コロナ禍で増える「借金が返せなくなった」と苦しむ人たち 法律専門家への早めの相談が「手遅れ」を防ぐ
さまざまな業界に暗い影を落としている新型コロナ禍。その影響は会社だけでなく、働く人たちにも及んでいる。仕事や収入が減り、生活が苦しくなっている人も少なくない。
そんな中、金融機関への借入返済が滞り、法律事務所に「債務整理」の相談をする人が増えている。早めの相談が「手遅れ」を防ぐというが、デメリットはないのだろうか。司法書士法人みつ葉グループに話を聞いた。(キャリコネニュース編集部)
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複利の効果で「利息が利息を生んで」膨れ上がる
――コロナの影響で、債務整理の相談は増えていますか?
かなり増えていますね。最も多い相談は、これまで安定的に返済してきたのに、コロナで急に仕事が減ったり収入が減ったりしたために、返済できなくなってしまったというケースです。
普通に生活してきた人が、社会環境の変化によって、急に借入を抱えてしまったり返済を滞らせてしまったりすることは、そう珍しいことではありません。個人の努力で避けられないこともありますし、法的な救済措置も整備されています。
より大きな問題は、不幸にもそういう状況に追い込まれた方が、不安で何も手がつかなくなってしまったり、収入が減って、借金を返すためにまた新たな借金をするなどして、さらに借入が増える悪循環に陥ってしまうことです。
――差し支えない範囲で、具体的な相談内容をお聞きできますか?
先日あった30代男性会社員からの相談は、銀行のカードローンとクレジットショッピングのリボ払いを少しずつ利用していたつもりが、いつの間にか残額が350万円を超えてしまったという内容でした。
その方は、多忙な日々の生活の中で「自分が借金をしている」という認識がほとんどなかったそうです。それなのに返済額が月15万円にかさみ、利息分の支払いが占めている割合も大きいことが分かりました。
最初は小さな借入でも、複利の効果で利息が利息を生んで大きく膨らんでしまったわけです。このままのペースで返済を続けていても借入の残額は減らず、それが障壁になって結婚もできなくなるのでは、と不安を訴えておられました。
「任意整理」で金利調整や支払期間の和解ができる
――若いうちの借金は、一生ものの影響を与えかねないですね。
20代の女性からは、月々の生活や買い物のために軽い気持ちでキャッシングリボを使い始めたところ、気づいたときには限度額を超えてしまい、ショックで睡眠障害になってしまったという相談を受けました。
しかしこのお2人は、勇気をもって早めに相談に来られた方たちだったので手遅れにならずに済み、毎月の利息をカットして月々の返済も無理なく行うところまでもっていくことができました。
その一方で、コロナ以前から多重債務だったのに、コロナの影響で動くことが億劫になり、借入がさらに膨らんでしまった40代男性もいました。放置すれば老後の生活にも支障が出かねません。手遅れになる前に「問題の先送り」をやめる勇気を振り絞ってもらいたいです。
――借金返済の救済措置には、どんなものがあるのですか。
主に3つの方法があります。1つめは「任意整理」で、毎月の支払額を減らせば返済が続けられる場合に使われる方法です。法律家が代理人となって債権者と交渉し、将来利息のカットや支払期間の調整により、毎月の返済額を抑えることを目指していきます。
「そんな都合のいいことができるの?」と驚くかもしれませんが、金融機関としては一銭も返ってこなくなるより、一部条件を緩和すれば定期的に返済してくれる方がずっと望ましいので、そのような交渉に応じるわけです。
ただし、信用情報機関には「事故情報」として登録されるので、少なくとも借金完済から5年間は、金融機関から住宅ローンなどの融資を受けたり、クレジットやキャッシングを利用することができなくなります。
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借入をゼロにする「自己破産」は保証人に迷惑が
2つめの方法は「自己破産」です。返済が不可能な場合に、そのことを裁判所に認定してもらう方法です。どれだけ借入があっても全部帳消しになり、返済義務はなくなりますが、その代わりデメリットは大きくなっています。
