先月のヤフー知恵袋に、「専業主婦になりたいと望むことはダメな事でしょうか?」との質問がありました。質問者は現在21歳の女子大生。就活をして化粧品会社などいくつか内定も貰っているそうですが、子ども好きなので、
「将来結婚して子供を産んで専業主婦になることが夢です」
と綴ります。両親が共働きで一人っ子だったため、高校生のとき専業主婦の母がいる友人宅で、「晩御飯をみんなで食べて、1日の出来事を話して、お母さんが相槌を打っている光景」に感激したそう。そのときから、専業主婦になるのが夢になったといいます。
しかし、「最近、ツイッターで専業主婦は怠慢とか、専業主婦を望む婚活女は地雷とか色々言われていて」と不安な様子。「今まで疑ってこなかった自分の夢でしたが、大人になるにつれ、現実と夢とのギャップに心がブレてしまいます」と心情を吐露しました。(文:篠原みつき)
「世の専業主婦たちも、専業主婦になろうなんて、若い頃は思ってなかった」
質問者は、このままだと両親と同じ道をたどってしまうと心配し、就職よりも婚活して結婚したい気持ちが強いようでした。実際に、婚活パーティーに参加してきたと明かしています。
この夢に対する回答は、「ダメではありません。何を望んでも自由です」と肯定しつつ、厳しく諭す声が相次ぎました。
「専業主婦になる為にはある程度の年収のある男性で無ければ厳しいです。また、それなりの年収がある男性でも『専業主婦希望は嫌』という人もいます」
「頭の中がお花畑すぎて…。まず世の専業主婦も、社会経験はあります。(中略)その人たちは専業主婦になろうかしらなんて、若い頃はこれっぽっちも思ってなかったのですよ」
バリバリ働いていても、子育てのために仕事を辞めた人が多いという指摘でした。また、金銭面で弱い立場になる専業主婦は、夫婦間の上下関係で負ける、とも忠告しています。
男性かららしき回答では、「専業主婦は、望んでなるものではないと思います」として、離婚や夫の病気で収入が途絶えたときのリスクを説いた上で、「私は専業主婦になりたいと言う女性とは結婚しません」と断言しています。
既婚者は共働きが圧倒多数のいま、「専業主婦が夢」は、やはり否定的に受け止められるようです。
「専業主婦になりたい」を目標にすると結婚相手が見つからない?
少子化ジャーナリストの白河桃子さんは、著書『専業主婦になりたい女たち』(ポプラ社/2014年発行)の中で、女子大生の間で専業主婦になりたいと望む人が増えていると危惧しています。
同書では、専業主婦の2大リスクとして、“結婚前”と“結婚後”のリスクを挙げています。”結婚後”は、言わずと知れた「離婚(8割が養育費をもらっていない)、夫のリストラ・給与カット」です。
ですが質問者に注目してもらいたいのは、”結婚前”リスクです。「養ってほしい女性の数」に対して、「養える、または養う気のある男性の数が少ない」という単純な数の問題があり、
「『結婚できないこと』……これが、『専業主婦を目指すこと』のリスクです」
と警鐘を鳴らしています。
また、一番結婚しやすいのは年収300万円以上の正規職の男女(2011年の内閣府の調査より)で、いずれパートにという考えは、「むしろ結婚を遠ざける」として、
「これから結婚、子育てを望む人こそ『働き続けることが大切』で、『結婚だけではもう食べられない』ということをぜひ知って欲しいのです」
としています。
保育所の不足や正社員の働き方の問題もあり、女性の意識だけではどうにもならない面もありますが、「専業主婦は望んでなるものではない」という言葉は、あながち間違ってはいないようです。