労働者が歓喜! 有休制度のない米国で「病欠を有給に」オバマ大統領が発令
9月7日、米国のオバマ大統領が、連邦政府の契約企業の従業員に有給の病気休暇(Paid sick leave)を与える大統領令に署名したことを共同通信などが報じている。
これにより、契約企業は年間最大7日間の病気有給休暇を従業員に認める必要が生じる。対象となるのは約30万人で、オバマ大統領の任期が切れる2017年から履行される。
現状では「給料を取るか、わが子を取るか」の選択を強制
もともと米国の公正労働基準法には有給休暇が規定されておらず、企業ごとの福利厚生として雇用者の間で合意されるものだと定められていた。オバマ大統領はそのような状況を以前から問題視しており、2015年1月20日には、
「アメリカは先進国の中で唯一、労働者に有給の病気休暇や産休が認められていない国だ。そして多くの親たちは、給料を取るか、家にいる病気のわが子を取るかという心が張り裂けそうな選択を強制されている」
と発言している。
今回の件についてオバマ大統領の公式ツイッターに対しては、米国の労働者から「素晴らしい!」「よくやった」「家族にとってとても良いことだと思うわ」などの反応が寄せられている。7日が労働者の祝日「レイバーデイ」だったこともあり、「大統領からの贈り物だ!」との声も。
一方で、有休を付与する対象が連邦政府の契約企業の従業員に限られていることについて、「すべての労働者が病気有給休暇を必要だと思う」「どうして全労働者じゃないんだ!私たちだって病気になる!」との意見も出ている。
「小さな政府」派からは批判の声も
9月8日のCNNは、オバマ大統領は労働条件の改善を優先しており、今後も残業手当の支給など労働者の権利がさらに拡大するよう力を注ぐのでは、と報じている。
しかし、国の福祉を最低限に抑える「小さな政府」を目指す共和党からは、反対の意見も出ている。連邦議会の共和党員からの「有給の病気休暇を導入することでビジネスのコストは上がるし、商品の生産やサービスが高くなる」という声も記事は取り上げている。
オバマ大統領のツイッターにも、「誰がその費用を払うんだ?」「あなたは他人のお金を使い果たそうとしているの?」といった批判も投稿されていた。
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