「ノーベル賞受賞者が高齢化する理由」 BBCの報道は日本人にも当てはまるのか? | キャリコネニュース - Page 2
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「ノーベル賞受賞者が高齢化する理由」 BBCの報道は日本人にも当てはまるのか?

日本の研究者は若い?

日本の研究者は若い?

これまでに発表された2016年のノーベル賞受賞者は、平均年齢が72歳。「自然科学3賞」の物理学賞、化学賞、生理学・医学賞の受賞者全員が65歳以上の男性で、その多くが72歳以上だそうです。

ところが20世紀前半には、ノーベル賞受賞者の平均年齢は56歳でした。中でも物理学賞受賞者の当時の平均年齢は、なんと47歳。1930年代の物理学賞受賞者ヴェルナー・ハイゼンベルク氏とポール・ディラック氏は、わずか31歳の若さだったそうです。

ノーベル科学賞は、人生の後半で受賞するもの――。そんな傾向が現れ出したのは1950年代からのことで、それが現在まで続いています。中でも物理学賞受賞者の高齢化は突出しており、その一方で文学賞や平和賞、経済学賞受賞者の高齢化は見られていません。

物理学賞受賞者の高齢化について、ノーベル博物館の上級学芸員グスタフ・カルストランド氏は、100年前に世界にほぼ1000人しかいなかった物理学者が、今では推定百万人に増えていることを原因に挙げています。

科学者が人生の早い時期に大きな発見をしても、同様の研究をしている学者がほかに何千人もいるうえ、ノーベル賞委員会の高い審査基準を満たさなければならないので、賞を勝ち取るまでには長い歳月がかかるのだというのです。

日本の研究者は例外的に若くして受賞?

カルストランド氏はこう指摘します。

「20世紀前半の物理学は、急速に成長していた分野で、多くの物理学者は若く、次々発見をしていました。それはノーベル委員会がちょうど興味を持っていた分野で、彼らは即座に認められました。まるで彼らは“新しい発見をするツールキット”のようなものだったのです」

一方、平和賞の受賞者の若年化については「平和賞委員会は現実に取り残されないように、平和施策が完了するのを待たずに賞を与えています。たとえば、インドネシアが完全に民主化されるかどうかは見極めていません」と語っています。

とはいえ最近の日本人受賞者には、30代は無理としても50代で受賞する人も少なくないのが事実。2014年に米カリフォルニア大学サンタバーバラ校のシュージ・ナカムラ教授(60、受賞当時。以下同じ)とともに物理学賞を受賞したのは、名古屋大学の天野浩教授(54)です。

翌15年の物理学賞をカナダ・クイーンズ大学のアーサー・B・マクドナルド名誉教授(72)と共同受賞したのは、東京大学の梶田隆章教授(56)でした。

12年の生理学・医学賞をケンブリッジ大学のジョン・ガードン教授(79)と共同受賞した京都大学の山中伸弥教授は、当時50歳。日本社会といえば年功序列型といわれますが、こと科学の世界では若い研究者が世界的な業績をあげており、BBCニュースが指摘した現象の例外といえるのかもしれません。

参照)Why are Nobel Prize winners getting older? (BBC NEWS)

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