「保育園落ちた」騒動を地方から揶揄する人々 「田舎に引っ越せばいい」とは言うけれど…
3月16日の日経新聞は「待機児童が参院選の争点に」という見出しを掲げ、政府・与党が「後手に回ったイメージ払拭のため対策強化に着手した」と報じている。対抗する民主、維新も「保育士等待遇改善法案」を今国会に提出する予定だ。
しかし、ネットの書き込みを見てみると、こういった動きを苦々しく感じる人もいるようだ。賃金の高い仕事がある都市部に住みながら、さらに保育の環境整備を行政に求めることを、地方在住者は「わがまま」「ぜいたく」と見ているのだ。
首都圏に住む人の間でも、温度差はある。元TVアナウンサーの長谷川豊氏は、「無認可でも24時間体制で子供を預かってくれる保育園」を確保するために、通勤に不便な千葉市に引っ越した自らの体験を踏まえ、そのような工夫をせずに行政に要求ばかりする人たちは「本当に困っている方々」ではなく「実は自分が甘えているだけの人」と批判している。
「子供が生まれるにもかかわらず…やっぱり杉並に住みたい~世田谷に住みたい~~目黒区でしょ~~と、自分のあこがれの土地に住むことを優先させたはずです。そしてそれらの地域は(私が千葉に引っ越した16年前とは比べ物にならないほど簡単に)『保育園はほとんど使えませんよ』という情報が、十分に手に入った土地のはずです」
2ちゃんねるの育児板でも、「保育園入れないっていうと『仕事辞めたら』『田舎に引っ越せば』って簡単にいう人なんなの?」と不満を漏らす女性に対し、「便利なとこに住みたいっていう個人的な欲求のツケ」といった書き込みが見られ、自己責任でできるところはすべきという意見は根強い。
郊外に引っ越しても「早起きするぶんだけ誰が子供を預けに行くんだ」
ある人は「現実問題として万人が何もかも手に入れるのは無理」であり、「人生の中で優先順位つけて、ある程度は(公に頼る事は)諦めることも公共心なのでは」と指摘する。ツイッターにも、こんな投稿が見られる。
「うちの近所の保育園は空きあります。もっと田舎では園児が少なくて困っています。大都市の人の感覚だけで大騒ぎされても白けます」
しかしそもそものきっかけは、政府が「1億総活躍社会」といって女性の社会進出を煽ったから。生産人口の減少を考えれば当然の策だが、それに保育の環境整備が追いつかず、気の毒なことに女性が挟み撃ちになっているのが現実だ。
不満を「わがまま」と押さえ込まず、新たな解決策を生み出す方向に注力するしかない。とはいえ、保育園増設以外の解決策はなかなか見つからない。都心部を避けて郊外に引っ越したとしても、状況が劇的に改善するとは限らない。
「知り合いでも(山梨県の)大月から新宿に通勤してる人とかいるけど早起きするぶんだけ誰が子供を預けに行くんだって話になるよね」
政府は地方に新たな仕事をする試みとして、消費者庁の徳島県移転に向けてテストを行っている。果たして功を奏するのだろうか。
あわせてよみたい:「#保育園落ちたの私だ」が国会前の集会に発展