同社は2015年度から、職場での役割と成果に応じて給与が決まる役割給を採用。65歳以上については、それまでの経験やノウハウを元に担当する仕事が決まり、これに応じて処遇が決まる。つまり、会社側が従業員に対して同じ役割を果たせると判断すれば、65歳以上でも以前の給与水準を維持できるという。
同社によると、2026年までに従業員の5~6%を占める約800人が65歳に到達する見通し。同社広報は、
「公正の観点から年齢、性別、学歴、国籍にとらわれない人事制度を運用してきました。弊社では2011年から、社員一人一人が自分の働き方を決めて、自律をもって働くというプランの元で制度改革を進めています」
と背景を説明する。現在の最年長は63歳なので、詳細の制度設計については65歳を超える社員が出てくるまでに完成させるとしている。
「会社にとってのプラスは職人のような技術の継承だったり、ノウハウをつなぐことにあります。また、社員にとっても『ある年齢まで働いたら辞めなきゃいけない』『老後生活の不安をどうしよう』といった不安を感じずに、自分の働き方を自分で決められるようになったと言えるかと思います」
こうした動きは他の企業でも始まっている。システム開発のサイオスグループは昨年10月に60歳定年制を廃止した。三菱ケミカルでも、将来的な定年廃止を視野に入れつつ、22年4月に定年を65歳に引き上げることを決めた。再雇用期間を延長するなど”生涯現役時代”を見据えた人事制度を設ける企業が今後ますます増えていきそうだ。