看護師は新型コロナウイルスの本格的な感染拡大が始まった春以降、専門職としての使命感から数か月にわたり看護の仕事に携わっている。だが、そうした看護師に対する世間の見方は厳しく、多くを犠牲にしているという。声明からも、
「自分自身の感染の危険性と私生活、自分のキャリアに目を瞑り、時には自分の家族にも仕事の内容を隠し、コロナウイルスに感染した患者さんを看てきました」
とその様子がみて取れる。
一方、看護師の不足をめぐる報道は後を絶たない。クラスター感染が発生した北海島旭川市の吉田病院には9日、知事からの要請に応える形で自衛隊の看護官が派遣された。同じく医療体制が逼迫しているとして要請を出していた大阪府には、15日にも自衛官が派遣される見通しだ。
声明の中でも「報道等では、ナースが足りないと言われています」と危機感を示しており、看護の現場における人手不足の深刻さを感じさせる。
「防護服を着て、コロナ感染患者の病室に入る仕事の多くをナースが担っています。しかし、医療現場を守るのはナースだけではありません。チーム医療を構成する多くの職種の人々との協働体制を、取り戻す必要があると考えます。看護の仕事に専念させていただくためにも、関係職種の皆さまに、ぜひご協力をお願いいたします」
さらに、国民へのお願いとして「自分の健康と医療現場を守るため、慎重な行動をすること」「看護師を偏見の目で見るのをやめること」「復職を考えている看護師を温かく送り出すこと」の3点を求めた。
同学会によると、コロナ禍の長期化に伴い、第一線で働く看護師の心身は疲弊してきているという。だが、新型コロナウイルスの感染患者にとって、最も近くで生活と生命を守ってくれる看護師はまさに”最後の砦”と言える。私たちには今、自身の健康と併せて、その”砦”を守る行動が求められているのではないだろうか。