――自己破産は以前より耳にすることが多くなっていますが、やはりいろいろと傷が残ってしまうのではないかと気になります。
確かに自己破産は、借金がゼロになる代わりに一定の財産を債権者に提供しなければなりません。不動産のほか、99万円を超える現金、売却して1点あたり20万円を超える車などの財産は没収、売却され、債権者の返済に充てられます。
借入の際に保証人や連帯保証人がいる場合には、債務の支払義務はそちらに移りますので、家族や友人、知人が返済を迫られることになり、場合によっては保証人も同時に自己破産するケースも出てきます。
自己破産の情報は「官報」に掲載されます。ほとんどの人の目に触れることはありませんが、任意整理と同様、自己破産後約5~10年間は信用情報機関に「事故情報」として登録されます。
一部の国家資格では、自己破産の手続き中はその資格を使った仕事ができず、士業などの登録制の職業の場合には、いったん登録が削除されてしまいます。しかし自己破産の手続きをすべて完了後、再度登録すれば仕事を再開できるなどの対応方法があります。
「個人再生」なら車や家を残して返済できる
――残るもうひとつの方法は、どんなものでしょうか。
3つめは「個人再生」です。いわゆる民事再生の一種で、住宅ローンなどを除く債務総額が5000万円以下であれば、返済が困難であることを裁判所に認定してもらい、法律の規定で借入総額を減額します。例えば債務総額が500万円以上1500万円未満の場合、5分の1程度まで減らせます。
さらにこの金額を、3年から5年かけて債権者に分割返済していきます。返済額がかなり減るうえに、住宅ローンを支払い中の場合には、特則として家を残すことができるところが自己破産とは異なるメリットです。生命保険や自動車などの換金処分も強制されません。
個人再生手続の場合も自己破産と同様に「官報」に掲載され信用情報期間には一定期間「事故情報」と登録されますが、勤務先に知られることは一般にはありませんし、仮に知られてもそのことを理由に会社が解雇することはできません。
――救済措置の利用には、かなり手間がかかるものでしょうか?
任意整理も自己破産も個人再生も、債務者本人が行うことができます。しかし、特に自己破産や個人再生の場合、書類の作成や再生計画案の作成、裁判所との対応などに専門知識が必要で、一部の裁判所では事実上法律家の申立しか受け付けていません。
また、法律家であれば誰でも円滑に手続きができるわけではなく、豊富な経験を持つ人を選んで依頼するのが確実です。代理人に依頼すれば、債務者はネットでのやりとりと書類の提出のみで、自ら裁判所に出向いたりする必要はありません。
相談料は無料。悩みはひとりで抱え込まずに
――みつ葉グループでも「債権整理」の相談に乗ってもらえるのでしょうか。
みつ葉グループは、札幌、東京、大阪、広島、福岡、沖縄に拠点を置く総合士業グループで、「相続」「登記」「企業法務」など幅広いサービスを取り扱っていますが、「債権整理」についても豊富な経験を有しています。
借入にお悩みの方は、まずはスマホで無料の「減額診断」を行ってみてください。「何社から借り入れしているか」「借入総額はいくらか」「借金の種類は何か」「毎月の収入はいくらか」といった概要と連絡先を入れるだけです。実名を明かしたくない方は、匿名でも大丈夫です。
その情報を基に減額診断をしてくれます。減額できる金額をさらに詳しく聞きたい場合や、どの措置を利用した方がいいか確認したい場合には、詳細の案内もしてもらいましょう。手続きが始まるまでは料金はかかりませんし、相談に関する秘密はすべて守られます。
――費用はどのくらいかかりますか?
返済中の債務を整理したい場合、手続きを始める際の着手金が1万円から(税別。以下同じ)で、報酬金が債権者1件あたり1万円からとなっています。手続きの過程で過払い請求が発覚した場合、成功報酬を20%いただいております。
このほか、代理送金手数料等の実費がかかりますが、それ以外の相談料や減額報酬は無料です。借入で悩んでいる方は「できればきちんと返済したい」という意思をもった誠実な方が多いです。ひとりで抱え込まずに、救済措置を使って生活を立て直すことができる方が少しでも増えてくれたらいいと思います。