「部下が全員働くママになったら残業時間が減った」にネット注目 「普通程度の上司はここまで下の意見拾ってくれない」
記事を書いた琴市しづかさん(40代女性)は、100人規模の会社で部下2人を持つ経理課長。自身に子どもはおらず、部下が2人とも働くママであり、時短勤務の達人だった。
子どもはすぐ体調を崩すため、出勤の不安定さはLINEのグループをつくって対応。発熱すると早めに知らせてくれるため、仕事に影響が出ない体制づくりがメンバー全員でできたという。さらに琴市さんは彼女たちのこんな特徴をあげた。
・スピードがとにかく速い
・業務の改善案が大量にあがってくる
・段取りをつけるのがうまい
いつ保育園から呼び出しがかかるか分からない働くママたちは、毎日全速力で仕事をこなす。家事と育児のマルチタスクに慣れているためか、突発的な業務への対応力・段取りがいい。
さらに業務のムダをとことん省く案が次々と出て、即実行、最適化が進んだ。琴市さんは、「どちらか一人が、『他にやるべきことがある』や『今のままでも何とかなる』など言っていたら、ここまで早く、検討・検証・実装のサイクルが回らなかっただろう」と感嘆している。
長時間会議廃止、他部署からの急ぎでない仕事にNO!
こうして仕事がスピード化する中、自身も変わることを肝に銘じた琴市さんは、更なる改革を進める。週一の定例会議をやめて毎朝の短い打合せへ変更、経理の要である「支払業務」が滞らないようにすれば、いくら遅刻・早退などしてもいいと割り切った。これを役員(経理部長)の理解も得て、安心して働けるようにしている。
さらに他部署が依頼してくる業務の理由も追究し、無駄を削ぎ落とし、意味のない「急ぎで」はやめてもらうようにした。つまり、琴市さんが部署内の仕事を無理なくコントロールするため、外部折衝をしてサービス過剰の悪習を止めたのだ。優先順位を徹底したことで段取り力が一段とアップし、他の業務も滞りなく回ったという。
結果、自身の残業時間が月間70時間から月間10時間以下に減り、生活が整い体調も良くなったとのこと。琴市さんは、「私の残業が多かったのは、残業することを自分に許していたからだった」と振り返る。
「仕事の全体像を把握し、本気で仕事に優先順位をつけ、本気で無駄を探し、本気で無駄やダブりを無くすことに取り組めば、アウトプット量を減らすことなく業務量を減らすことができるのだ」
これこそ、「生産性が高い」という状態だろう。
「働くママたちの能力を活かす環境は、すべての人にとって働きやすい環境だ」
この記事はFacebookで3万2000件以上シェアされるなど、大きな反響を呼んでいた。2000以上ついた、はてなブックマークにはこんな声がある。
「これこの人も相当仕事できる人だよ。普通程度の上司はここまで下の意見拾ってくれない」
「パート主婦にもできる人が多い。子供は言う通りにならない上『〇時までに寝かせる』『〇時までに園に送る』と生活の全てがデッドラインだらけ想定外だらけで、時間内に確実にタスクをこなす技術を体得している」
「部下のお二人の能力はもちろん、直属の上司が積極的に現場の声を拾ったこと、その方針を役員も理解したこと、顧客(ここでは営業部)への影響には上司自らが相手に話をつけたこと、が大きいと思う」
琴市さんは翌日の記事で「私に理解があったわけでない」と謙遜しつつ、部下たちの仕事を覚える速さや意欲を褒め、「働くママたちの能力を活かす環境は、すべての人にとって働きやすい環境だ」と説いていた。ネットの反響は、こうした上司と部下の意欲がかみ合った状態への、羨望もあったに違いない。