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応募者の「自社への志望度」を高めるのは採用担当者の仕事だ

面接にやってくるのは志望度が高い人ばかりではない

面接にやってくるのは志望度が高い人ばかりではない

人材研究所代表・曽和利光氏の連載「採用担当者があなたの会社を魅力的にする」。採用ブランドだけに頼った採用では、本当に欲しいレベルの人は採れません。曽和氏は“採用担当者は「志望度は高めるものであって、評価するものではない」と心得るべき”と指摘します。

「志望度」で評価するのは時代遅れ

みなさんの会社では、応募者をどのような基準で評価しているでしょうか。単純な「自社への志望度の高さ」を評価基準としている会社はないでしょうか。

この採用難時代に「御社が第一志望です!」というような、志望度の高さを評価基準としている採用担当者は、特別な理由がない限り、それはもうかなりの時代遅れの考え方です。

最大の理由は、「売り手市場」の採用市場において引く手あまたな優秀な人材は、相対的にみて1社あたりの志望度が下がるのは当然だからです。

いろんなところから「是非うちに来てください」と言われれば、「この会社でなければならない」という気持ちが減っていくのは無理もありません。だからといって、志望度が高くない人を落としていては、会社にとって必要な人材を確保するのは難しくなるでしょう。

応募者が全員「志望」しているとは限らない

もっと言えば、そもそも応募者は、特に初期段階の選考時において、いくら自分から応募したからといって「志望」などしていない場合がほとんどです。

「ちょっと気になったから」
「人材紹介会社のアドバイザーに勧められたから」

といった理由で受けているに過ぎません。もちろん、全く興味がなければ面倒臭い面接など受けにはこないでしょうから、ある程度は関心があるのでしょうが、「志し、望む」ほどの気持ちではないでしょう。

そこに、面接担当者が「なぜ、うちを志望しているのかね」などと聞けば、内心は鼻白む思いなのではないでしょうか。

「いや、まだそんなに志望してないんだけどね」と思いながら、オトナな応募者は、とってつけたように会社のことを褒めるでしょう。しかし、それを聞いて悦に入っている面接担当者は、率直に言えば、やや滑稽ではないかと思います。

採用担当者としての「介在価値」はあるか

たいして口説きもしないのに最初から志望度の高い人は、いわばその会社のファンです。ですから、志望度の高い人のみを相手にしている採用担当者は、自社の採用ブランドにおんぶにだっこで採用活動をしているわけです。

そこに、採用担当者としての「介在価値」はあるでしょうか。

特に成長している企業にとって、採用ブランドは会社の成長に遅れてじわじわと徐々に伸びていくものです。採用ブランドだけに頼った採用では、本当に欲しいレベルの人は採れません。

そう考えれば、採用担当者は「志望度は高めるものであって、評価するものではない」と心得るべきです。そうあればこそ、自社の採用ブランドのレベルでは簡単に来てくれない優秀な人材が採れるというものです。採用担当者の介在価値は、そこにあるのです。

【筆者プロフィール】曽和利光
組織人事コンサルタント。京都大学教育学部教育心理学科卒。リクルート人事部ゼネラルマネジャーを経てライフネット生命、オープンハウスと一貫として人事畑を進み、2011年に株式会社人材研究所を設立。近著に『人事と採用のセオリー』(ソシム)、『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)。

■株式会社人材研究所ウェブサイト
http://jinzai-kenkyusho.co.jp/

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