何もしたくない自分」「やる気のない自分」「何をするのも面倒だと思う自分」が出てきたら、その気持ちをまずは、ノートやメモに書き出します。そして、そのままの自分で、何か簡単な事を一つやってみるのです。
メールの返信をする、台所のお皿を洗う、体操をする、散歩に出る。何でも構いません。簡単な事を積み重ねていくことで、気持ちと行動を分けることが出来る自分を体験できます。
億劫な気持ちを感じる→紙に気持ちを書く→簡単な事をやってみる。そして、行動を起こせたらもう一つやってみる。そんな風に簡単な事から試していきます。
もちろん、仕事が立て込んでいたり、過度のストレスを抱えている時は、今日は休むという選択も必要です。ですが、そんなに疲れてもいないけど、何となくやる気が出ない。何もする気がなくなっている。そんな時は、上記のステップに取り組んでみましょう。
気持ちに基づかずに行動を起こせる状態を目指す
気持ちと行動を分けて考える上で、もう一つ知っておいてほしいことがあります。それは、私たちが新しいことに挑戦する時、これまでとは違うことをやろうとした時、「怖さや不安」を感じます。その時も怖さを何とかしよう。不安をかき消そうと思わずに、「怖さや不安があるなぁ」とまずは気持ちを書き出します。怖さや不安を感じている時は、新しいことをしようとしている、チャレンジしようとしているんだな、と受け止めて、その気持ちを感じたまま一歩前に踏み出します。
私自身もよく経験することですが、新しいことにチャレンジする時は、本当に怖いですし逃げたい気持ちにもなります。そんな状態になった時こそ、「怖い」「逃げたい」「ビビってる」「ドキドキしてる」「不安だ」次から次に湧いてくる気持ちを一つ一つ捉えて、気持ちを紙に書くことで、自分を落ち着かせます。その上で、一歩前に踏み出します。目指す状態は、気持ちに基づかずに行動を起こせる自分です。簡単な事から始めてみましょう。
【プロフィール】
駄田井一孝(だたいいっこう) ProLeader代表/ビジネスコーチ
ビジネスコーチング実践会
https://www.1pro-leader.com/
1977年大阪府堺市生まれ。秋田県立農業短期大学卒業後、モーグルスキー選手として活動。2001年の長野国体に大阪代表選手として出場。選手引退後、豊中市消防本部に入社。消防士在職中に、対話を通して人の行動と能力を引き出すコミュニケーションスキル、コーチングと出会いトレーニングを開始。2004年にビジネスコーチとして独立し、経営者・経営幹部・個人事業主を対象に個人面談を通して目標達成のサポートを行う。個人面談の延べ人数400人以上。「この選択でよし!この自分でよし!」と日々、自分の存在に力づけられながら、望んでいることを実現していくことをサポートしている。