コメントは、「ガチャという言葉は嫌いだけど、親で決まる部分は本当に大きいと思う」などと認める声が相次いだ。
「容姿、お金、教育への情熱、親の性格、兄弟との関係性。家庭内の環境はめちゃくちゃ大事だと思う」
「下層家庭に生まれる。金がないからいい学校行けない、いい職に就けない。自分がまさにそうでした」
といった、自身の親は「ハズレ」だったという立場での書き込みも目立つ。貧困や虐待など辛い記憶を語る人も多かった。
中には、他人の親と自分の親を比べる人も。「私は幼い頃ピアノをひくマネしてたら母に『アホみたいなことばっかりして!』と怒られたけど」と書いた人は、
「義母は違うタイプ。うちの子の様子をみて『こういうことしてるけど、きっと興味があるんだわ。習わせてみたら?』みたいな。そんな義母の息子たちは二人共京大」
と義母の育て方を称賛していた。ちなみに本人は女子大卒だそうで、そこまで酷い「親ガチャ、ハズレ」でもないというツッコミが多数入っている。
ただ、子どもの自己肯定感や才能を伸ばすための「育て方」による格差はあるという意見には、多くの共感が集まっており、子持ちの筆者も親の立場からも子どもの立場からもそうした要素は否定できないと感じる。
「母親が猛毒だったけど、奨学金で国立大行った」という声もあるが……
一方で、「いや、行動力でどうとでもなるよマジで」など、本人が努力すれば抜け出せるという主張も複数あった。
「母親が猛毒で暴力や勉強の邪魔ばかりしてきたけど、奨学金とって国立大行って資格とってそれで今生きてる」
など、恵まれない環境だったが努力してなんとか幸せに暮らせているという証言だ。確かに、親は関係なく努力して自身の人生を切り拓く人もいる。
しかしこれには、努力や行動力ではどうにもならないレベルがあるという反論も少なくない。
「努力すればいいじゃんっていうけど家が貧乏だったり親が子の夢を否定したがる人だと努力のスタートラインにすら立てない」
「奨学金もらえば?とかあっさり言える人は、奨学金の手続きには親の協力が必須な事を知る必要もなかった恵まれた人」
など、成績が良くても諦めるしかなかった過去を悲しく振り返る人もいた。
確かに、大学や高校の授業料減免や実質無償化などの制度は2020年から始まっているが、保護者が申請書類を揃え申請する必要がある。しかも授業料は基本的に前払いだ。親が奨学金などの情報にアクセスする気や手続きする力が始めから無い場合、自力で手続きをできる子どもがどれだけいるだろうか。
OECD(経済協力開発機構)が2021年に発表した調査結果では、初等教育から高等教育までの教育機関への支出がGDPに占める割合は、日本は4.0%とOECD平均4.9%を下回った。一方で、家庭における教育費の負担は加盟国の中でも高いという(2020年版)。
「親ガチャ」という言葉が話題になるとき、「ぜんぶ親のせい」と「親のせいにするな、自分の努力次第」という家族間だけでの問題論争になりがちだ。しかしそれでは圧倒的なマイナス状態の子どもを「公」が助けるべき、という問題・課題が見えにくくなってしまう。そのことを忘れずにいたいものだ。