相談者によると、コロナ禍でお客さんが減り、収入も減ったところに「車を使ったビジネス」を持ちかけられたとのこと。どんなビジネス内容なのか聞いても漠然としていて、「買ってもらった車はこちらで運用して、利益を毎月振り込みます。ローンよりも多く利益を出せるのでローンはその利益で返せます」と言われたといいます。
相談者はよく分からなかったものの、この相手に任せっきりのビジネスが美味しい話に思えてしまいました。「毎月利益がでるのなら……」と契約書にハンコを押したとのことす。
車のローン契約書を見ると、その車の価格相場は約50万円(日本車、10年落ち、走行距離約9万キロ)の車なのに、諸費用込みの車両価格が300万円弱の契約になっていました。
驚いて「この車の相場ってどれくらいか調べました?」と聞くと「いや、車詳しくないので……」とだけ返ってきました。不信に思いながらも1年ほどは契約通りに利益の入金があったといいます。
しかし、その後入金が止まり音信不通に。もらった名刺の住所に行ってみたけどもぬけの殻。買ったはずの車だって一度も見せてもらったことはない。そこでようやく「騙された」と気づいたといいます。相談者の元に残ったのはローンの返済のみです。
「私は絶対に大丈夫」そう思っている人ほど危険
正直、「疑わないのも悪いのでは……」と思う人もいるかも。でも、人間窮地に立たされると冷静な判断ができなくなる生き物です。もしかしたらあなたもすでに何か騙されているかもしれません。
世の中には様々な詐欺があります。例えば、振り込め詐欺。あれだけ注意喚起されているのにもかかわらず、未だに無くなっていません。それは、人間は”いざ自分が”となると冷静に対処できなくなるからです。
「私は絶対に大丈夫」そう思っている人ほど危険だとも言います。特に、精神的に落ち込んでいたり、生活の安心や安定の欲求が満たされない状況だったり、もしくはその真逆で、お金もあって生活にはなにも不自由していないのに情報に疎かったり。
自分を過信しすぎて、リスクヘッジを取れていないと様々な詐欺に引っかかってしまいます。そこを狙われるからなかなか被害が減らない実情があるのでしょう。
ちなみに件の相談ですが、僕は弁護士でも警察でもないので、車関係に詳しい知人にアドバイスをもらい「とりあえずローン会社に車を購入したのに手元にない旨を伝えてください。弁護士にもご相談を」と伝えました。
こういったビジネスの勧誘は、情報を得ない、得ることができない人は狙われていると考えた方が良さそうです。わからないことは必ず確認する(しっかり答えられないなら非常に怪しいです)、友だちだろうが多少疑ってかかる、知り合いの知り合いは危険、美味しい話は基本的に怪しい、そういったことを常に頭に留めておくことが必要です。
時代がかわるごとに新しい詐欺が生まれます。それを防ぐためには、やっぱり情報と経験が必要。美味しい話にのせられず、一旦立ち止まって調べる勇気を持ちましょう。わからないことはまず確認と相談です。
【筆者プロフィール】ちばつかさ
合同会社komichi代表。柔道整復師、こころと体のコーディネーター、元プロ野球独立リーグ選手。東京と福井で投げ銭制の接骨院を運営しのべ10万人近くの心と体に向き合ってきた。野球経験とコーチングの経験を活かし都内で”野球を教えない野球レッスン”を運営。レッスン卒業生がU12侍ジャパンの代表に選出された。現在、心理学を学ぶため、アラフォーで大学在学中。【公式サイト】