「快適な目覚め」に特化したホテルが凄い 厚み30センチのマットレス、時計のない客室が全力で寝させにかかる | キャリコネニュース
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「快適な目覚め」に特化したホテルが凄い 厚み30センチのマットレス、時計のない客室が全力で寝させにかかる

「眠り」が主役の部屋でした

「眠り」が主役の部屋でした

野村不動産は昨年11月、都内に外国人観光客向けホテル「NOGHA HOTEL UENO(ノーガホテル上野)」オープンさせた。客室のコンセプトは「快適な目覚め」。パンフレットに「熟睡と快適な目覚めとともにフレッシュな旅の1日の始まりを経験していただけるはずです」と書くほど自信があるようだ。

確かに、マットレスはエアウィーヴの特別モデル、ルームウェアと枕はアトモスフェール・ジャポンを採用するなどこだわっている。しかし本当にそこまで「快適な目覚め」を得られるのか。不眠気味の筆者が実際に宿泊してみた。

固さはあるのに寝転がっても背中が痛くならない

ホテルはJR上野駅広小路口から徒歩3分。入って右側のカウンターでチェックインを済ませ、カードキーを受け取り、エレベーターで部屋に向かう。

エレベーターの案内音声は英語だけだ。内部も注意書き以外に日本語が無いところは、ターゲット層を意識してのことだろう。施設入り口の自動ドアや館内の廊下、カードキーに家紋のような「和」のデザインが取り入れられている。

入り口の自動ドアに描かれた四つ花菱

入り口の自動ドアに描かれた四つ花菱

宿泊したツインルームは、ドアを開けて右手にある大きな鏡と洗面台が印象的だ。ベッド横のサイドテーブルには、ウェルカムボード代わりにタブレット端末が置いてある。ベッドマットレスは30センチ近くの厚みで、かなりの存在感がある。手で押すと思ったよりも固く、昨年夏まで床に敷いていた煎餅布団の手触りが蘇って不安になった。

入ってすぐの洗面スペース。大きな鏡で、部屋が更に広く感じます。

入ってすぐの洗面スペース。大きな鏡で、部屋が更に広く感じます。


上がベッドマットレス、下がベッドの脚部分。この分厚さです。

上がベッドマットレス、下がベッドの脚部分。この分厚さです。

ただ、寝転がると違いは明らかだった。布団で寝た時は肩甲骨と肩甲骨の間あたりが痛かったが、このマットレスでは身体全体がしっかり支えられている感じがする。1~2分して起き上がると、それまで立っていたときより身体が重たく感じた。

部屋に時計がないのも特徴だ。これまで筆者が見てきた都市型ホテルはベッドボードにデジタル時計が埋め込まれているか、机上に置き時計が設置されているところが多かった。しかし、時計がないことで時間に追われている感覚が薄くなった。これも利用者をリラックスさせる工夫の1つなのかもしれない。スマホで8時にアラームをセットし、2時頃に就寝した。

バスタオルやスリッパ、アメニティ1つ1つが「寝させる」ために揃えられている

朝起きてまず感じたのは気持ちの晴れやかさだ。普段はアラームで目覚め、カーテンの外が明るいのを見ると「もう朝か、働かなくては……」と落ち込むが、ノーガホテルでの目覚めは身体が楽なので「働いてやっても良いかな」くらい気持ちの余裕がある。いつもなら寝起きで既に痛い背中が、今日は痛くない。義務的に食べている朝食も、「お腹が空いた!食べたい!」と意欲的になれるから不思議だ。

朝食は1階の「ビストロ ノーガ」で取ることが出来る。メインを3種類から選び、サラダや果物、飲み物などをビュッフェ型式で取り分けた。筆者は和定食を選択した。空腹で白米を噛みしめる幸せはここのところ味わっていなかったが、今日は一口食べるごとに口角が上がり気味になった。

なんというか、起きたときの身体の軽やかさと心の前向きさが、まるで子どもの頃のようなのだ。何もなくても楽しいし、何かあればさらに楽しい。

米は「いなりちょう相沢米店」、佃煮は「鮒藤商店」、ハムやベーコン肉類は「太田ハム」、コーヒーは「蕪木」など、地元上野の店から提供される食材も多い。観光で泊まった人なら、ここで食べたことをきっかけに実際の店舗に行き、お土産に買うのも良さそうだ。

筆者が選択した和定食。これがメインで、他に野菜や果物を好きなだけ食べられます。

筆者が選択した和定食。これがメインで、他に野菜や果物を好きなだけ食べられます。


同行者が選んだスクランブルエッグ

同行者が選んだスクランブルエッグ

今回の宿泊では確かに、寝具だけでなく部屋全体が快適な睡眠のために設えてあるように感じた。用意された電気ケトルは洗練されたデザインで有名なバルミューダ製、タオルは濡れても手触りが心地よい今治タオル製だった。スリッパはホテルのアメニティでよくある薄いぺらぺらしたものではなく、少しふかふかしていた。「起こさないでください」のカードも革製で高級感があった。

部屋に揃えられたバルミューダの電気ケトル

部屋に揃えられたバルミューダの電気ケトル


スリッパがふかふかです!

スリッパがふかふかです!

筆者の家では、いかにも家電製品然とした佇まいの電気ケトルとごわついたバスタオルが活躍している。デザインが悪くてもお湯は沸くし、ごわついていても身体を拭けるので不便ないが、いざ「ちょっと良いもの」を使ってしまうと、自宅では使う度に煩わしさやストレスを溜めていたことに気付かされる。ホテルではこうした些細なストレスが取り除かれ、就寝準備をする前に心を落ち着かせることが出来たのだと思う。人間、幸せな気持ちに包まれていれば眠くなくても眠れるものなのだと、今回の取材で学んだ。

エアウィーヴの広報担当によると、ホテルで導入されているマットレスは特別モデルのため一般販売していないが、市販品では「エアウィーヴ ベッドマットレス L01」(税込み23万7600円)が一番近いという。20万そこそこで前向きな気持ちを取り返せるなら、割の良い投資かもしれない。

ホテルのサイトによると、大人一人一泊、素泊まりの参考価格は税込み7650円~2万2800円となっている。都内に住んでいたとしても、疲れたとき、気分転換をしたくなったときに使ってみるのもいいだろう。

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