大学を中退した人はどうやってキャリアを築けばいい? 大事なのは過去の経験を活かそうとする姿勢 | キャリコネニュース - Page 2
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大学を中退した人はどうやってキャリアを築けばいい? 大事なのは過去の経験を活かそうとする姿勢

これは単年度の人数なので、仮に毎年同数が中退していると仮定すれば、2008年のリーマンショック後からこれまでに約100万人の中退者が発生している計算になります。この100万人のその後について、これまで社会的関心の的とならず、未だに実態がわかっていないのが現状です。

では、なぜ大学中退をしたのか、その理由について見ていきます。前述の調査によれば、「経済的理由」が20% 「学業不振・学校生活不適応」が19%となっており、学費工面の困難さ、および大学入学時のミスマッチが浮かびあがります。

また当社の大学中退者就職支援サービス「セカンドカレッジ」の受講者へのアンケートによると、中退のタイミングは次のようになっています。

グラフは著者作成

グラフは著者作成

意外なことに4年目以降での中退が過半数を占めています。直感的には大学とのミスマッチで1年目か2年目に中退が多そうですが、実際は長く大学に滞在し、卒業することなく中退していることがわかります。

なお、中退後については、当社に来る受講生の多くは「フリーター等、非正規の仕事をしていた」と話します。

目まぐるしく変る世の中で、今後中退者はどう働くか

では、中退者は今後どう動けばいいのでしょうか。現在の働き方改革を中心とした大きな流れを俯瞰的にみることで答えが見えてきます。

経団連会長が「終身雇用はもう守れない」と発言したように、組織の力ばかりに頼った働き方はもはや通用しません。今まで以上に単なる学歴や職歴ではなく、個々のスキル・自分は何ができるのか、といったことが重視される時代が到来します。

身近なところでは、副業を解禁する企業も増えてきています。副業はまさしく自分のスキルを価値に変えることが重要になってきます。フリーランスで働く人も増えています。

さらに、2020年度からは経団連の就活ルールが廃止され、通年採用する企業も出てくるでしょう。そうすると、在学中の早い段階、人によっては大学1年生で内定を取得し、戦略的に中退する人も出てくるかもしれません。

今後は、ますます個人の尖ったスキルが問われ、必要とされる時代となっていきます。”中退”というレッテルに引きずられることなく、早く前を向いて進んだ人のみが労働市場で生き残ることができるのです。

当社では、2017年から大学中退者向け就職支援プログラム「セカンドカレッジ」を提供しています。中退者の就職を支援するために、無料の就職支援講座でビジネスマナー等を学んだ後、メーカー・商社・IT・アパレル・広告などさまざまな業界の企業との面接を行うことができます。

実際、セカンドカレッジに参加した方の中退理由は『学業不振』と『学業ではない別のことに熱中してしまった』という理由が多いです。「学年が上がるにつれ専門性が上がり授業についていけなくなった」、「アルバイトやサークルなどに熱中してしまい学業を疎かにしてしまった」という声をよく聞きます。

そのため中退したことに対し、自責の念を持っている方が多いです。単位不足や自分自身の努力不足が原因と自覚しているため、面接に対し不安を持っているようです。

また中退したことにおいての悩みを聞くと、「正社員就職したくても進め方や頼る人がわからない」と返してくれる方が大半を占めています。学校を中退したため学校にも頼れず、学生の頃の友人とも状況が違うため参考にならない。転職サイトは正社員経験が必要なので自分は当てはまらない、と悩んでいます。

このような状況から、なんとなくアルバイトを続け、ブランク期間が空き、年齢が上がっていくという負の連鎖に繋がっていると感じます。

面接では必ず中退理由を聞かれる しっかりと対策を

では実際にセカンドカレッジを利用した人が正社員就職できているかというと、大卒の方と変わらない就職率で正社員就職しています。面接官から高い評価をもらう人の特徴は、『就職意欲の高さと過去の経験を活かそうとする姿勢』があることです。

こうした人には、面接担当者は「就職後も頑張ってくれそうだ」と好感を抱き、社長や人事にも採用したい理由を説明しやすくなります。家族や金銭面というような環境だけのせいだけにせず、自分自身にできることはなかったか、この経験からどんな学びを得たか、を面接で伝えると良いでしょう。

大学を中退して就職を考えている方は、当社のような就職支援機関を利用するのも良いし、ご自身でナビサイトを使って就職活動をするのも良いと思います。ただ、面接では中退した理由を必ず聞かれるので、”なぜ中退したのか”や、”就職後、同じような状況に直面したらどうするか”などをしっかり整理してから就職活動に臨むことをオススメします。

著者近影

著者近影

【筆者プロフィール】近藤 浩充
株式会社ジェイック 常務取締役
大学卒業後、情報システム系の会社を経て、ジェイックに入社。2012年よりジェイックの取締役となり、社内の人材育成、マネジメントで手腕を磨き、2015年に同社の常務取締役へ就任。『7つの習慣』研修など、社員向け教育研修を提供する教育事業部の事業部長を経て、2019年現在はフリーターや第二新卒、大学中退者などの就職支援を行う「就職カレッジ(R)」等を展開するカレッジ事業本部の本部長と、マーケティング部門の責任者を担う。

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