BPO検証委、TBS「消えた天才」早回し加工に放送倫理違反 背景に「CMの間も視聴者をつなぎ止めておきたい」という心理
早回しは、放送中の番組を視聴していたTBSスポーツ局のスタッフが「ボールのスピードが速すぎる」と感じたことりから発覚。同局が内部調査をしたところ、過去に野球、卓球、フィギュアスケート、サッカーの計4件で早回しを行っていたことがわかり、審議の対象となった。
野球以外の3件の早回し加工は115~130%で、「早回ししているとわからないけど、凄くは見える」という倍率だという。そのため件の投球シーンがなければ、「問題はいまだに表面化してなかったかもしれない」という。
この突出した早さについて、同委員会は156%という倍率について「制作者の意図したものではない。不安が招いた偶然の産物だ」とした上で、ディレクターに「CMの間も視聴者をつなぎ止めておきたいという思いから、CM前の一球をもう少し速く見せたくなった」という心理があったと指摘。
聴き取りでは、「1本のVTRとずっと向き合い、修正を何回も繰り返していると、面白いのかどうかわからなくなってくる」という声が出たという。不安や焦りから映像加工に解決策を求めたくなるのも理屈は立つというが、
「技術革新が下げた心理的なハードルは、個々人のモラルによって押し上げ、保たなければならない状況にある」
「そうした時代に番組を作っていることを制作者たちが認識し、最善を尽くすことを願っている」
とコメントしている。