なぜオタクは『ワンピース』が嫌いなのか 「ぼっちには“仲間との絆”描写がしんどい」という声も
漫画歴代発行部数1位と絶大な人気で知られる漫画『ワンピース』(作:尾田栄一郎)。同作を読んで笑い、熱くなり、涙したことのある人は非常に多いのではないだろうか。ただ、アニメや漫画を愛するオタク層からは、あまり支持されていないという意見もよく耳にする。
はてな匿名ダイアリーに4月17日、「なぜオタクはワンピースを毛嫌いするんだろう」という投稿が寄せられた。オタクは同じジャンプ漫画でも『ドラゴンボール』や『ジョジョ』は好きだけど、なぜかワンピースは毛嫌いする傾向があるという投稿者。その理由を、陽気な性格で周囲から人気がある”陽キャ”がワンピースを好きだから、オタクが嫌っていると分析した。(文:石川祐介)
「陽キャ」「仲間との絆」がマイルドヤンキーっぽくてダメ?
投稿者の偏見の強さがうかがえるが、ブックマークでは似たような声が多数寄せられた。
「『私ってマニアックな漫画が好きなんですよー、例えばワンピースとか!』っていうようなやつが嫌いなんです。嫌っている対象は『人』であって『作品』ではない。たぶんね」
オタクが嫌いなのはあくまでも非オタクのリア充マジョリティ層であって、その層が好きなワンピースも受け入れることはできない、というのだ。
ワンピースで描かれているリア充感が非リア充にはつらい、という声もあった。
「たぶん『陽キャ』『仲間との絆』の2つが揃うと一気にDQN感が出てダメなんだと思う。私のようなぼっち陰キャは見てるだけでしんどい」
ポジティブなキャラクター達が仲間の絆を深めていく姿を自分と比較して、疎外感や劣等感が生じる。さらにその様がどこかマイルドヤンキー感があるため、オタクがワンピースを忌避するのも仕方ない、ということのようだ。
一方で、仲間との絆を育む過程が描かれた漫画はワンピースに限らなそうだが、ドラゴンボールやスラムダンクなどの従来の少年漫画には身内に「本来は敵類型のキャラクター(ライバル)」がいる」といった意見が見られた。
確かにワンピースで描かれる仲間はライバルと言うよりは家族的である。そのことが”絆感”をより強調してしまい、一層オタクに違和感を与えている可能性もある。ルフィのライバルとなるキャラが登場すればいいのだろうか。
最新巻は92巻、完結すれば「読んでみよう」と思うようになるか
ただ、「嫌っちゃいないが、設定や伏線が多すぎてひとつのエピソードも長過ぎるので、本誌だけしか読んでない人は見事に話を忘れる」という声も。ワンピースは現在92巻まで出ている。ストーリーが長いうえに伏線も細かく散りばめられているため、しっかり読もうと思ったら疲れてしまう。
タレントの中川翔子さんも過去に自身のブログで、ワンピース読破を公言するも何度も挫折したと綴っている。あまりの長さに辟易し、その結果アンチになってしまったオタクも一定数いそうだ。
完結してしまえば、「ちょっと読んでみようか」という気持ちも起きる。その時、これまでワンピースアンチだったオタクも気が変わるかもしれない。