教師による給食「完食」指導で小学生5人が嘔吐 そこまでして「好き嫌い」をなくす必要はあるのか | キャリコネニュース
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教師による給食「完食」指導で小学生5人が嘔吐 そこまでして「好き嫌い」をなくす必要はあるのか

子供の頃、僕は給食の時間が好きだった。母親は料理をしない上に家が貧乏だったので、まともな昼食が食べられるのは給食ぐらいだった。

ただ、子供ってどうしても好き嫌いをするものなので、時には残すこともあった。そういうときは、担任の教諭にお残しをしている様子を見られないようにしていた。友達に食べてもらったり、こっそりと他人の食器に流し入れるなんてズルをしたこともあった。

そうでもしないと、お昼休みも遊びに行けずに、担任の監視している目の前で完食することを強制された。特にきゅうりが苦手だった僕は、きゅうりの含まれる献立が登場する日には、いかにして担任に気付かれる前に、自分の食器からきゅうりを取り除くかに全身全霊をかけていた。(文:松本ミゾレ)

本人は「無理に食べさせることはしていない」と言っているけど……

大人だって好き嫌いはあるでしょ。

大人だって好き嫌いはあるでしょ。

さて、最近はさすがに給食の完食を強要する教師なんかいなくなっただろうと思っていたんだけど、そうでもないようだ。産経新聞が9月26日に報じたところによると、岐阜市の小学校の50代教諭が、偏食気味な生徒に対して過剰な指導をしていたという。

低学年の生徒に給食の完食を強要し、昨年4月から今年7月までに生徒5人が嘔吐。この教諭は「好き嫌いがないように励ます気持ちだった。無理に食べさせることはしていないが、児童に申し訳ない」と話しているそうだが、無理に食べさせないことには嘔吐もしない。記事には実際に教諭自ら生徒の口にスプーンで給食を運ぶなどしていたと書かれている。市教委はこの教諭を厳重注意処分にしたという。

こういった教諭はなぜ、自分が槍玉に挙げられるリスクも省みずに、過剰というか極端な指導をしてしまうのか理解しがたい。生徒が残したいなら許せばいいし、残した給食が多かったところで咎められる話でもない。

もちろん、みんながみんな、ちゃんと給食を食べきれるのが理想なのは間違いない。だけど、その小さな理想のために生徒が嘔吐するまで追い詰められるというのは意味不明だ。「この教諭は50代にもなって、なんだか子供っぽいなぁ」とすら思えてしまう。

「そもそも無理矢理食わされて後から好きになった食品などない」

今回のこの報道は、2ちゃんねるでも話題になり、色んな意見が書き込まれている。ただ、色んな意見と言っても、この教諭を擁護する意見ってやっぱり少ないもので批判的なものがほとんどだ。

「まだこんな教師がいるのか」
「7年しか生きてない人間に、なんでも食えってのは無理だろ」
「そもそも無理矢理食わされて後から好きになった食品などない。成長していく過程で味覚は変わり食べられるものも増える。そんな事まで教師がいちいち干渉する必要ない」

中には「物を残さず食べるのは当たり前」という意見もあるにはあったけど、そういう意見はアレルギー持ちを殺すことになるから、今では無理筋の主張となっているわけで。

考えてみれば今の時代って、学校の先生も本当に大変な境遇に置かれてると思う。ちょっと生徒を口頭注意したところで、反省しない奴は反省しないし、かと言って愛の鉄拳制裁なんてしようもんなら、自分が世論に制裁を受ける可能性も高い。

部活の顧問にでもなってしまえば、手当てもろくにもらえないのに、長い間余計な仕事が増えてしまうことにも繋がってしまう。その上で「せめて給食だけでもしっかり食べるように指導したい」という志があるのなら、それは素晴らしいことだとは思う。だけど無理に食事をさせたところで、いい影響は普通ない。

残った給食はたしかに勿体ないが、大人ですら食べきれなかったり、嫌いだったりで食べ物を残す人がいるわけなんだから、大人ができていないことを小さな子供に強いてもどうしようもない。

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