リリースによると、羽の食い合いは4~7月の繁殖期に羽のある新成虫が朽木の外に出て、配偶相手を探す時に行われる。朽木の外に出た新成虫は飛翔して配偶相手を探し、オスとメスが出会うと互いに羽を食べ合う。その後も羽は再生せず、以後は飛べなくなるという。
配偶する生物の近しい行動に「性的共食い」「婚姻贈呈」がある。性的共食いは、カマキリのメスがオスを食べてしまうなど配偶相手を食べて殺してしまう行動。対して、婚姻贈呈は、主にオスがメスに食べ物などのギフトを渡し、交尾成功率を上げる行動だ。
だが、性的共食い、婚姻贈呈ともにこれまでの研究では、一方の個体のみが食べる事例しか報告されていなかった。「翅の食い合いは、生物で初めて、互いに食べ合う事例になります」と強調している。
研究成果は1月、学術誌「Ethology」にオンライン掲載された。羽の食い合い行動を研究している、同大学大学院システム生命科学府4年の大崎遥花さんはリリースで
「クチキゴキブリの羽の食い合いは世界で唯一、我々だけが研究している研究テーマです。誰もやっていない研究対象に挑戦することはとても難しく、同時にとても楽しいです」
とコメントしている。