実際どの程度辛いのか。比較するために、まず「メキシカン辛ペーニョ」をいただく。同商品はベースが特製ミートソースのピザで、あらびきソーセージやトマト、ズッキーニ、ピーマン、ナスなどの野菜がのっている。
それにハラペーニョとピザハットオリジナル「グリーンチリソース」が加わる。ハラペーニョがのっているところを食べるとピリッとした辛みが舌に走るが、それ以外だとミートソースとチーズの甘みが口の中に広がる。
ミートソース感が強いちょい辛ピザだった。辛党の筆者としてはもう少し辛さが欲しかった。ピザハットに「もっと辛いものが食べたい!」という声を寄せた人の気持ちがよく分かる。
続いて、新発売「ちょっと激辛ペーニョ」。改めて見ると、明らかに「メキシカン辛ペーニョ」よりハラペーニョの量が多い。先行商品の3倍のハラペーニョが入っている。まずはソースをかけずに食べると、食べた瞬間、頭からじっとりと汗が出るのが分かった。
しかし、最近流行りの唐辛子など”赤”系の刺すような辛さではない。ハラペーニョは唐辛子の一種だが、ピクルスやソースとして販売されることもある。肉厚でみずみずしく、爽やかな辛さだ。ビールが欲しい。
これに「グリーンチリソース」をかける。確かに辛さは増すが、このグリーンチリソースがさらなる旨味を引き出す。グリーンチリソースもハラペーニョがベースとなっているが、魚醤やガーリックパウダーなどが入っている。エスニックな味わいになって食が進む。
しかし実際、辛い。口の中は熱くなるのだがソースをかけることで、更に増したキュッとした酸味がたまらない。ハラペーニョの辛味が全面に押し出されるのではなく、チーズや野菜の旨味もしっかり感じられる”旨辛”だった。1ピース食べ終わる頃には肌が汗ばんでいた。
試食会場には顔を真っ赤にして「からい!」と言っている人もいた。筆者としては、蒸し暑い日本の夏の暑気払いにぴったりで、「からい~!」と叫びながらビールで流し込みたい味だった。
「最も辛く、美味しく、食感良く。これを追求したのがこのピザです」
同社マーケティング担当者は「名前が『ちょっと激辛ペーニョ』の理由は、やはり食べる人によって受け取り方が違うからです」と話す。
「元々激辛好きの辛党スタッフは『もっと辛いほうがいい』といいますが、私は元々辛いものが苦手で、一口食べるのが精一杯でした。人によって辛さの感じ方が違うので『ちょっと激辛』としました」
近年、激辛ブームが来ているが辛いを通り越した「痛辛」を欲する人も一定数いる。そんな痛辛好きからしたら、同商品は物足りないだろう。これについて同担当者は、
「ピザハットのキャッチコピーは『おいしいは、愛だ。』です。もっと辛いものを作ろうと思ったら作れますが、商品として出す以上、美味しいピザでありたいと思っています。そのため旨味を感じる中で限界まで辛くした”旨辛”を目指しました」
と語る。一方、開発担当者は「一度『メキシカン辛ペーニョ』の10倍の辛さのものを作ってくれと言われました。でも、ハラペーニョやソースの量を増やすと生焼けになってしまうんです。最も辛く、美味しく、食感良く。これを追求したのがこのピザです」と話す。
筆者は絶対ピザでビールを飲みたいので、”酒が進む”辛さである同商品に尊さを感じる。辛ければ辛いほどいいと風潮がある中、辛さと旨さが両立している商品は中々ないように感じられる。同商品は夏季限定販売だが、「人気だったら延期するかもしれません」とのことだ。