90年代後半の他の記事にも目を通していくと、精神科医の香山リカさんが1997年11月号『月刊創』の連載で、「ひきこもり」という言葉の由来について、次のように言及していた。
「厚生省が91年度に始めた『ひきこもり・不登校児童福祉対策モデル事業』ではじめて使われた、という説が一般的だが正確な”命名者”は明らかではない」
そして、この翌年、斎藤氏の著書がベストセラーとなり、「ひきこもり」は一躍注目を浴びる言葉となった。前述の新聞記事検索サービスで、全国紙(朝日・毎日・読売・産経)の記事を対象に「ひきこもり」というワードで検索すると、89年~98年は137件だったのに、99年~2008年だと3830件ヒットした。直近の2011年~2020年ででは4201件。「ひきこもり」の深刻さは、この数字のように、いまもじわじわと増しているのかもしれない。