巷の”骨盤矯正”には要注意!健康事業に蔓延する「治せば儲からない」というジレンマ | キャリコネニュース
おかげさまで10周年 メルマガ読者数
65万人以上!

巷の”骨盤矯正”には要注意!健康事業に蔓延する「治せば儲からない」というジレンマ

その言葉、ただの「宣伝文句」かも?

その言葉、ただの「宣伝文句」かも?

先日、接骨院のお客さんからこんな質問を受けました。「骨盤矯正ってやっていますか?」と。

街を歩けば”産後の骨盤矯正!”とか”猫背矯正!”なんて言葉をよく見かけます。おそらく「産後、腰が痛いから骨盤矯正必要かな」「猫背だから肩凝るに違いない」と思う人も多いのではないでしょうか。

ちなみに僕の妻は3人子供を産んでいますが骨盤矯正はしたこともなく、僕自身思いっきり猫背ですが肩こりもなく、生活に支障をきたしたことは一度もありません。ではなぜ巷では「矯正が必要!」と言われるのでしょう。(文:柔道整復師 ちばつかさ)

不安を煽り、「この治療が必要!通うと症状が回復する!」と刷り込んでいく

極端な話、医療業界は患者が0になれば消滅する業界です。病院や医院、接骨院や鍼灸院などは「不健康な人がいてなんぼ」の世界です(予防医学も注目されていますが、接骨院について予防は保険適応外です)。

治すことを目指すのが当たり前ですが、?治さなければ信用されない。治せば儲からない”というジレンマがあります。売り上げがあがらなければ院はつぶれてしまう。つまり、患者さんをたくさん集めないと儲かりません。

そのため、不安を煽ることで売り上げにつなげているのです。「この治療が必要!通うと症状が回復する!」と刷り込んでいくのです。その証拠に一つの例を挙げたいと思います。

接骨院や整体院で目にする”骨盤矯正”。出産経験のある女性なら「産後などで骨盤がゆがみます。ゆがんだ骨盤は元に戻さないと太りやすかったり腰が痛くなったりします」と言われたことがある人は多いかと思います。

しかし、事実として?骨盤がゆがむ”ということはありません。東洋経済の記事でも整形外科医の片田重彦氏が「骨盤はきわめて丈夫な多数の靭帯で包まれていて、骨折でもしない限り変形はありえない」と説明しています。

「骨盤矯正」が広がったのは、どうやら2000年にその言葉が商標登録されてからという説もあります。そして現在までに、業界、特に自費診療を売りたい接骨院・整骨院・整体院・エステサロンなどで爆発的に広がりました。

実際、骨盤矯正を検索すると取り扱っているという病院等はでてきません。つまり「産後骨盤がゆがむよね」→「放っておくと太ったり腰痛の原因になるよ」と不安を煽る→「うちの骨盤矯正どうですか?」という流れが出来ているのです。

不安を煽りがちな健康事業 自分に合ったものを精査し、見極める必要アリ

病院やクリニックは治療や処方が点数で計算され、接骨院や整骨院は施術部位によって金額が決まります。接骨院の場合、一人施術した時の金額が大体1500円程度。窓口負担はそのうちの3割ですが、一回施術した場合入る金額はこれくらい。

だからクリニックや接骨院のほか、整体やエステも同じで、たくさん通ってくれたほうがお金になります。そのためには矯正のような「これはやらないと」とか「通ってください」とかを言う必要があります。

先生も食べていかなければいけないので患者確保に躍起になります。通ってもらうためには自費メニューを考え売り出す必要があり、「治るから通わなくて大丈夫!」「自宅でできるエクササイズ教えるので自宅でどうぞ!」なんていう前向きな発信はなかなかできません(実際僕の院は通わせないので保険診療は赤字です)。

ですが、最終的なゴールは、患者さんの痛みや悩みが軽減するか、なくなるかどうか。本来なら施術者側としても、施術内容と収益化のジレンマがありながらも、できるだけ通わせないとか、患者さんやお客さんが自分でできることは伝えるとか、それ相応の対応をすることが必要なはずなのです。

不安を煽らなければ成り立たない商売はたくさんあるのが現実。その中からしっかり自分に合ったものを精査して選んでいくために、一度立ち止まって「それってどうなの?」を考えてみるとよいのかもしれません。

※キャリコネニュースではお悩みを募集しています。恋愛、仕事、人間関係など幅広く、男女問わず中学生から定年後のシニア世代まで、あなたのお悩みを聞かせてください。

筆者近影

筆者近影

【筆者プロフィール】ちばつかさ

合同会社komichi代表。柔道整復師、こころと体のコーディネーター、元プロ野球独立リーグ選手。東京と福井で投げ銭制の接骨院を運営しのべ10万人近くの心と体に向き合ってきた。野球経験とコーチングの経験を活かし都内で“野球を教えない野球レッスン”を運営。レッスン卒業生がU12侍ジャパンの代表に選出された。現在、心理学を学ぶため、アラフォーで大学在学中。【公式サイト】

【PR】注目情報

関連記事

次世代バナー
次世代バナー

アーカイブ