若者の車離れの一方で地方では車依存が進む 群馬では4人に1人が100mの距離を車移動
この結果は、群馬県が昨年11月に実施した、「パーソントリップ調査(『人の動き』実態調査)」で明らかになったもの。前橋市など県南部の21の市町村の約6万世帯を対象に調査を行い、約13万人から回答を得た。
日常の移動を交通手段別に見ると自動車が77.6%で最も多く、徒歩(10.6%)、鉄道(2.5%)やバス(0.3%)といった他の移動手段を大きく上回る。77.6%という数値は、熊本市(64.3%)や福井市(76.7%)など他の地方都市が過去に実施した調査と比較しても高い。
群馬県が過去に実施した同様の調査を見ると、自動車の比率は、1978年で45.2%、1989年で59.6%、1993年で62.4%となっており、年々自動車依存が進んでいることがわかる。
また、移動手段を距離別に見ていくと、自動車で移動する割合は「0~100メートル」で26.3%、同様に「300~500メートル」は49.8%となっている。県民のおよそ4人に1人が100メートルの距離の移動に車を使っている。500メートルにいたってはおよそ2人に1人が車を使っていることになる。
「ゴミ捨てに近くの集積場に行くにもクルマだからなあ」
車への依存の高さの背景には、高齢化が考えられる。内閣府の「高齢社会白書」によると、2014年の群馬県の65歳以上の人口は26.8%。関東一都六県の中では最も高い。また群馬県は全国の65歳以上の免許保有率は62.7%と全国1位だ、75歳以上を見ても38.8%で2位に入っており、高齢ドライバーが多いという特徴がある。
交通機関が発達する都区部と違い、地方では移動が不便なことが多い。群馬県では免許を持つ高齢者の外出率は77.5%だったのに対し、免許を持っていない高齢者の外出率は44.9%だった。外出するにも車を運転しないことにはできない、という現状が浮き彫りになる。
こうした状況は都心に住む人からは異様に感じるようで、ネットでは「東京に住んでる人間の感覚からするとオドロキのニュースだね」といった声が挙がった。一方で地方在住と思われる人からは、
「車がないと生活できないくらい死活問題なのよ。公共交通機関?そんなもんは飾りです」
「ゴミを捨てに数十メートル先のゴミ集積場に行くのすらクルマだからなぁ・・・当然の結果ですな」
「車に乗らないのは回覧板を届けるときぐらい」
など、調査結果に納得する意見も多い。ほかにも、基本が車なので、自転車や徒歩で移動している人が逆に珍しくなり、「不審者扱いされる」といった書き込みもあった。都市部の若者の間では車離れが進んでいると言われているが、地方ではますます車の重要性が高まっているようだ。
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