ミスチルの楽曲が「時代を反映」と話題 1997年の歌詞「安定した暮らしはいらない」に「何それ欲しい」の声
1997年と言えば、バブル景気崩壊後とはいえ、今と比較すれば世の中にはまだ勢いがあったころだ。同曲の歌詞を見ても、
「人生はアドベンチャー たとえ踏み外しても結局楽しんだ人が笑者です」
など、まだまだ余裕を感じることができる。ちなみに、1997年の男性の平均給与額は約577万円。対して2014年は約514万円と約60万円少ない。リーマンショックのときから緩やかに回復しているとはいえ、当時の水準には及ばない。非正規労働者の割合も、近年は約4割に及ぶのに対し、1997年はまだ23.2%となっている。
当時中高生でミスチルの楽曲を聴いていた人たちは今や30代。人員はカットされ業務量が増えるのに給料は上がらず、長時間労働やサービス残業で疲弊している人も多いだろう。安定した生活が保障されれば十分勝ち組ともいえる。
ツイッターでも、歌詞の「安定」が欲しいというコメントが多く出ていた。
「のどから手が出る程欲しい」「欲しいね安定した老後」
また、90年代に大学生だったという人物は、「大学は四年遊んで、てきとーに就職して、退職金で家のローン完済して、あとは年金でのんびり暮らすものと考えておりました」と心境を綴っている。
2007年には「憧れにはほど遠くって 手を伸ばしても届かなくて」と歌う
一方で、ミスチルは「時代の空気」を読むのが上手い、という指摘もある。
「90年代の安定した暮らしは嫌だってとこから目の前の仕事をこなしてくことに喜びを見出す『彩り』なんかは同じアーティストとは思えないほど」
ミスチルは「タイムマシーンに乗って」から10年後の2007年に「彩り」という曲を発表している。歌詞は、
「ただ目の前に並べられた仕事を手際よくこなしてく コーヒーを相棒にして いいさ 誰が褒めるでもないけど 小さなプライドをこの胸に 勲章みたいにつけて」
といった内容で、未来に希望を抱き、自由を求めるというよりも、地に足を付けて日常を生きていこう、という堅実志向になっている。
「憧れにはほど遠くって 手を伸ばしても届かなくて カタログは付箋したまんま ゴミ箱へと捨てるのがオチ」
という一節もあるが、どことなく悲しげだ。
昨年には「WALTZ」という曲をリリースしているが、「繰り返される審査(テスト)に離脱者は増える」などの歌詞が苦しい就活事情を暗示していると学生の間で話題になった。
今年リリースされた最新曲「ヒカリノアトリエ」は現在放送中のNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」の主題歌だ。信じて歩き続けよう、きっと虹はもうここにある、といった内容となっている。早く若い世代が希望を持てる世の中になってほしいものである。
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