親切心を好意と勘違いする「高齢者ストーカー」 10年間で4倍に増加
高齢化が加速する日本。今や人口の4人に1人が65歳以上だ。「お年寄りには優しくしなさい」と教えられ、親切を心掛ける人もいるだろう。しかし中には、それを好意だと勘違いし、つきまとってストーカーになるケースもあるという。
7月2日放送の「スッキリ!!」(日本テレビ系)では、増加しているという「高齢者ストーカー」の実態を報じていた。
「思いが綴られたメール」が毎日届く
番組によると、昨年1年間のストーカー被害件数は約2万3000件。その中で60代以上によるものは2199件と約1割に該当する。ここ10年で被害は4倍に増加したという。
再現VTRでは上野さん(仮名)という女性のケースを紹介。習い事の先生をやっていた上野さんにストーカーしたのは60代の男性生徒だ。レッスンの連絡でメールアドレスを交換したところ、思いが綴られたメールが毎日届くようになった。
断っても受信拒否設定をしても、メールは止まらない。上司を交えて男性と話し合いを開き、メールを止め、レッスンにも出ないように伝えた。しかし男性は、「メールは辞めるがレッスンは出たい」と懇願する。
それでもメールが止まなかったため、警察に相談し、男性は退会させられた。ストーカー行為は終わったかに思えたが、2年後、またしても男性が自宅前に現れる。警察を呼び、その後に裁判の構えを見せたところ、ようやく収まったという。
ストーカー被害者を支援する「ヒューマニティ」の小早川明子理事長は、
「高齢者の場合は、『お付き合いしてほしい』と言ったところを拒絶され、そこから粘り強く頑張るという気持ちになってどんどん燃えるタイプが多い」
と話す。まさにこのタイプだったようだ。
フェイスブックから住所を割り出す高齢者も
高齢者の問題を取材するノンフィクション作家の新郷由起氏が取材した中には、SNSを悪用してストーカー行為を行うケースも。
スーパーで働く三田さん(仮名)にストーカー行為を働いたのは、常連客の71歳の男性。 愛想良く対応していたところ、男性は段々馴れ馴れしくなってくる。その頃、三田さんの自宅前には送り主不明の花束が置かれるようになった。
気味が悪くなり、管理人に「花束を置く人を見たら教えて」と頼んだところ、後日見せられた写真に写っていたのは、その常連客の男性だった。レシートに印字された担当者の名前をネットで検索し、三田さんのフェイスブックを探り、その写真から自宅を割り出していた。
「やめてもらえませんか」と訴えても、付きまといは続いた。警察官の友人に付き添ってもらい、話し合いをしたところ、「金を渡す時に手を握ってその気がある振りをしたのは彼女のほうだ」と身勝手な主張を繰り返したという。
和解とはなったものの、帰り際に「怖がらせるつもりはなかった。思いつく限りロマンチックなアプローチをしたはずだった」と話していたそうだ。
接客業の女性が被害に遭いやすい?
コメンテーターの経営コンサルタントの坂口孝則氏は、現在の喫茶店や映画館などがシニア層によって成り立っていると指摘する。そのため、「若い女性店員と高齢者が接触する機会も多い」という。
女性がSNSにアップする写真には、GPSの位置データなどの個人情報がそのままの場合もあるため、「防衛手段として削除してアップして」と呼びかけた。実際に、番組で紹介された事例では、メールやSNSを駆使してストーカー行為をしている。
ツイッターに寄せられた感想の中には、同じような体験をした人も。やはり、接客業関係の仕事の人が多かった。
「高齢者ストーカーはレジしてるとわかる。手握られたら合図か…そのままにしたらラブレターもらったりしたからなー」
「本当にさ、客だから親切にしただけなのに勘違いする奴っていっぱいいるんだよね?。話通じないし妄想激しいし、分かり合えねぇよ」
一方で「寂しさが原因の一つでしょうか」と指摘する人も。久し振りに人と触れ合ったことが原因で発展してしまう行為なのであれば、高齢者を孤立させないことが対策となるのかもしれない。
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