【世界一のクリスマスツリー】記念品企画を白紙にし、一部を「鳥居」にすることが決定 プラントハンター西畠氏が声明発表
兵庫県・神戸港の開港150周年を記念し、神戸メリケンパークに世界一大きなクリスマスツリーを立てるプロジェクトが物議を醸す中、企画を主導するプラントハンター・西畠清順さんは11月30日、公式サイトで「あすなろの木に寄せられるご意見等について」というメッセージを公開した。
「一部で言われている『木がかわいそうではないか?』等を中心としたご意見などに関しまして、言葉不足、誤解がいまの状況を作っているかと思い、このタイミングできちんとお話をさせていただくことにしました」
この木を”かわいそう”と思うことは「日常の行いを否定すること」
「たくさんのひとが一本の木に感情移入してくださっていることは、非常にありがたい」とした上で、元々木材として利用するために育てていた木を”クリスマスツリー”という用途で使っていると説明。木を輸送する際、しめ縄を付けて安全祈願をしたことから、一部で「ご神木なのではないか」と勘違いさせてしまったといい、「ご神木ではないんです」と書いている。
「落ちこぼれの木」という言葉については、ヒノキであれば300~400万円の価値が付く可能性のある木が、あすなろであれば60~100万円だと聞いたことから、キャッチコピーに採用したという。
また、この木は推定樹齢150年だが、樹齢100~200年の木が木材市場で取引されるのは普通のことと説明。日本の木材出荷量は年間約1100万立方メートルにもなるとし、「日常的にどれだけの木のいのちが、私たちの知らない間に切り出され、そのいのちのおかげで恩恵を受けているかを想像できるかと思います」と語った。
「木を切り、製紙し、本という形になってたくさんのひとに娯楽のひとときや知識を与える存在と同じように、あの一本のあすなろの木はたくさんのことを教えてくれると信じております」
それでも「あすなろの木がかわいそう」と思うのであれば、「自分たちの日常の行いそのものを否定すること」だと指摘した。
「あの木をかわいそうと思うなら、その気持ちを忘れないでください」
根を掘り出して生木のまま輸送したことについては、施工時の固定のし易さもあるが、「木を長持ちさせ、子供たちに緑が元気な本物の木をみせたかった」という。また根鉢を付けたまま輸送・植樹し、イベント後の使い道を「未定」としたことで、
「(記念に植樹したままにするのか、商品として加工するのか等)その想像の幅を膨らませてもらうことが、このプロジェクトの作り手として意図的にさせていただいたものであります」
という。ただ「未定」とした中で、木の一部を記念品にしようとしたことから「営利目的なのではないか?」という声もあった。しかし同プロジェクトの総事業費用は約3億円で、すべて西畠さんの資金の責任内で行っている。
「仮に全ての枝を記念品にして完売し、さらにはあすなろに実際に触ることのできる有料の植木鉢型巨大展望台が常時満員だったとしても僕にとっては億単位の赤字。決して営利目的でやっているわけでないことも重ねてお伝えさせていただければと思います」
現在、記念品の企画は白紙になったが、その一方で木の一部が兵庫県・生田神社で「鳥居」として再利用することが決まった。それ以外の活用方法は決まり次第報告するとしている。
このあすなろの木は、震災の鎮魂、復興・再生の象徴とされている。西畠さん自身も阪神・淡路大震災を経験しており「鎮魂の想いとは、震災を経験したすべての人が口にする権利があると思います」という。鎮魂の意味もある光の祭典・ルミナリエ、神戸開港150年記念と並行して行うことについても「決意を共にしています」と語った。
西畠さんは「もし、あの木をみて『かわいそう 』と思ったなら、どうか、どうか その植物に対するやさしさだけは、忘れずにいてください」と述べ、
「そしていま、この『声」』聞いたあと、ドアを開けて広がる現実をちゃんとみていただきたい。たくさんの姿形を変えた植物たちが待っています。モヤモヤしてたなら、身の周りを見渡せばきっと答えはあると思います」
とコメントした。今回のクリスマスツリーは12月2~26日の間、兵庫県・神戸メリケンパークで見ることができる。
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