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「再生医療」で心臓移植を回避できる? 保険適用で費用が60分の1以下になる治療も

1月20日のNHKあさイチは、「再生医療」を特集していた。自分の細胞を使って病気を治す最先端医療のことだが、ノーベル賞の山中伸弥教授は「iPS細胞を使った再生医療では(日本は)世界のトップを走っています」「わずか10年でこここまで来るとは予想できなかった」と進歩の速さを語った。

再生医療の研究は、毛や脳、目、歯、皮膚、心臓、肝臓など多岐に渡っている。現在は実際に受けられる治療もあり、心臓病もそのひとつだ。番組では、2年前に治療を受け、重い心不全から回復した女性を紹介した。

「心筋シート」手術は2時間、1か月半で退院

阪大心臓血管外科のウェブサイトより

阪大心臓血管外科のウェブサイトより

現在23歳の平岡ルミさんは3年前に感染性の心内膜炎を患い、心臓移植か人工心臓しかないとまで言われた。病院で寝たきりだったときに出合ったのが、大阪大学医学部附属病院(大阪府吹田市)で臨床が始まっていた再生医療だ。

自身の太ももの細胞を培養し、シート状にした心臓に貼りつける「心筋シート治療」を選択。手術は2時間で終了し、1か月半で退院。いまでは一人で外出を楽しめるようになり、「普通に生活できるようになったことがうれしい」と笑顔で語る。

この心筋シート治療は心筋梗塞や狭心症などが対象で、費用が1476万円と高額なことがネックだった。しかし今月から保険適用がスタートし、3割負担で443万円、高額療養費制度を適用すれば年齢や収入等に応じても変わるものの、23万円ほどに。従来の60分の1以下で治療できる。

心筋シートを開発した澤芳樹医師は「人が本来持つ治癒力を引き出しているのが再生医療」と説明する。まだ治癒力を持っていて、他の治療では治らない患者に有効だという。手術した7~8割の人が治癒しており、現在は阪大病院でしか受けられないが、今後は増えていくだろうとのことだ。

足の筋肉を使う心筋シートには限界があるが、現在研究中のiPS細胞が実用化されれば、すい臓ならインシュリンを作れる組織など、その臓器特有の組織再生ができると期待されている。iPS細胞の実用化は一番早いもので「目」で5年から10年後だというが、確実に研究は進んでいる。

乳房再建の例も。「SMAPの再生は?」と玉ちゃん

そのほか、乳がんで胸の肉をえぐられるように失った女性が、乳房再建の臨床手術を鳥取大学で受けて「柔らかさも見た目も同じ。病気になる前の状態に戻りました」と喜ぶ姿も紹介。

発毛を研究する理化学研究所の辻孝さんの研究所には、全身に毛が無いのに頭頂部にだけ1センチほどの黒髪を生やしたマウスがいて衝撃的だった。研究中だが、2020年ごろには人への適用が期待されている。

番組では、今後実用化される部位を年表で示したものを用意。「たとえば気になるものはありますか?」と聞かれたゲストの玉ちゃんは、

「たくさんあるんですけど、SMAPの再生はないですよね?」

と、とぼけた質問。これには同じジャニーズのイノッチも「医療でなんとかなるもんじゃない」と、ほかの出演者たちと共に笑っていた。

医療でどうにもならないこともあるが、世界中の研究者たちは不可能だと思われていた世界を切り拓こうとしている。人知れず地道に研究を重ねた結果が、命を救っているのだと分かった。(ライター:okei)

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