あさイチで「社交不安障害」特集 ネットには「本当にシャレにならない程キツイ」と経験者の声もあがる
「人前に出るのが怖い」「人の輪に入れない」など、自分は人見知りだと感じている人は多いことでしょう。もし日常生活に支障が出るほど強い不安や恐怖を感じるようなら、それは社交不安障害(Social Anxiety Disorder: SAD)かもしれません。
3月2日放送の「あさイチ」(NHK総合)は「侮れない!大人の人見知り」と題して、この病気の特徴と治療法などを紹介していました。番組に登場した山田洋子さん(仮名)は2児の母親。「人が怖い、嫌われるのが怖い」と明かします。
4つのポイントに当てはまったら治療が必要
中学2年生のときの国語の朗読をきっかけに、親しい友人や家族以外の人と話すのが怖くなった山田さん。数少ない友人だった男性と結婚しましたが、子どもが保育園に通い始めると、ママ友との付き合いで辛い日々が始まりました。
声を掛けられただけで動悸が激しくなり、目元のけいれん、口もとや足が震える。役員会では否定されるのが怖くて何も言えず、常にマスクを装着。しんどくても帰りたいとも言えず、辛い気持ちを無理していました。
「本当に(自分は)劣等感の塊。自分以外の人が、全てすごい人に見える。自分はなんて情けない人間なんだって思ってしまう」
あまりの辛さに精神科を訪れると、「社交不安障害」で治療が必要だと告げられました。診断する主なチェック項目は、次の4つだそうです。
1.人前で発言する状況が怖い
2.人が集まる場所(宴会や会議室)に行くのが怖い
3.他人から否定的に評価されるのが怖い
4.生活が妨げられたり、耐え忍んでひどくつらい状態が半年以上続く
MCのイノッチは、1から3は「多少は誰にでもある」と言いましたが、問題は4つめ。半年以上続く場合には、医師の診断を受けて治療した方がよさそうです。
就活での挫折が原因で発症してしまった人も
社交不安障害の人が他人の顔(写真)を見た時の脳の反応を調べてみると、危険を察知し不安や恐怖心を引き起こす「扁桃体」という部分が強く反応します。それも相手が怒りの表情のときだけでなく、笑顔に対しても常に恐怖を感じているのです。
大学3年の就職活動をきっかけに、家から出るのも困難なほど人に会うのが怖くなった鈴木チカコさん(仮名・27歳)は、胸の内をこう明かします。
「人の視線とか(が気になり)、自分自身はどんなに頑張っても受け入れられることはないということが(就活を通じて)すごく根付いてしまって。このまままで人と会えない状況が続くと先がないと思って…。地獄でしたね」
治療方法は投薬が一般的ですが、鈴木さんは精神科医の清水英司先生(千葉大学医学部)のもとで、対話やビデオ撮影などで自分を客観的に捉え、考え方と行動を変えて不安を解消する「認知行動療法」という治療を受け、5年ぶりにメガネ店を訪れることができました。
こうした対人恐怖の状態は、多くのひきこもりの原因でもあることでしょう。番組を見た視聴者も、共感する人や多くの経験者がツイッターでつぶやいていました。
「今でも完全には治ってないけど 社交不安障害で何がいちばんキツかったかといえば やっぱり強制的に参加させられるPTAや子供会などの行事や役員だ」
「一時期朝のゴミ捨てすら行けなくなったが6年かかって一応精神科卒業できた。これ、侮らない方が良い。本当にシャレにならない程キツイ」
「社交的で明るくないとダメっていうのは窮屈。就活でコケるってのは、世間の求めるものが幅が狭いからじゃないかなぁ?」
「みんな辛いんだから」といった否定的発言は厳禁
「社交不安障害の患者の会」支援者の早野強さんは、「もうちょっと頑張れた」「甘え」「みんな辛いんだから」など否定的な発言は、社交不安障害を抱える人にとっては「ものすごくプレッシャーになるので絶対しないで」と説明しました。
清水医師も、「内向的な人も必要」とした上で、「でもあまりにも辛くなってしまうようなら治療を受けて欲しい」と話しています。周囲の協力も必要ですが、心当たりのある人はぜひ受診してほしいと思います。(文:篠原みつき)
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