国立駅まで意識があったという男性。そこから目的地の日野駅までは2駅で、6分ほどの距離だ。
「あと2駅……安心したんでしょうね。空き始めた車内で椅子に座ったが最後……」
6分くらいなら立っていたほうがよかった。次に男性が意識を取り戻したのは、全く予期せぬ場所だった。
「気付けば高尾駅で駅員さんに起こされるという失態」
高尾駅は本来降りるはずだった日野駅の4駅先で、終点だった。時刻はもちろん深夜。人気のないホームから駅の外へ出ると、タクシー乗り場には長蛇の列ができていたという。
「50人ほど並んでいたでしょうか? しばらく並んでいましたがタクシーは10分に1台ほど。暮れの寒さに耐えかねて歩き始めました」
この行列では、いつタクシーに乗れるかわからない。深夜、しかも年末の凍えるような寒さの中、男性は意を決して歩き出した。
ようやく日野駅近くの坂の上に着き、駅を見下ろすと……
目指すは自宅のある日野駅だ。しかし、それは想像以上に過酷な道のりだった。
「中央線は国立以西は駅間が長いんです。高尾から日野までは駅で4っつ目。都心なら6~7キロでしょうか? でも郊外ではこの4駅が12キロ以上。歩くと3時間」
男性の言葉通り、郊外の駅間距離は都心部とは比較にならないほど長い。男性は、深夜の暗く寒い甲州街道をひたすら歩き続けた。そして、約3時間後、ようやく日野駅近くの坂の上から駅を見下ろした時、皮肉な光景が目に飛び込んできた。
「案の定、始発の東京行きが目の前を新宿に向けて……」
夜通し歩き続け、ようやく辿り着いた頃には、もう始発電車が動き出す時間になっていたのだ。とは言え、「寒さを考えたら高尾で待機は無理です」と男性は振り返る。凍える寒さの中、始発まで駅で待つという選択肢はなかったのだろう。
「足腰ガタガタで家に辿り着き寝ました。その日は午後からの出勤で何とか4時間ほど寝られて眩しい太陽を浴びながらの出勤となりました」
忘年会帰りの寝過ごしが、これほど過酷な結末を招くとは想像もしていなかったに違いない。読者の皆さんも、他人事と思わず、くれぐれもご注意いただきたい。
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