「自己破産で奨学金の返済免除」はデマ! 保証人の家族や親戚に「請求」が回る悲劇も | キャリコネニュース - Page 2
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「自己破産で奨学金の返済免除」はデマ! 保証人の家族や親戚に「請求」が回る悲劇も

こんなことになるなんて…

こんなことになるなんて…

Aさんは両親と祖父母、姉、弟の7人家族。生活は苦しかったが、大学で学びたい気持ちから進学を決めた。親に負担をかけないよう上限いっぱいの12万円を借り、奨学金は全額学費に、教科書代はバイト代で捻出した。

学校とバイトで多忙を極める中、祖父母が倒れ、学校・バイト・介護と苦しい日々に。家計を助けるため、バイト代も家に入れた。それでもAさんが大学を辞めなかったのは、大学を出ればいい就職先が見つかり、家族を支えられるという思いがあったからだ。

「奨学金を借りているから、それを返すにも卒業して、きちんとした就職、正社員として働けないと」

卒業後、無事に就職が決まり、月々2万2000円の返済が始まった。しかし最初は払えていたものの、徐々に滞納するようになる。奨学金の窓口に減額などを求めても認められず、矢のような返済の催促が来る。病院代なども滞り、消費者金融にお金を借りた。

仕事のストレスも重なり、Aさんは身体を壊して4年で退職。再就職先も見つからず、2年以上奨学金を滞納した。司法書士に相談すると自己破産を勧められ、現在申請中だ。ところがこれで問題は終わらない。Aさんはこう肩を落とす。

「自己破産したら消費者金融から借りた部分がゼロになるけれど、奨学金返済は一切ゼロにならない感じですね」

専門家は「最低限の額で借りるように」

自己破産した本人は支払い能力がないとみなされ、「連帯保証人」である家族が、それでも払えない場合は叔父や叔母など「保証人」のもとに請求が続いていく。究極的には、全員が自己破産しないと終わらないというのだ。

埼玉奨学金問題ネットワーク代表の柴田武男さんによれば、「実際にはそこまでには至らず、和解と言う形でどこかの段階で払うことにはなる」とのことだが、親戚にまで迷惑を掛ける苦悩は続く。

奨学金の滞納に至る原因の1つとして、柴田さんは未成年の10代から利用するため「本人に借金の感覚が薄い」ことも問題と指摘する。ゲストの博多大吉さんもかつて奨学金の利用者で、こう証言していた。

「審査を通った時点で借金している感覚はない。国がくれてるんじゃないかなと(思っちゃう)。『奨学金は逃げられる』なんてデマも流れるのよ」

督促する立場の独立行政法人日本学生支援機構は、「返還金が直ちに次の世代の奨学金の原資となるため、約束の期日までに返済していくことは非常に重要」とする。

柴田さんは最悪の事態に陥らないために、「最低限の額で借りるように心掛け、総額いくらになるのか考えておく」とアドバイス。大吉さんも「利息といっても本当に低いので、使いようによってはいい制度なんです」とまとめていた。(ライター:okei)

あわせてよみたい:専業主婦の妻が、家計から自分の奨学金を返還していた!

 

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