募集要項によると、業務内容は「スプラトゥーン3」のステージ、ブキ(武器)、ルールの調整など。既存ステージの改修のほか、各ルールにおける配置オブジェクトの調整、ブキのパラメーター調整などを担う。また、対戦バランスを確認するプレイチェックも含まれている。
応募にあたってはゲーム制作に関する業務経験の有無は問われず、能力や適性に応じて、前述の業務から担当を割り当てる。このほか、具体的に求められる適性としては、
「ゲームをより面白くすることに興味がある方」
「ゲームのプレイチェックができる方」(問題の抽出と分析、改善策の提案)
「共同作業をする上で、一定以上の対人折衝能力、サービス精神のある方」
「雇用形態・業態にかかわらず、就業経験がある方」
などが挙げられている。
雇用形態はプロジェクト開発中のみの契約社員。年収は約380~810万円の幅で、経験と能力を考慮した上で、規定に則って決定する。モデルケースとしては、業務経験5年で約470万円、同10年で約550万円、同15年で約680万円と記載されている。
さらに、住宅手当として、一か月あたり単身4万7500円、家族同居6万6500円を支給。赴任支度金としては、初期費用に単身30万円、家族同居50万円、引っ越し代に単身8~17万円、家族同居19~43万円が支給されるほか、時間外手当や各種社会保険なども充実している。
「任天堂の賃金はもっと高いと思っていた」「京都で生活するなら十分」
多数のスレッドでゲーム関係の議論が展開されている海外掲示板ResetEraに2月18日、「Splatoon 3 Level Designer position posted, entry level salary:about $35k USD a year with benefits」(スプラトゥーン3のレベルデザイナー募集開始、未経験は年収約3500ドルと各種手当)というスレッドが立った。
スレ主は、募集要項を英語でまとめた上で「任天堂の報酬は十分か」と問題提起している。米国政府の労働統計によると、2019年の平均年収は5万3490ドル(約566万円)。さらに、ゲーム業界団体のESAは同年のデータとして、ゲーム業界で直接雇用されている労働者の給与(各種手当の価値を含む)は一人あたり年間平均12万1000ドル(約1260万円)以上と算出している。
このような前提からか、スレッド内には「給与が低いのではないか」という声が目立った。「任天堂の賃金はもっと高いと思っていた」「380万円は本当に低い。日本の労働倫理はもっと悪そうだ」という率直な感想のほか、米国の小学校教員や肉屋を名乗る人からは「もっと稼いでいる」という投稿も寄せられていた。
一方、380万円を”妥当”と考える人からは「京都に住むコストを考えたら、生活には十分」「米国と比較しても意味がない。京都で年収380万円は高給」という反論が相次いでいる。ポルトガル人だというユーザーからは「380万円でもかなりいい収入だ」という声も挙がっていた。
任天堂の賃金をめぐっては、これまでにも度々ネット上で話題になっている。2019年には、同社が新卒採用の募集要項を公開したのを受け、平均年収が約800万円で、さまざまな福利厚生が充実しているほか、平均労働時間が7時間45分という情報が海外の掲示板で話題になった。具体的には、
「これはゲーム業界でも日本の労働慣習でもかなり規格外」
「くそ。間違った業種についちゃった」「日本に行って任天堂で働かなきゃ」
と好待遇を羨む声が中心で、今回とは反応がやや異なった。
同社が2020年6月に公表した有価証券報告書によると、同年3月現在の正社員の平均年間給与は935万円。金額は基準外賃金および賞与を含めた税込み支給額で、通勤費は含まれていない。今回のレベルデザイナーの求人は契約社員になるが、上限810万円であれば日本企業ではかなりいい待遇と言えるだろう。
「スプラトゥーン」シリーズは、2015年にWii U、17年にニンテンドースイッチ用ソフトが発売された同社の人気ゲームタイトル。基本的なルールでは、オンラインでつながったプレイヤーと4対4のチームに分かれ、床により多くのインクを塗ったチームが勝利する。銃やローラーなどのブキ(武器)で相手を倒すこともでき、シューティングゲームの要素も大きい。