「同一労働同一賃金」どうやって実現する? 人事の間で賛成と反対が拮抗、課題は「同一労働」の定義
ガイドラインは昨年12月に政府が発表した。同一労働同一賃金導入にあたっての基本的な考え方や、基本給や手当、福利厚生面での対応例、問題となる例・ならない例が掲載されている。法制化への動きは知っていても、具体的にどういう面でどんな対応を迫られるのかまで把握している人は、多くないようだ。
こうした状況を反映するように、基本給の改定が済んでいる企業は2.1%、賞与の改定についてはたったの0.4%。どちらも、改定するかどうか「まだわからない」と答えた人が最多だった。
そもそも、同一労働同一賃金の実現のためには、雇用形態による格差を改定する前に「職種定義・職種区分の細分化」が必要のようだ。24.7%が自社の課題として挙げており、他の「生産性の向上」(18.9%)、「非正規社員の賃金引上げ」(18%)、「社員の理解促進」(17.9%)に差をつけている。
このほか、「管理職教育の徹底化」「年齢に応じた賃金の見直し」「業務内容、量、質に応じた賃金制度の構築」が必要との意見も出ていた。
「同一労働という考え方がファジー」という声も
同一労働同一賃金に賛成するかどうか聞いたところ、「賛成」「どちらかと言えば賛成」が45%、「反対」「どちらかと言えば反対」が42.5%と同程度で、「分からない」は12.6%だった。
賛成理由としては、「非正規社員のモチベーションアップ」を期待する声がある。反対意見では「日本の雇用慣習に馴染まない」といった懸念の声が聞かれていた。「同一労働」に関しては、反対派から
「そもそも”同一労働”という考え方がファジーなものであるのに、そのファジーな ものに基づいて賃金が確定するということが分からない」
との意見が出ていたが、賛成派からも
「完全に同一価値労働であれば、同一賃金にするのは賛成。ただし実際には正社員 と有期雇用者では働く姿勢や意識の差や、転勤の可能性有無など、正社員に求める期待と有期雇用者に求めるものには差があることの方が多いはず。ガイドラインの内容だけで線引きするのが適切か疑問だ」
と、判断は慎重にすべきとの主張が聞かれていた。
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